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2020-08

耽美なガールズラブ - 2020.02.15 Sat

中村明日美子さんの「メジロバナの咲く」です。

 前回の記事では仲谷 鳰さんのペラペラな百合マンガを取り上げました。読み返してみてもペラペラって何だよ?っていう消化不良な記事でした・・・ 
ペラペラについては「やがて君になる」のファンはもとより、アニメファンも承服しかねると思うんですよね。機会があったらもう一度取り上げて観たいと思っています。
今回は「ペラペラじゃない百合マンガとはこーいうことだ」という作品を取り上げます。それは中村明日美子さんの「メジロバナの咲く」です。

 自分にとって中村明日美子さんは近づきがたい存在のマンガ家でした。現代耽美ンマンガの中心だと思っています。耽美と怪奇は絵面が似ているせいでごっちゃになってるように思います。またゴシックが耽美というのも、ビジュアル系に引っ張られてるだけって感じです。それと耽美はギャグとの相性がよいので、おふざけ耽美や照れが入った耽美も多いです。
耽美のテーマは性と死だけなので、権力とか抗争とか達成とかいってる作品はエセ耽美です。「性と死以外のテーマになんの価値があるのか?」という人だけが描いたり読んだりするジャンルなので、メディアミックスを目的とした「やがて君になる」とは真逆といえるでしょう。
耽美の理解されない真実の愛とか、世を忍んだ・・・とかいう世界観はボーイズラブに合うようで、BLの耽美率の高さはとても高いようです。
そもそも中村明日美子さんはBLで認知されている最も有名なマイナーマンガ家です。そのマンガの実力は折り紙付きでデビュー当初から名を馳せていました。しかしメインがBLなので遠くから傍観していたっていう感じでした。なにしろ作者の名前が明日美子という尋常じゃない4文字名ですから、インプットされると目につきやすいんですよね。
「鉄道少女漫画シリーズ」とか、BL色が弱い作品は読んるんですが、原則BLはお姉様方が愛読するジャンルなので「男子は立ち入らずべき」が正解だと思っています。ジェンダーフリーの精神だと「男子同士の恋愛はみとめないのか?」っていうことでなっちゃうんですが、BLとかGLをじゃんだー問題に絡めるのはチャンチャラおかしいって思います。制作者側が読んで欲しくないって思ってるのならそれは性差別のハナシではありません。
同じイメージのマンガ家に西 炯子さんがいます。西 炯子さんはすっかりメジャー少女マンガにシフトチェンジしました。最近では男性誌にも執筆してるので嬉しい限りです。中村明日美子さんも「鉄道少女漫画」はかなり判りやすく歩み寄ってくれた作品だったのですが、ついに自身初の長編ガールズラブ作品の連載が始まりました。

 「メジロバナの咲く」は異国のハイスクールの寄宿舎を舞台に3年生の孤高の麗人「鋼のステフ」と退学させられそうな2年生で聖なる一夜をともにした「ルビー」のいがみ合いやら交流やらのストーリーです。マリみて的に言えば祥子さまと祐実すけ、さらに瞳子ポジションの1年生「リズ」とステフの相部屋で絶対にかき回してくるだろう歌姫の「レナ」
マリみてに例えましたが、びた一文も「マリみて」からの影響は入っていません。何処の国のストーリーかは本編で明記されていませんが、あとがきに書かれていた参考文献が石井理恵子さんの「美しき英国パブリックスクール」などでした。石井理恵子さんは森 薫さんのヴィクトリアン・ファンタジーの「エマ」の副読本の共著の村上リコさんとの共著もある英国サブカル・ライターです。安直に「マリみて」の設定をパクろうっていうレベルの作品とは重厚感が違います。
1巻での読み応えのあるシーンは『ラテンを学ぶということは消えていく言語を歴史として残していくこと』というくだりです。中村明日美子さんはこの作品で耽美マンガを単なるイメージ・マンガの世界から、普通の読者が読むに値すると思える作品に押し上げようとしてるような気がします。
明日美子作品を読み続けてきたファンからすれば、「何を今さら言ってんの・・・」ってことかもしれません。やっと中村明日美子さんが庶民にも馴染める耽美を描いていただける幸せ・・・(耽美的表現?)
びた一文も「マリみて」の影響を受けていないと書きましたが、キャラの視点の置き方やタイミングは「マリみて」っぽい印象はあります。それはパクリというよりも洗練された手法っていう感じで、仲谷 鳰さんはこーいう演出の大事なところは全くパクれていません。多分、カドカワの担当編集者にはそーいうスキルはないんでしょう。音楽で例えるなら気持ちいいコード進行っていうことですね。

 「メジロバナの咲く」は、志村貴子さんの「青い花」のような真のメジャー成功作品になると思います。中村明日美子さんは有名マンガ家ですが、自身の作品を評価する読者層がマイナーなんです。マイナーリーグのホームラン王みたいな・・・ 個人的には西 炯子さんや志村貴子さんと同じく一般誌で十分に評価されるハズのマンガ家だと確信していました。
この人達はマンガのスキルがとても高いのに一部のファン層向だけに向けて描いていた印象でした。西 炯子さんは持ち前のギャグセンスを大衆向けにアレンジし、志村貴子さんはエロ過ぎる部分を一般誌向けに調整することによって多くの読者に受け入れられたと思います。
百合をテーマにする場合、全てがファンタジーという表現の仕方と現実のLGBTは空想の世界ではないという表現の仕方に二極化すると思います。志村貴子さんはLGBTは現実の問題として扱うタイプの作風です。現実の同性愛の中に作者の性癖を上手にブレンドしています。中村明日美子さんの作風は耽美だけあってパブリックスクール(ドリーム)寄宿舎(ドリーム)亡命者(ドリーム?)っていう趣味全開な作風です。
ちょろっと名前が出た森 薫さんはマイナーなメイドマンガ家からメイドを描き続けることによってメジャーなメイドマンガ家に成り上がりました。中村明日美子さんは庶民に迎合するよりもメジャー耽美マンガの道を開いていって欲しいです。

 自分がまだ耽美の何たるかを知らなかった小学生の頃に初めて読んだのが山岸凉子さんの「日出処の王子」でした。思えばお凉さまが耽美マンガ界の女王?なのかもしれません。当然ながらガキんちょの自分には、そっと閉じることしかできませんでした。それ以降はお涼さまの作品は一切読んでいません。自分には無理だとしっているから。
しかし山岸涼子というマンガ家への評価は自分の中ではトップクラスのマンガ家です。自分が面白いかどーかではなくて、マンガとしてスゴいと小学生の自分ですら思えてしまったんです。
未だにお涼さまの作品が読めないのは、なんだか怖そうなお話ばっかりだからです・・・


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