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2018-11

コードギアス一夜漬け - 2018.06.16 Sat

「コードギアス」シリーズについてです。

 先日、宇多丸さんの 「アフター6ジャンクション」という番組で『 宇多丸よ教えてやろう、アトロクの世界では知らないことに価値はないんだよ!今なら間に合うコードギアス一夜漬け特集 By 宇垣美里&藤津亮太 』という特集をやっていました。
通称「アトロク」とはTBSラジオ関東ローカルの番組で主に音楽やサブカル、オタク向け情報発信番組です。この特集は「コードギアス 反逆のルルーシュ」を愛する宇垣アナが、まったく知らないライムスターの宇多丸さんへリミーターを外してまくし立てる回でした。宇垣アナはTBSの局アナですがラジオではアニメ、サブカル、残念系アナウンサーとして売り出し中です。この「コードギアス」の回は久々にラジオを聴いていてクラクラになりました。
自分はまったく近づけない有名な作品が三つあります。一つが「ジョジョの不思議な冒険」二つ目が「HUNTER×HUNTER」そして最後が「コードギアス」です。この三作品は何やってるのか解らなさすぎて、嫌いになる情報も持っていないほど近づけない作品でした。ジョジョのスタンドとかハンターの念とか、ちんぷんかんぷんですよね。
「コードギアス」のコードとは cord の紐や電気コードではなく code の暗号や情報の意味で、ギアスは特殊能力の名称(王のチカラ)なのでコードギアスで情報を操る能力です。「反逆」は支配側の主人公が体制にレジスタンスするストーリーで、「ルルーシュ」は主人公の名前でした。

 オリジナルな世界観で戦う作品は都合よくルールが変わったり初期の設定を覆す設定が生まれたりで「作者の言ったモン勝ち」になりやすい傾向です。作中のドラマの展開は作者の胸三寸だし舌先三寸なのは当然ですよね。
しかしドラマとはあくまでも登場人物が物の流れで転がっていくように思わさなきゃいけません。都合よく超能力が手に入ったり、都合悪く倒したハズの敵が復活したりするのは明らかに作者のドラマ進行上の都合よさです。作者の意図なんですが主人公の人生を作品化したっていう感じになることが作品への感情移入です。こーいう設定ありきの作品はなるべく敬遠してきました。
しかし、今回の宇垣さんの暴走企画のおかげで「コードギアス」という作品が何をやってるアニメなのか解りました。宇垣さんの暴走放送はTBSラジオクラウドで聴けますので、興味がある方は探してみてください。(TBSラジオ アフター6ジャンクション 2018.05,22 特集コーナー)

 今さらながら「コードギアス 反逆のルルーシュ」はガンダムを作ったサンライズのアニメで、現在は劇場版三部作の三作目「皇道」が公開されています。藤津亮太さん情報では監督の谷口吾朗さんは演劇志望だったらしく、もともとアニメに関心があったわけでもなかったようです。自分がピンとくるのは「プラネテス」の監督としてですね。当時、テレビで放送していたころは谷口吾朗なんていう名前も知りませんでした。
今回の記事を書くために復習ったらなるほどと思うところと意外と思うところがありました。「プラネテス」はリアル志向の本格SFアニメで、原作も「宇宙兄弟」の元ネタ?っていう感じの作品です。「プラネテス」の現実的な世界観は「コードギアス」の世界観とは相反するんですが、谷口吾朗さんの「既存のアニメのお約束なんか知ったこっちゃ無い」という部分が共通だと思います。
サンライズのアニメでは「コードギアス」の前に「舞ーHiME」というテレビアニメシリーズがありました。この作品は小学男子向けのロボットアニメばっかりのイメージだったサンライズが、おっきいお友達も意識した“萌え美少女アニメ”でした。萌え=エロという割り切った演出と独自の世界観で都合よく美少女が戦ったり殺し合ったりする昨今の深夜アニメの先駆けのような作品でした。自分は静流&なつきのカップリングだけのために観ていましたが、ストーリーは最後までピンときていませんでした。
ストーリーや設定は一般向けとはいえないけど、設定資料集も込みで楽しむオタク向けによくできた作品です。この作品も谷口吾朗さんが噛んでいます。「舞ーHiME」シリーズはオタク心に訴える演出でしたが一般向けとはいえませんでした。何しろ深夜アニメだったので普通の中学生は観ないという前提だったんでしょう。
「コードギアス」も深夜枠でしたが、製作当初は夕方アニメを目指してたそうです。藤津亮太さんの情報では『谷口さんは、アニメ離れしていた中高生が、再びアニメを観るようになってきているとリサーチしていた』とのことです。「コードギアス」は中高生に向けヒットするように周到に計算された作品だということです。そして続編の「コードギアスR2」は何と夕方5時からの放送になりました。
自分が唯一コードギアスで視聴したのは、この続編がテレビ放送された時の第1話をオンエアで観たときでした。このときの印象は一般市民が雑に殺されるシーンが前半の15分続き、CM の段階で観るのを止めちゃった記憶です。そのことも宇垣さんのおかげで思い出しました。

 「コードギアス」がどーいうお話なのかをネタばらし抜きで語るのは難しいですが、公式 HP にコードギアスとは『君を守るために、世界を壊す』と書いてあります。コレがこの作品のメインテーマなんだと思われます。世界を壊すというフレーズが何とも香ばしい感じですね。『華麗なるピカレスクロマン』というのもウリで、妹を守るため世界を破壊するというヒロイックな物語です。
地球が“神聖ブリタニア帝国”が支配する貴族社会でブリタニア人とか身分階級社会とか黒の騎士団とか賢者の石とか・・・観ていないので宇垣アナの解説を聴いて想像するだけなんですが、かなり厨二な嗜好のアイテムが満載です。アニメファンが大好きなアイテムを全部のせた幕の内弁当のような作品ですが、おかずが全て香ばしいんですよね。

逢魔が時の作品の特徴としては・・・
:主人公が孤独、選ばれた者、人外な能力、(俺スゲー)
:敵がセカイの終焉させる強大な力、理不尽な論理 (敵ヤベー)
:セカイの防衛線が何故か学校 (セカイ狭ーい)
:仲間の裏切り、大切な人の死 (人間関係ふくざつー)
:どっちが正しいか解らない (シナリオ深いー)
:意味不明な作中のルール (設定考証スゲー)
 
前回の記事で12歳から15歳を“逢魔が時”と書きました。この時期は児童から青年に変わる狭間の時でヘンテコなストーリーに引っ張られちゃいます。人生で一度だけセカイの構造を疑ったり自分や人間関係を疑ったりします。もっとも脳みそがファンタジーになるのが逢魔が時ですね。
多くの人は高校受験あたりから「セカイは自分が何とかしなきゃいけないモンでもない」ということに気がついて、いい学校に入るために勉強したり恋人を作るためにオシャレしたりしたほうが重要なことに気づいていきます。それらの勉強や恋愛は大人になるための準備であり、社会に出るための駆け引きを学ぶことにつながります。谷口監督は明確に中高生向けと言い切っていますので、世の中の仕組みを理解しちゃった子はもう対象外なんでしょう。
「本来、アニメは子ども向けだから・・・」というのならこのやり方は正しいです。逆に「ドラえもん」や「ONE PIECE」など子ども向けに作られてる作品を、大人なのに無理して楽しむ努力をするほうがヘンでしょう。ならば「大人はアニメを観ちゃいけないのか?」となりますが、アニメは子どもに向けた作品ばかりでもありません。大人というか社会人が観ても楽しめるアニメも多々あります。
現在のアニメ市場では過去作のリメイクが流行っていますよね。赤塚アニメや永井豪アニメ、タツノコその他もろもろですが、アレらは児童アニメのリバイバルです。大人目線で懐かしむ作品は大体が児童期に観た“思い出補正”によって共感されます。

 谷口さん自身が「プラネテス」ではNHKだったこともあり従来の思春期向けアニメよりも対象年齢が高いSFアニメにしました。主人公は夢や生き方に悩みながらも真面目に働くサラリーマンで、逢魔が時をとっくに過ぎたキャラたちのお話でした。ヒロインがちょっとアレ(お花畑)でしたけど。谷口さん自身がアニメファンではなかった故に主人公がセカイのひずみと戦うよりも、青春の苦悩が似合う作品でした。だからこそテロリストオチはガッカリだった記憶です。
「プラネテス」はアニメっぽいアニメが苦手なライトユーザーには好評価でしたが、アニメの主流になるような華はありませんでした。原因はアニメのホットゾーンの逢魔が時のセカイ感がなかったからでしょう。緻密な設定考証ではエヴァなどもありましたが、あーいう厨二な感じがアニメの評価ポイントなのは間違いありません。
谷口さんが「コードギアス」でセカイを全部乗せにしてきたのは、谷口さんの作家性ではなくてリサーチ力の高さでしょう。セカイ系アニメと非セカイ系アニメを使い分ける手腕はなかなか難しいと思います。一般的な時系列ではセカイ系の作家が大御所になって、社会性のある作品になっていくパターンです。押井さんのように児童向けからセカイ系になるのもありがちです。
一度、非セカイ系で成功したのに再びセカイ系に戻ってきてセカイ系の重力に縛られたアニメーターが富野由悠季さんでしょう。彼も虫プロに入社しちゃったからアニメ監督の道に進んだ人です。サンライズの児童向けロボットアニメを作っていて、こっそり内向的な主人公を大人の目線で描く「ガンダム」を作っちゃいました。
このファーストガンダムは逢魔が時な特徴を出さないことで「アニメを卒業した人が待ち望んでしたアニメ」になりました。富野氏は基本的にアニメファンのアニメ嗜好に否定的な発言が多く、アニメを作っておいてアニメを観るなっていう自己矛盾な発言で信者を楽しませてきました。「ガンダム」以降はいろいろ上手くいかなくて、結局ガンダムの続編を作ることになります。この続編でまさかの展開だったのが主人公のセカイを憎む独りよがりなストーリーでした。旧作では大人に殴られるアムロをブライトの立場で描いていたのに、続編では「いつも大人は・・・・」って中学生日記のようなセリフばっかりになっちゃいました。富野氏の主人公を無視するような展開の理路整然さは特筆なんでしょうけど、思春期を描かせるとどうにもとっちらかっちゃう印象です。ブライトやベスのように「うるせぇ黙って戦え」っていうならうまくいくんですが、子どもキャラに意見を言わせると大人キャラも子どもの主張に引っ張られちゃうんです。このガンダムの続編以降は富野ワールドという新しいカテゴリーができてセカイ系ファンの中でも一見さんお断りな感じになっていきます。一般のガンダムファンとはファースト至上主義とファースト以外に分かれます。続編以降はだいたいがセカイ系アニメなので、先程の逢魔が時の作品の特徴がだいたい当てはまります。何しろ「俺がガンダムだ」っていう作品ばっかりですから・・・

 話をTBSの宇垣アナに戻すと、彼女が「コードギアス」にハマった理由が初めて観たアニメだったからだそうです。大学に入るまでアニメも観る事を禁止された家庭で育ったとのこと。通常のアニメファンは児童アニメを観て中高生でセカイ系にハマり、そろそろセカイを救ってる場合じゃないっていう流れです。しかし彼女は初めてのアニメで「コードギアス」に出会っちゃったんです。ラジオで炎上レベルの熱量なのは、本来なら中学校の放課後にオタ仲間と語り合うべき内容を大人になってからしているんです。家庭の事情で同世代とアニメデビューが10年ずれてるようです。それは同世代に話が合う人がいないわけですよ。普通のアニメ好きはそーいうセカイ系を「それはそれとして」嗜んでるのに対して、宇垣アナは全力でセカイ系にのめり込んでいます。
宇垣アナ同様に遅れたセカイ系デビューでこじらせたのが「ガンダムUC 」でお馴染みの福井晴敏さんがいます。なんだか近年になってガンダムマイスターを自負してる感じですが、ガンダム歴は大学時代に「Z ガンダム」からスタートしたとのこと。「 Z ガンダム」は先程の続編といっていた作品なので、富野氏がセカイ系の迷宮に入っていった作品です。「ガンダムUC 」にその影響が色濃く出ているので、観ていてうわっーってなっちゃうんでしょう。
アニメは幼児期から順を追って観ないとアニメのダークサイドに引っ張られちゃうんですよね。


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