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2019-10

絵本の King of Kings - 2019.02.02 Sat

ヨシタケシンスケさんの「おしっこちょっぴりもれたろう」です。

 まず、アングレーム国際漫画フェスティバル2019で、高橋留美子さんがグランプリを受賞いたしました。去年のコミコンインターナショナル(アメリカ)のコミックの殿堂入りにも高橋留美子さんは選ばれていました。アングレームについては言いたいことは過去に書いてきたので、今さらどーこー書くつもりはありません。ただ、高橋留美子さんが授賞したということは『芸術的な作品ではないマンがにも評価が与えられた』という意味で画期的だったと思います。
マンがに芸術性を求めることはマンがの本質から外れることですし、芸術の表現媒体にマンがを使うのも意味があることなのかな?って思っていました。世界では「コミック」という単語に芸術という意味も含まれているのだとしても、高橋留美子さんの作品は商業マンがであって芸術作品ではありません。
そもそも高橋留美子さんはマンがの世界に何一つとして新しい技術や概念、表現方法などを開発していません。80年代前後のスタンダードなマンがの手法をそのまま現代まで描き続けてきた人です。むしろマンガのタイプとしたら古くさい部類に入ります。
しかし受賞理由は『出る杭は打たれる日本社会でアウトサイダーや変わったキャラクターを前面に押し出し、彼らにもチャンスがあることを伝えてきた。コメディーに見えて極めて進歩的』ということらしいです。(伝聞ですが・・・)フランス人の出る杭は打たれる日本・・・というステレオタイプなイメージもどうかと思いますが、芸術に逃げていないホンモノのマンガ家が芸術の国で芸術抜きで授賞できたことには意味があったんでしょうね。


 本題のヨシタケシンスケさんですが、第11回 MOE絵本屋さん大賞に「おしっこちょっぴりもれたろう」という作品が第1位になりました。ヨシタケ・・・誰それ?って方が大半でしょうが子育てママには絶大な有名人らしいです。絵本作家というと繊細(神経質)な人や仙人(じーさま)のような人っていう先入観がありますよね。しかしヨシタケさんはどちらかといえばアスリート体型な大男で、サイン会では子どもの想像のはるか上をいく風貌に泣き出す子どもが多数というキャラの持ち主です。
早くから児童文学を志していたというタイプでもなく、就職してイラストレーターになって、人に奨められて絵本を書き始めたっていう経歴です。ヨシタケさんについての詳細を書いていますが、本当はヨシタケさんのことも作品のこともまったく知りませんでした。たまたま関東ローカルTBSラジオの「伊集院光とラジオと」という番組のゲストでヨシタケシンスケさんがゲスト出演していました。それは営業車の中で聴き流していたんですが、たまたまテレビでMOE絵本屋さん大賞の話題を取り上げていて、書店の方々が「おしっこちょっぴりもれたろう」を推薦していました。「この作家のこと知ってる」と思ったら伊集院さんの番組に出てた人でした。

   JPEGヨシタケシンスケ   


 ラジオで聴いたときに印象的だったのは「元々ホンモノそっくりな絵がかけない。リンゴを見ないで描く。見ないで描けば間違っていても怒られない」という話っでした。題材を見て描くと「何で見た通りに描けない」と叱咤されたことが苦い経験だったそうです。それを聴いて「この人好きだわ」って思いました。
あと「子どものころの自分が読んでいて嫌いだった絵本は書かない」とのこと。伊集院さん曰く「この作者、オレに歯磨きさせようとしてやがんな・・・」っていう感じの教訓的な絵本は子どもにとってはまったく楽しくないんですよね。ベースに「子どもは飽きっぽい」という見識があるから、後半に文字数が増えてくるような絵本はダメ絵本なんでしょう。
「子どもが好きで好きで、子どものための絵本を描きたい」という気持ちは間違っていないけど、実際の子どもの生態を実感していない人が絵本の作ろうとすると、やたら文学的とか写実的とか抽象的とか哲学的とかになりがちなんでしょう。そんなことは子どもの飽きっぽいおつむでは、受け入れられないようです。文学部崩れの女子大生とか児童心理学をかじった教育熱心派の人たちには「そんなこと無い」って声が聞こえます。
しかしヨシタケさんの絵本には文学も精密な描写も出てきません。絵柄から抽象的と捉えそうですが「りんごかもしれない」は具体的にりんごとりんごじゃないものを描き連ねた作品です。おしっこも具体的だし。哲学的は作者当人が「哲学的な意味ですね」って言われると深読みして評価されてラッキーって思ってるようです。当人はそんなモノは絵本に込めていないとラジオで明言してました。

 そんなヨシタケさんの絵本が変わり種なのか?それともそれまでの絵本が根本的に間違っていたのか?そんな答えはどこにもありません。しかし自分は絵本全般が大っ嫌いな幼児でした。幼稚園に置いてあった絵本を、まったく読みませんでした。絵本を読む時間も読んでるフリをしていた記憶が残ってるくらいです。
親も自分に読み聞かせなんてしていなかったと証言してました。どーせ読まないからあんまり買ってもらえませんでした。絵本を読まないと言葉が遅れるとか心配がありそうですが、自分はむしろ言葉や識字が早かったようでした。絵本が嫌いだったのは段ボールのようんばゴツい紙に原色で塗られた桃太郎みたいな絵本のセンスのなさ、薄墨や透明水彩で描かれた“おじいちゃんのような絵”の絵本の陰気さ。展開を追うだけで結論のゆるいストーリーもわざわざ読む意欲が湧き上がりません。
伊集院さんがラジオで言っていた「ボクは図鑑のような絵本が好きでした」というのに同感です。物語を読むことよりも自分で物語を作っちゃうタイプだったので、既存の物語がまどろっこしかったんでしょうね。図鑑や事柄の羅列は想像する物語の資料になるのです。怪獣のストーリーのお話を読むよりも、怪獣の設定(身長、体重や武器、必殺技など)を羅列してくればストーリーや戦いは自分で考えます。むしろ自分でお話を考えることのほうが重要で、本のお話を正確に読解することを幼児に求めるほうが無意味なんでしょう。お受験ではそーも言ってられないんでしょうけど・・・

 自分はまったく字を読まない子どもだったというわけでもなく、小学館の「幼稚園}は毎号買ってもらってました。ここで「ドラえもん」に出会い、コマに書いてた読み順の番号でマンガの読み方を学びました。しかしすぐに「ドラえもん」がつまんなくなり「幼稚園」にも興味が失せて、卒園したら「一年生」を読むんだろうと思ってた親は肩すかしだったようです。当然ながら児童文学にもまったく興味がわかず「本をまったく読まない子」というレッテルがぺったり貼られてました。見かねた?父親が仕事帰りに買ってきたのは赤塚不二夫さんの「天才バカボン」でした。コレが不定期購入でしかも本屋に売ってるのを行き当たりばったりに買ってくるので、13巻の次が25巻でその次が3巻っていう感じでした。1巻目はかなりあとに読んだ記憶です。その頃の「天才バカボン」はアニメ化される前のちょうど少年マガジンが世間を騒がせてる大学生の読み物だった時代のマンガでした。
自分にとってのヨシタケさんは「天才バカボン」だったんでしょう。今、ヨシタケさんの絵本を見ると「ああっコレは現代の天才バカボンなんだなぁ」って・・・ そんなわけねーだろっていうママさんファンの声が聞こえますね。

 そんなヨシタケさんがどれくらい絵本業界で席捲しているのかといえば、MOE絵本屋さん大賞で現在4連覇中とのことです。この賞は絵本を売っている書店員さんによる年間ランキングです。自分は2018年度(去年の12月発表)の大賞がヨシタケさんというニュースを聴いただけでしたが、実際はそれどころじゃないじぇっせきの方でした。

  ヨシタケシンスケさんのMOE絵本屋さん大賞受賞歴

第6回 1位 「りんごかもしれない」 ヨシタケさんのデビュー作

第7回 9位 「ぼくのニセモノをつくるには」 ヨシタケさんの発想絵本第2弾

第8回 1位 「りゆうがあります」 理由があればはなをほじってもいいのか?

第9回 1位 「もう ぬげない」 伊集院さん絶賛の「服がぬげなくなった子どもは諦める」
       
     2位 「このあと どうしちゃおう」 死をテーマにした発想絵本シリーズ第3弾

第10回 1位 「なつみはなんいでもなれる」 女の子主人公で一番可愛い表紙?

     3位 「つまんないつまんない」 つまんないことがいっぱいの話らしい

第11回 1位 「おしっこちょっぴりもれたろう」 MOE絵本屋さん大賞 4連覇作品
     
     2位 「みえるとか みえないとか」 自身2度目のワンツーフィニッシュ

結論から言えばヨシタケ時代が来ているようです。デビュー作から常にランキング上位をキープしています。この賞は子どもに訊いてるのではないから、読者の意見はあんまり反映されていません。パパママ賞という部門も併設されているから、そっちのほうが読者(子ども)の声が反映されてるのかもしれません。
テレビでMOE絵本屋さん大賞のニュースを観たときに、ヨシタケさんの本を押していた店員さんが自分がファンみたいな勢いで取材に答えてました。児童文学を大人のこのみで選んじゃ駄目だろとも思いますが、彼女にとっては現代の「天才バカボン」に匹敵するんでしょう。全然違うけど・・・
ヨシタケさんの本を推薦してる人のブログを見てたら「小さい頃から実践できる哲学」と表現していました。それこそヨシタケさんにとってはシメシメって感じなんでしょう。
「おしっこちょっぴりもれたろう」のタイトルを「おしっこちょっぴり漏れたろう」と人文字だけ変えると高血圧や肥満の本と同じ棚に並んでる本みたいです。お父さんたちにとってはとてもリアルな感じになりますね・・・


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