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2020-06

37年の時をかけて・・・ - 2020.05.22 Fri

大林宣彦監督作品「時をかける少女」です。


 4月10日、かねてからステージ4の肺ガンを公表していた大林宣彦監督がお亡くなりになりました。享年82歳でした。折しも4月10日は遺作になった「海辺の映画館 キネマの玉手箱」の公開予定日だったので、生涯 現役映画監督という言葉通りの人生だったのでしょう。紫綬褒章や文化功労者など、経歴に一点の曇りなしです。
日本テレビは追悼番組として大林宣彦監督の代名詞 尾道三部作の中の大林監督の名を知らしめた「時をかける少女」を1週間後の土曜日の昼間に放送しました。しかし、エンディング曲の「時をかける少女」とNG 集の部分を全部カットしてネットを騒がせていました。フジテレビといい映画のエンディングを放送すると版権が別料金なのかな・・・?
BS朝日とかWOWOWでも大林作品特集をしていましたが、ちょっと観るには気づきにくい番組枠でした。地上波の番組が非常事態で作りにくいのだから、テレビで追悼作品をバンバン放送すればいいのにって感じですよね。
NHKはちょっと趣向が違っていて過去の大林監督を取材したりインタビューした番組の再放送で構成した追悼番組でした。その中で自分が観たのはEテレで放送された「青春は戦争の消耗品ではない 映画監督 大林宣彦監督の遺言」という番組です。もちろん、日テレで放送された「時をかける少女」も観ました。


 大林監督はチャールズ・ブロンソンの「う~ん・・・マンダム」を作った人で、後に「HAUSE ハウス」というホラー映画で一部の映画マニアから脚光を浴びます。自分はまだ大林という名前すら知りませんでした。マンダムが何なのかも考えたコトがありませんでしたし・・・
二作目が尾道三部作の一発目にあたる「転校生」でした。この作品は小林聡美さんと尾美としのりさんのキャラの濃さだけで整理ついした作品です。ストーリー自体は原作が児童文学なので、それ相応の内容です。
そして尾道三部作の二発目が出世作になった「時をかける少女」です。「転校生」小林聡美さんの新人離れした演技力と、どーみても一般人にしか見えない容姿の女の子のオッパイが見られるので異常な評価を受けていた作品です。ひいき目にみても子供だましなストーリーなので、感動したとか心に残るとかいう類いのモンじゃありません。小林聡美さんと尾美としのりさんの演技が語り草になっていますが、学芸会っぽくなかったか?といえば映画全体の雰囲気が学芸会っぽい印象だったと記憶しています。
「転校生」にしても当時の薄い記憶だけで書いているので、今の自分が観たのなら違う評価になるのかもしれません。しかし、大事なシーンで17歳の小林聡美さんのオッパイが映っているので、今後テレビでは放送されることはありません。お金を出してまで見たいオッパイでもなかったと思うので「転校生」はもう観る機会はないと思います。「転校生」の小林聡美さんにはまったくリビドーは感じませんでしたが「やっぱり猫が好き」の恩田家の三女役で初めて可愛いと認識しました。「猫が好き」で初めて、もたいまさこさんや室井滋さんも知りました。むしろ「猫が好き」の記事のほうを書きたいくらい自分は影響されたドラマでした。
正直いうと唯一自分が買ったアイドルの写真集が原田知世さんで、それ以降もCDを買い続けていた隠れ知世ファンです。その自分が最初に観た作品が多分「時をかける少女」だったと思います。むしろユーミン作曲の主題歌がヒットしたんでテレビの歌番組によく出ていたのを観ていたんだと思います。したがって自分の中の原田知世は初めから女優っではなく歌手でした。
外観はともかく小林聡美さん同様に芸能人臭くなかったので、なんかたどたどしい女の子がグッとくるんでしょう。薬師丸さんは映画ファンに評価されていましたが、原田知世さんはお絵描き系サブカル(アニメオタク等)に絶大な人気でした。薬師丸さんは高倉健さんや松田優作さんと共演、相米慎二監督や深作欣二監督、森田芳光監督などがメガホンを取っています。方や原田知世さんは私的に大林宣彦監督と角川春樹社長が取り合うという間抜けさ。共演も枯れ専なおっさんばっかりで気の毒でしたね。「幻魔大戦」のタオ役で原田知世さんの支持層だったアニメファンもガッカリさせちゃいました。

 日テレの追悼番組「時をかける少女」を観るのは、公開した頃のテレビ放送以来です。劇場公開された1983年は洋画は「ET」「 スターウォーズ ジェダイの帰還」「ウォ・ゲーム」「007 オクトパシー」「フラッシュダンス」「ランボー」「ダーティーハリー4」など・・・ 邦画では「南極物語」「楢山節考」「家族ゲーム」「戦場のメリークリスマス」など・・・アニメは「うる星やつらオンリー・ユー」「ヤマト完結編」「幻魔大戦」「クラッシャー・ジョー」など・・・
それらの公開された作品に比べて「時をかける少女」がどれくらいのクオリティーかといえば「転校生」以上に学芸会レベルっていう印象でした。一般論としてハリウッドや洋画は派手な大作、邦画は地味な題材を地味な映画ファンが評価しているっていう感じでした。地味ながらも「楢山節考」や「戦場のメリークリスマス」は国際的に評価された作品です。それでも映画の題材が地味なのは否めません。エンタメを目指せない言い訳に芸術性を語る日本映画にウンザリしたのがこの年でした。
「時をかける少女」は原田知世しか観るところがない映画といっても過言ではありません。この作品を観て「作品のテーマ」とか「SF映画としての」とかいう人のことを自分は信用しません。配給会社(角川春樹さん個人)の事情、予算の事情、シナリオが書けない事情・・・ 上げたらきりがない事情を言い訳にした日本映画のチープさの象徴のような作品が「時をかける少女」だと思っていました。
せめて宣伝費を制作費に廻すとか、本気で役者を目指している新人(小林聡美さんや富田靖子さん)を主役に使うとかすればとも思います。原田知世さんを愛でるだけの作品として成立してるんだったらまだしも、この作品の原田知世さんが一番魅力を感じない原田知世さんだと思います。「原田知世は可愛いけど演技は無理」って知らしめた作品になっちゃいました。
大林宣彦監督の次回作の「天国に一番近い島」も原作者の森村桂さんのファンだったんですが、予告編の原田知世さんのこわばった表情の演技が忍びなくて観れませんでした。結局「原田知世さんって可愛いなぁ」って思わせる映画を撮ったのは、女を引っかけることだけしか考えていなかったホイチョイ・プロダクションのヤツらでした。間抜けな小芝居なんかさせないで、よその会社の可愛いOLといういそうでいなかったホンモノのゲレンデ美人を好演していました。

 問題は1983年の映画を2020年に改めて観た時にどう思ったのかですね。日本で一番「時をかける少女」を評価しているライムスターの宇多丸さんはもとより、これだけ多くのリメイクをされている作品なんだから固定のファンも多いようです。
自分は『昔の作品を思い出補正しない』というのと『発表当時の評価しか基本的に信用しない』というのを信条にしています。前者は怪獣や特撮映画などに多いのですが「昔の作品はチープだったけどそれがいいんだよね」っていう感じの評価です。当時はチープだと思っていたはずなのに骨董価値が上乗せされるのは作品の善し悪しとは関係ない部分だと思います。後者は再評価という言い方で後付けのウンチクを並べるパターンです。作品は公開された時代に観るのがその作品の旬であって、その時代に観ることができなかった(生まれていなかった)人は、可哀相だが正統な評価を下すことはできません。黒澤映画を現代でも観る方法はありますが、黒澤映画が新作で公開された時代でなければ公平な評価とは言えません。
過去に観た「時をかける少女」と、時空を越えて2020年に観た「時をかける少女」はチープな日本映画という感想が微塵も変わることはありませんでした。つまらない作品にどんな理屈をつけても面白い作品にはなりません。それは映画に詳しいマニアの方々には受け入れがたいのでしょう。
しかし公開当時の「時をかける少女」に感動したり、2020年に初めて観た世代の人が手放しに傑作と思った人もいます。そーいう無地に評価する人たちにもイラつくのが大林宣彦ファンだと思います。
大林宣彦さんのファンは『大林映画は難解な部分が監督の仕掛けた裏のテーマだから、それに気づかないで面白いとかいってんじゃねぇよ・・・』っていうマインドです。何じゃそりゃ?
「時をかける少女」は角川春樹と大林宣彦という当時にしてすでにおっさんのふいたりが作ったロリコン映画です。だから当時の原田知世さんと同世代の中高生が観ても共感がえられなくて当たり前なんです。それは映画論ではなくて性癖の違いなんでしょう。観客の側が40代になってホンモノのロリコンになった人だけが初めて共感出来る作品なんでしょう。
現代ではロリコンという言葉は少女を指す言葉になっていますが、本来はあくまでも少女を愛でるおっさんを蔑視するための言葉です。大学生が高校生を可愛いと思うことは性的に正常です。しかし大手出版社の社長がオーデションに来た中学生に入れ込むことは立派な変態です。宇多丸さんが大林宣彦監督にシンパシーを感じるのは、共に変態の部分が共鳴しあうからか・・・

 ここまで書いてみて自分が大林宣彦監督のことを嫌いなんでってことが思い知らされました。ちゃんと観たのは「転校生」と「時をかける少女」だけですし「さびしんぼう」は予想される大林ワールドに耐える自信がないから観ていません。富田靖子さんの主演作は「アイコ十六歳」と「BU・SU」は観ました。「アイコ十六歳」は大林宣彦さんが総監督とクレジットされていますが、実質は今関秋吉監督の作品です。
アイコ役の富田靖子さんは生き生きとしていて、和子役の原田知世さんはお人形のような演技です。二人の演技で決定的に違うのは共に弓道部という設定なんですが、原田知世さんは一度も矢を射りません。弓を引くシーンは宣伝用カットで印象的だったんですが、本編を観なおすと和子(原田知世さん)が矢を射る直前に的に命中する映像が頭の中で再現されて、構えたままいるのを止めて帰っちゃうんです。理由は原田知世さんが弓を引けないからだと想像できます。監督もそーいうリアルを求めていないんでしょう。
富田靖子さんは思いっきり射っていました。弓道部員が弓を引くシーンがないなんておかしいですよね。ちなみに広瀬すずさんが主演だったら吹き替えなしでまといの命中させるまで練習してから撮影の望むと思います。
それが役者のせいなのか監督のせいなのか?作品のテーマの違いなのか?映画的技法の違いなのか? 最期は監督が無能なのか観客が無能なのかって議論になっちゃうと、ますます何じゃそりゃ?ってかんじですよね・・・
「そーいう映画論って観客が考えなきゃいけないのか?」っていうのが、自分が映画離れしていった原因でもあります。
結論はそれ以降の大林作品を観ていない自分には評価する対象すらなかったということでした。だって嫌いなタイプの監督なんだもん・・・
でも人ごとながら日テレも追悼映画は「時をかける少女」よりも「異人たちとの夏」にしてあげたほうがよかったのではないかな? 日テレは「時をかける少女」の版権を持ってるからかな?

 
 実は前記のとおりにNHK Eテレのほうの追悼番組も観ました。そっちのほうには自分が知らなかった大林宣彦さんの真実を語る姿がありました。次回はその「青春は戦争の消耗品ではない 映画監督 大林宣彦監督の遺言」という番組について書きたいと思います。
大林宣彦さんの真のメッセージを聞いたからといって「時をかける少女」が名作になるなんてことはありませんけどね・・・


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● COMMENT ●

こんにちは
原田知世、大林監督、両方のファンです
先日のテレビの主題歌の所で切られた編集は驚きましたね
「一番いいところで・・・」って
7時間かけて電車で尾道まで行き、ロケ地めぐりもしましたし、
大林監督が1月かけてドラマの撮影で俺も仕事してた伯父が経営の
施設に滞在してた時には、
大林ファミリーの俳優さんたちが来てくれて
テンション上がりました
監督にサイン貰ったときは、後ろに坂本カメラマンがいて
そっちのほうももらっておけばと今では悔やまれます

監督の裏メッセージには宮崎監督同様、反戦が含まれるといわれてますが
ごく一般人なので娯楽として楽しみましたよ

大林映画の導入部の手法の8ミリを使ったところは監督の趣味なんだそうで、
8ミリが当時ほしかったくらいです

細雪で浅野温子さんが監督と衝突下らしいのですが、
好き嫌いはあるでしょうね(笑)




マースケさん、いらっしゃいませ。

毎度いらっしゃって下さってありがとうございます。

浅野温子さんの出ていた作品は「姉妹坂」だと思うます。
大山和栄さんのマンガの映画化でマンガ自体が細雪をモチーフにしたような作品でした。
(映画はシロートですがこっちの方は本業なモンで・・・)

反戦のテーマ等は次の記事で書くつもりで、今は裏取りの最中です。
浅野温子さんとの衝突については(姉妹坂という映画も)知らなかったのですが
いつもお世話になってる「映画.COM」にヒントがありました。

映画.COMのレビューより
『公開当時「雪の断章」斉藤由貴さん主演を見に行き、二本立てで見てお気に入り。ただ、主演の沢口靖子がデビュー間もなく今以上に棒読み。年下の富田靖子の方がじょうず。映画会社の都合だろうが、いい話なだけに配役がざんねん!しっかり作れば名作になったろう。こんなんだから邦画が低迷したと思う。
演技が出来るキャストでの再映画化を希望。もう一度見たい。』

映画会社の都合というのは東宝の新人だった沢口靖子さんをプッシュする目的だけの作品だからですね。角川春樹の秘蔵っ子の原田知世さんの主演作のときと同じ構造です。
主演が演技出来ないから脇の姉妹を手練れで固める(紺野美沙子さん浅野温子さん富田靖子さん)のは常套手段ですが、主演が学芸会だったら浅野温子さんが監督にかみつくのは当然だったんでしょう。当時は「あぶ刑事」のカオルだったんだから・・・

今回の「時をかける少女」の記事では「映画.com」は参照しなかったんですが
「姉妹坂」のレビューの人がだいたい言いたいことをおっしゃってくれています。
最期は好き嫌いの話なんですけどねぇ・・・







そうそう姉妹坂でしたビデオ持ってるのに記憶があいまいになってます(汗)

世代ですので、角川書店の「バラエティ」って雑誌を購読してたので
俺の記憶や情報は全部そこからです

今のご時世では、女優さんが映画で脱ぐことも大変ですが、
大林監督は女優を脱がせることで有名でしたね
「野ゆき山ゆき海辺ゆき」では主演の鷲尾いさ子さんの行水がありましたし、
「彼のオートバイ彼女の島」では原田喜和子さんの入浴シーンが。

鷲尾いさ子さんも目の前で見たのですが首が長くてめっちゃモデルさんで綺麗した

大林監督の好みの女優って、だいたい「こんな感じ」ってのありますね
原田知世さん、中江有里さん、蓮佛美沙子さん、
顔の印象でグループ分けすると似てる気がします
俺が目元涼し気な女性が好みなので、そこにハマってしまったわけです

すみません、人様の所で書いてしまって。
大林監督が好きでも嫌いでも、その話題する方が居なかったもので
しゃべりすぎまして失礼しました


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