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2019-04

勝谷誠彦さんに捧ぐ - 2018.12.11 Tue

11月28日、コラムニストの勝谷誠彦さんが肝不全にて他界いたしました。

 訃報はニュースで聴いたんですが、驚くというよりも久々に名前を聞いたなっていう感想でした。重症アルコール性肝炎が、いかにも勝谷誠彦さん的に納得のいく最後だったと思います。訃報に寄せた関係者のコメントは「やっぱり、お酒か・・・」という人ばっかりでした。
自分のまわりの人の印象だと、酒飲みを自慢する人や毎晩飲んでると豪語する人は、多かれ少なかれアルコール依存だと思っています。同じく毎日チョコを食べなきゃ気が済まない人は、チョコ依存といえるでしょう。依存症とは医者が診断するのではなくて、ある物に頼ることをやめられない状態はは全て依存症です。
10年くらい前に会社の先輩が、外回り中に山手線の駅で吐血し緊急入院しました。当人と会社が協議した上で退職になったんですが、彼は病院から戻ってくることなく1ヶ月で帰らぬ人になりました。この手の人の「オレは酒と生きてる」とか「覚悟が違う」とかいう強がりは、根性なしの嘘っぱちに過ぎません。勝谷誠彦さんも盟友たちのコメントからは、強気なスタンスも含めてウソと虚勢をくり返しビビりながら最後を向かえたんだと想像つきます。コレを機に酒飲みに対して酒豪とかをポジティブに表記する文化を控えたほうがいいんでは?って思います。それくらい劇症肝炎で亡くなる人の隣人はやってらんない気分になります。ましてや、親族の無念さはいかほどでしょう。

 彼の没後の彼自身の盟友たちがバラしている勝谷誠彦の真実を読むとスポンサー企業や放送局、政治団体に配慮してコメントを曲げない姿勢は、自らが課した勝谷誠彦像を守るためだったように思えます。本当に周囲から干されることや敵を作ることなどへっちゃらな人だったら、あんな晩年を迎えなかったでしょう。他人を切ることは自身にも相当のストレスになったようです。うつ病でアル中なんて全然平気な人の晩年ではありません。
勝谷さんはボクシングに傾倒していて自身も試合にも出ている話をよくしていました。ボクシングのプロとアマの関係がよくわかんなかったんですが、ボクシングというストイックな感じも勝谷さんを構成するのに必要な要素だったんでしょう。三島由紀夫的に思想家が身体を鍛えるっていうベクトルに向かうのは、うーんって思います。宮台真司さんの空手自慢もそうですが、筋トレでドーパミンを出したりアルコールで酔っ払うのは、思想家の思想に物理な影響を与える気がします。

 輝かしい勝谷誠彦さんのジャーナリストとしての経歴はネットニュースなどで語られています。世間のイメージは『最も番組を降板させられたコメンテーター』ではないでしょうか?
自分が初めて勝谷さんを知ったのは2001年から始まったTBSラジオの「ストリーム」のコラムの花道というコーナーでした。このコーナーは日替わりのコラムニストがそれぞれの得意ジャンルをラジオコラムという体で語り下ろすというコーナーでした。プロインタビューアーの吉田 豪さんや映画評論家の町山智浩さんなど、今ではメジャーなサブカルの大御所を知るきっかけになった番組です。それまで認識がなかったのはテレビのバラエティー番組をまったく観ていなかったからで、自分が知っている勝谷さんは100%ラジオ出演の勝谷誠彦です。
そのころの勝谷さんの印章はズバズバと切り込む辛口なコラムニストでした。政治や制度批判、社会事件などがテーマのことも多かったのですが、サブカルやアングラの情報やゴシップ、雑学などにも造詣が深かったです。テレビや文章では政治評論家のイメージでしょうけど、自分にとっての勝谷さんはコラムニストでした。だって出演していたコーナーが「コラムの花道」だったから・・・

 TBSラジオではこのほかにも宮台真司さんや山田五郎さん、山藤章二先生なども良質なラジオコラムを聴かせてもらってました。コラムというのは“コラムニストの思ったことを発信する”ことです。ソレは政治批判や評論とは違います。思想や信条が自分とは多少違うかな?って思っても、そう思う人もいるんだなって流せるのがコラムのいいところです。極端なハナシですがコラムに正しいも間違ってるもありません。事実誤認が多少あったとしても「この人は事実誤認してるなぁ」ってくらいのモンです。希代のコラムニストのみうらじゅんさんは「激しい事実誤認と間違った性癖」が持ち味の人です。誰もが「みうらじゅんは間違ってる」と思うことがウリです。
この「自分とはちょっと違うかな?」ってとこも含めて勝谷さんのラジオコラムは一級品でした。この「コラムの花道」を聴くことは外回りで営業車に乗っていた自分の日々の楽しみでした。自分と大きく意見が違ったのは彼が40歳にしてサザンオールスターズのファンになったこと。ももクロのほうは自分の中に評価基準がまったくないからどーでもいいんですが、「今さらサザン?」って感じが違和感でした。彼の世代だったら10代か20代前半でデビューしてるハズです。自分はとっくにサザンを見切ってたのに、2000年になって突然「桑田佳祐の素晴らしさ」を語られてもって思ってました。高校生がYouTubeで見つけて興奮してるならまだしも、勝谷さんが語ってることは「20年前から日本中の人が知ってたことですよ」って感じです。

 あと中学時代に少女マンガに出会ってから早稲田大学で少女マンガ研究会を作った逸話。実際に竹宮恵子さんとの親交もあるそうで、勝谷さんの著書のカバー絵とかも竹宮恵子さんが描いたそうです。自分も同じように少女マンガに引っ張られました。しかし、世代的に勝谷さんは「風と木の詩」や「ポーの一族」とか、耽美系大河ドラマの時代だそうです。当時の少女マンガのトップの作家性は、少年マンガのトップのマンガ家たちの作家性を上わまっていました。自分は耽美派の後のラブコメ時代の少女マンガなので、勝谷さんほど大御所への郷愁はありませんでした。15歳で「風と木の詩」だと大学時代はニューウエーブのころだと思います。当時、語っていたい「軽井沢シンドローム」好きも時代が合致します。
このころはサブカル界では空前のマンガブームでした。マンガが売れていたというよりも、売れていないマニアックな作品を評論することが格好いいって感じでした。「ぱふ」とか「ふゅーじゅんぷろだくと」とかの時代です。マンガの批評がブームになると、マンガを語る人に描き手と読み手以外の第三者が登場しました。それはマンガ批評家という人たちで、NHK BS の「マンガ夜話}に出てくる人たちのような方々です。それはそれで見識だからいいんですが、そーいう活動を得意になってしていた大学生像が勝谷さんの早稲田大学少女マンガ研究会だったんでしょう。自分が同世代で勝谷さんとこのサークルで会ったとしても、意見は合わないだろうし仲良くもならなかったでしょう。ディベートでは勝てないでしょうけど、マンガ論という訳のわからん議論なら負ける気がしません。マンガの技術論は存在しますが、技術論と作品の感想文をごっちゃにしたマンガ論ばっかでした。そのマンガ論に作者の思想や作品の意味や価値を付け加えちゃうと「何それ?」ってなっちゃいます。自分は大学のマン研というのを人一倍に否定していたのを覚えています。

 7年半続いた「ストリーム」も勝谷さんの「コラムの花道」での不適切な何かによって人気絶頂のまま打ち切りというカタチで番組は終了してしまいます。打ち切り理由は色々あったようなんですが、大きなチカラによって終了ということはリスナーにも伝わってました。TBSラジオを出禁になった勝谷さんはニッポン放送の「ザ・ボイス」で再び聴くことになりました。しかし「ザ・ボイス」での役割はニュース解説者なので「コラムの花道」的なテイストは薄まってました。近年はどのニュース・バラエティも二項対立を煽る構造になってしまいました。この「悪い方は袈裟まで悪い」という罵り合いや罵倒のニュース解説に嫌気が指していました。
テレビでは明らかに下品なコメンテーターが得意になって「○○党が嘘つきの集まり」とか「○○団体が悪の巣窟」とまくし立てて「対立する方が正義、悪の言い分は一切報道しません」というスタンスです。これに対してTBSラジオの「デイキャッチ」に山藤先生が出てたころや、「ザ・ボイス」の初期のころは、フラットに聞く耳を持ったニュース番組という印象でした。しかし、ラジオのニュース番組も以前のように「ニュースの裏側は提供するから是非はリスナーが考えて・・・」という構成ではなくなっちゃっています。そう思うきっかけになったのも勝谷さんが「ザ・ボイス」を何かのチカラによって降板させられたあたりから。相変わらず降板させられてる勝谷さんですが、メインパーソナリティーの飯田浩司さんがよく回から勝谷さんなんかいなかったことにして番組を進行したことに不審感を持ちました。勝谷さんのキャラだったら「チクショーこっちから辞めてやるよ」くらいの小芝居につき合ってあげるのだと思ってました。だって勝谷さんと飯田さんは絶妙なキャッチボールができていたから。

 正直いってテレビの報道バラエティーとかニースワイドショーとかはまったく観ていないです。新聞は取っていますが、なるべく読み込まないようにしています。新聞は見出しだけを追うと日常の報道の流れは掴めます。でも、主語や目的語が必ずしも正しいとは限りません。これらのニュースはすでに一次情報とは思えなくなっています。TBSラジオの「デイキャッチ」やニッポン放送の「ザ・ボイス」などは、テレビのニュース番組よりもフラットな媒体だと思っていました。しかし、ここ数年ではこの2番組もすっかり悪口メディアに成り下がった印象です。この2番組を聴かなくなったのはニッポン放送で勝谷さんが降板されたころからです。
正しいことが言いたい人と悪口が言いたい人がいます。正しいことが言いたい人が正しくない人を語るとソレは悪口になりますが、悪口を言いたい人に悪口を言われたとしても言われた人が正しくないとはいえません。
勝谷さんはまだニュース番組が人の悪口を言っちゃいけない時代から、悪口を言っていたんだと思います。辛口コメンテーターの先駆者なんでしょう。今では芸人がしたり顔で暴言を吐き、俳優とか元スポーツ選手でさえバンバン世相を斬っています。そーいう人たちは大きなチカラにしたがって従順に暴言を吐いてるんでしょう。でもソコに従順になる覚悟もプライドを捨てる勇気も無かった勝谷さんは、自暴自棄な生き方しかできなかったんじゃないのでしょうか?

 勝谷さんの仕事の中で特質なのは『勝谷誠彦のXXな日々。』という有料ブログサイトです。ブログの黎明期からいち早くネット配信で文章を公開する手法を取り入れ、当時もピンとこなかった有料サイトも先駆けだったと思います。とにかく1日も休まないというのがウリだとよくラジオで自慢していました。少女マンガやサザン懐古、もももクロ押しなど、ことごとく意見が合わなかった勝谷さんでしたが、このブログに関しては金言がありました。

 『日記を毎日書くのは大事だよ。毎日書けば、必ず文章は上達す』

ああっ毎日書くことは重要なんですね。わかってんですけど、なかなか・・・


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