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2019-10

YOU ついに休刊へ - 2018.10.24 Wed

集英社の女性マンガ誌「月刊 YOU」が今月号(11月号)をもって休刊になりました。

 前回の記事の差別支持の某雑誌のような不祥事での廃刊ではなくて、月刊YOUの休刊は単純に業績不振からの休刊です。あっちも業績は惨憺たるモンでしたけどね。現行の連載作はそれぞれに移籍するなり、急遽完結するなりのようです。
今年の比較的メジャーな女性マンガ誌の発行部数のデータを拾ってみました。

集英社 YOU 68,000部、offceYOU 55,000部、クッキー 36,000部、ココハナ 55,000部
講談社 BE・LOVE 87,000部、kISS 73,000部、デザート 46,000部
小学館 プチコミック 75,000部、フラワーズ 33,000部
祥文社 FEEL YOUNG 12,000部
白泉社 MELODY 37,000部

前回の新潮45の炎上記事が発行部数20,000部に満たなかったのが原因とのこと。女性マンガ誌の現状は似たり寄ったりです。集英社は4誌の合算で214,000部のボリュームです。講談社が3誌の合算で206,000部なのでこの2社が2強って感じですね。祥文社はちょっとピンチです。集英社のココハナや白泉社のMELODYは、女性マンガ誌というよりもオトナ向け少女マンガ誌っていうイメージのほうが強いかな?
マンガ雑誌の市場ピークはジャンプの700万部のころですが、女性マンガ誌に限らず紙媒体のマンガ誌の限界が見えてきてる感じです。しかしマンガ市場がネットに移行してるという指摘ほど、ネットでマンガを見るボリュームが増えてるようにも思えません。衰弱してるのは製本というメデイアではなくてマンガそのものなんでしょうね。

 月刊YOUの休刊を惜しむ声は想像よりも多かったみたいです。1980年創刊で38年の歴史がある大看板だったから当然でしょう。しかし、この記事でYOUなんてマンガ誌があったのを初めて知った人も多いのが現実です。逆に今年の5月に休刊になった白泉社の別冊花とゆめの反響が大きかったことが意外な感じでした。こっちは老舗の花とゆめが休刊したんじゃなく別冊のほうです。「ガラスの仮面」がいつのまにか別冊花とゆめの掲載だったから、「あのっガラスの仮面の・・・」って妙な話題性がついたんでしょう。ガラスの仮面はとっくに別冊花とゆめに移行していました。でも休載だったからどーでもいいって感じなんですが、当人(美内先生)は完結まで描くとの声明を出してます。さらにどうでもいいニュースですね・・・
女性マンガ誌というのは微妙なマンガのジャンル分けです。少年ジャンプをサラリーマンが読んでも少年マンガだし、ビックコミックを女性が読んでいても青年誌です。女性向けだからっていうと何歳までが少女誌で、何歳からは女性誌という決まりも漠然としてます。レディスコミックやヤンレディースなんかも雑誌の売り口上以上のものではありません。実際にYOUも最初はレディースコミックとうたってました。しかし、レディコミが完全にポルノ雑誌化してしまうと、女性マンガ誌という感じに表現を変えてった感じです。
休刊の報道記事に書かれている『月刊セブンティーンの特別編集としてスタートしたYOUは・・・』という記述はイメージしにくいですね。月刊セブンティーンとは現在も続いている少女向けファッション誌の「Seventeen」の前身です。月刊セブンティーンもマーガレット(女児向け)から派生した17歳(中高生の自称お姉さん向け)ファッション+マンガ誌でした。それがファッション誌とマンガ誌に分離し、それぞれYOUとSeventeenになったようです。

 YOUにはヤングユーとかオフィスユーとかその他もろもろのナントカYOUが存在してました。ザックリと女子大生向けヤングユー、新人OL 向けオフィスユー、専業主婦向けYOUって感じでした。自分はマンガ誌を購入するよりも単行本で読んでいたので、YOUコミックスというレーベルでチェックしていました。どのYOUでもだいたい同じテイストというブランド力がありました。
ソレまでのマンガ家というのは子ども向けが大前提でした。大人向けのマンガ家になりたいといっても、発表の場も少なくて取りあえずジャンプやりぼんの新人賞からスタートって感じでした。読者が少女ならマンガ家も少女です。しかし、読者だって10年も経てばハンサムな転校生にときめくマンガばっかじゃキツくなります。実生活で転校生に会う事のないオトナになった読者にも、その先のマンガが必要になってきました。それ以上にもう転校生にときめきたくないオトナになった少女マンガ家も、その先を描く場が必要になっていました。そんな描き手と読者のニーズが一致したのがレディスコミックだったんでしょう。
レディスコミックはすぐにセックスの無法地帯になります。セックスは描きたい(読みたい?)けどフリーセックスははしたない。あくまでも受動的にセックスしなきゃいけないから、強引にセックスに持ち込む展開が多くなる。もうされはマンガ家が描きたいマンガなのか、編集部が描かせたいマンガなのか疑うほどの低レベルになりかけました。
集英社の判断はマンガ家が描きたい女性マンガ誌を作るっていう方向でした。判りやすくいえば津雲むつみさんと槇村さとるさんのどっちを取るか?ってことかな。メジャー出版社系のレディスコミックも性描写に特化した作風を敬遠し出します。当時の女児むけ少女マンガの児童ポルノ化がバレだして社会問題になってました。少女マンガの究極のゴールは初体験なんですが、オトナの恋愛ではセックスしただけじゃストーリーは終われません。就職や結婚、出産・・・女の人生は続くんですよね。描き手がオトナになるというコトは、その先が具体的に描けるということです。

 とくに少女マンガからYOUに移行して正解だったのは槇村さとるさんです。槇村さんは少女マンガのころの印象はインテリな大人の女性なのに、少女マンガという枠を小馬鹿にしてる(役不足に思ってる)わりに内容がこんがらがってる印象でした。たとえば、小島慶子さんのようなヤヤコシイ人がマンガを描いてるのかな?って思ってました。槇村さんは無理して少女向けマンガを描くことにバランスを崩してる印象でした。「おいしい関係」を読んで槇村さんは女性マンガ誌で描くべき人だったんだと納得しました。
自分が大いに影響を受けたマンガ家では、市川ジュンさんの歴史モノや洋食シリーズ、深見じゅんさんの「ぽっかぽか」と「悪女」を集英社と講談社で描き分けるスゴさ、島津郷子さんの「ナース・ステーション」のちゃんとしたオトナ向けマンガなど・・・
前回、記事で紹介した鴨居まさねさんや「Papa told me」の榛野なな恵さん、面白いマンガを描く能力がベスト10に入る森本梢子さんなど、YOUコミックスで知った自分の中のレジェンドが名を連ねていました。最後の王道?少女マンガ家のい花田祐実さんもヤングユー出身です。

 マンガに何を求めるのかは読者によってそれぞれです。ヒーローが活躍するのもアリだし、美少女の際どいお色気もアリです。社会性や歴史、哲学など小難しいモノから全ページがアクションなマンガなど様々です。自分はどんなジャンルでもアリだとは思うんですが、最低限は人間の生活に密着できるマンガが好みです。平凡な日常が・・・っていうことではなく、当たり前の生活の中にあるドラマの悲喜劇こそがマンガの醍醐味です。謎のウイルスとか殺人事件の犯人とかの展開にはあんまり興味がわかないので、主人公が勝手に探してろって感じですね。
純粋な少女マンガは学校を卒業すると読むのがキツいんですが、YOUのようなオトナ向け少女マンガというのが自分にしっくりきました。雑誌では購読していなかったんですがYOUコミックスというレーベルでチェックしていました。
マンガ誌はスポーツも海賊もSFもラブコメも、幕の内弁当のように作るのが基本です。マンガのストーリーにも好き嫌いがあるから、何かしら引っかかる作品があれば購読につながるからです。
しかし、雑誌には大まかなジャンルとか対象年齢や性別が存在します。恋愛モノ・オンリーのマンガ誌でも純愛甘々か不倫ドロドロかで選ぶ読者が違います。正規雇用か非正規かにこだわる作品と勇者か神官かにこだわる作品は大勝の読者層が違います。女性マンガ誌のレーベルにはそういった区分けのようなモノが存在してました。YOUらしい作品とか、FEEL YOUNGらしい作品というのがマンガのブランドだったんです。

 自分は雑誌での購入がほぼゼロなので、レーベルとしてマンガ誌が残っていれば問題ありませんでした。しかし、休刊というのは作品の発表機会を減らすことになります。90年代をピークに一般の書籍も含めてマンガ誌の部数減少が問題視されはじめました。まだネットで新作マンガが晒される前からです。紙媒体がここまでダメージを喰うとは思っていませんでしたが増えすぎたマンガ誌の統廃合は進むだろうとは感じてました。
当時から『何でマンガのコミックスは雑誌掲載された作品を単行本化するのか?』って不思議に思ってました。ある程度名の知れたマンガ家の新作はいきなり書き下ろしでいいんじゃないかな?って思ってました。だって単行本で買う意思がある人は絶対にマンガ誌を買わないからです。逆にマンガ誌で読んだ作品を単行本で揃えるというのは、マンガ読者というよりもマンガコレクターって意味合いが強いです。この実存する本を手にするという出版のスタイルが、ネットの中のデータを買うというバーチャルに勝てなかったんです。
通常マンガの単行本の流れは新作雑誌掲載→単行本ですが、ネットマンガだとネット掲載→ダウンロードなので書き下ろしのようなもんになっています。読者はダウンロード(もしくはネット閲覧)が作品を入手した手応えなので、ネットマンガ家たちはほぼ書き下ろしです。この構造にビジネスモデルが移っていくことがマンガ誌休刊の原因なので、マンガ誌をペーパーレスにすればマンガ誌が生き残れるというもんでは無いと思います。全てのマンガ誌をネットに移行したら、マンガ家が出版社と作家契約する意味が失われます。
出版社ができることはレーベルを作ることです。ネットビジネスの住人が作ったマンガサイトは玉石混交どころか石だか何だか判らないモノばっかりという印象です。実はまだマンガという作品にかんしては、出版社や旧態依然としたアナログ・マンガ家のノウハウが必要な状態です。マンガサイトを運営してる人がマンガに詳しいとか作品に入れ込んでるとは限らないからです。
もし、出版社がマンガを手放したらもうヒットマンがは生まれないでしょう。ピコ太郎のような突然世界中の話題になる作品は発生するかも知れません。しかし多くの作品は再生回数が何百万件というユーチューバーと同じ扱いになるでしょう。それはそれでマンガ家が子どもたちの憧れの職業になるかも知れません。でも自分は現在のユーチューバーの名前を知りません。例えがピコ太郎っていうのが自分の限界ですね。

 YOUが休刊する理由を集英社は明確にしていませんが、YOUの読者の中では「まさか」よりも「とうとう・・・」と声が多い感じです。YOUにはYOU らしい作品というのがあったと書きましたが、逆に晩年のYOUでは「おそ松さん」という、およそYOUの主流の妙齢なお姉様方の関心を引かないだろうコンテンツや、「群青にサイレン」の桃栗みかんさんのような、おおよそショタ狙いなど長年のYOU読者に不審感があったようです。「ダメ恋」の中原アヤさんもせっかくの?YOU掲載でしたが、いかにも少女マンガのまんまだったので女性マンガ誌って感じではなかったですね。めでたく新作でココハナに移籍が決まってるようです。「まんまるパタジェ」のあいざわ遙さんもザ マーガレットに戻っちゃった感じです。今後、マーガレット グループとココハナをどういうレーベルに育てるかが重要なんですが、全ては発行部数頼みっていうのが何だかなぁ・・・


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