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2018-06

BLマンガの参考書 - 2018.03.11 Sun

ゆうきまさみ さんの「でぃすXこみ」です。

 前回の記事は山本崇一朗さんがデビュー時から商業誌ベースでヒット作が生まれる過程を、彼自身の黒歴史的な過去作品集で学ぼうという内容でした。普通の読者やマンガファンはプロ野球の2軍の試合にまで着目する必要はありません。でも一流選手が下積み時代にどんなトレーニングをしてエースや強打者になったのかを知るのは、プロを目指す人にとっては参考になると思います。
個人の意見ですが、マンガの専門学校みたいなところで月謝を払って教わるというのには反対です。たかだかマンガという資格でも何でも無いモンのために高い月謝を払うってヘンでしょう。不幸なのはその無意味かも知れない月謝を多くの場合は親御さんが払うところです。バンドマンを目指してる若者がスタジオ代を親に出してもらうのは「ふざけるな」って感じです。専門学校は論外?としてもマンガを描く仲間との切磋琢磨も、仲よし同士だと相手の作品を切れないしみがくことも出来ません。批判すると仲間じゃなくなっちゃうからね。
マンガの描き方というのはあくまでも独学が基本です。独学であれば参考になる文献でもプロの作品でも市販のマンガの指南書でも、役に立つと思える方法だったらどんなカンニングでもOKです。自分が一番オススメな方法はマンガをしっかりと読むことです。マンガのルールはマンガを読んで学べばいいという発想です。東大に入るスゴい頭のいい人の中に『勉強は教科書を何度も読んだだけ』っていう人がいます。コレこそが理想なんですが現実はそんなに簡単ではありません。マンガを読みながらマンガの描き方が判る、参考書になるようなマンガがあればいいですよね。そーいう横着な人向けにいい作品があります。それがゆうきまさみさんの「でぃすXこみ」です。学生は春休みというもっともモラトリアムな時期なので、この機会にマンガ家を目指してみてはどうでしょう・・・

 前回に取り上げた山本崇一朗さんの短編集は、作品作りのノウハウより『つまんないマンガ~マシなマンガ~ヒット作』という進化の流れが判るモノでした。過去に成功したマンガ家の作品を見ながらどーいう方向に進むべきかがテーマで、正直いってコレを読んでもマンガが上手くなる方法は見つかりません。上手くなるには考え方を切り替えなきゃいけないということが判るだけです。
しかし今回の記事で取り上げる「でぃすXこみ」は、より具体的にマンガ家志望の方々の参考になる教材になると思います。メインになるのはキャラの設定の仕方、ネーム(マンガの構成)の作り方やデビューから連載への流れについてなど、実践的なテクニックが描かれています。教材といってもちゃんとしたストーリーマンガなので『プロマンガ家を目指そう』という特殊な人種以外でも十分に楽しめる作品です。しかし作者のゆうきまさみさんがマンガシナリオのテクニックを惜しみなくぶち込んでいるので、マンガの教則本以上に役に役立つ内容です。たぶん、そーいう意味合いを強く出す企画のマンガだったんでしょう。

 お話の内容は『主人公の女子高生かおるは少年マンガ家を目指していたが、実兄の弦太郎が勝手に妹の名で少女マンガ誌へ投稿したBLマンガが新人コミック大賞になる。かおるは編集部や担当にも隠してBLマンガ家として作品を描き続けることになるが、かおるのマンガ脳は少年マンガなので思うようにBLが描けない。それを弦太郎が指導する形で二人三脚のマンガ制作が始まる・・・』
教材としての流れはマンガのテーマが決まる~かおるが自力で考える~弦太郎のアドバイス~っていう感じです。かおるはマンガが掲載されるレベルなのでアドバイスも「主人公の顔を大きくアップで目立たせる」とか「キャラは左から右へ走らせる」などという初めてマンガを描く君へって感じの指摘ではありません。この展開にそのシーンは必要か?っていうような実践的なアドバイスです。各話ごとのオープニングでその回のストーリーで担当が出す読み切り作品のお題をマンガ化したシーンが描かれていいます。これは例題、添削、模範解答というメソッドですね。過去のマンガ教則本では最後の模範解答を提示していないんですよ。よく聞くフレーズで「マンガに正解はない」っていうのがあります。でも教則本を作っておいて正答を載せないっていうのはあり得ません。過去の多くのマンガ教則本はマンガ家じゃない人が書いています。元マンガ家やマンガ編集をかじった人、あやしい専門学校の講師などかな?彼らに共通するのはマンガの描き方は説明出来ても、マンガ自体は描けないところです。書道のテキストに止めや払いの解説が載っているけ著者のお手本が載っていないのは変でしょう。既存のマンガのシーンをお手本に使えば簡単なんですが、ソレでは権利関係が簡単にはいきません。
専門学校がどーやってマンガを教えてるのかは謎なんですが、講師に現役のマンガ家が名前を連ねてる場合は自身の実践的な原稿で教えてるのかな?そうでなければ「マンガに正解はない」って教えてるのか?マンガこそ正解だけがマンガという厳しいジャンルなのだから、正解を求めない人は美大へ行って芸術家にでもなればいいのにねって思います。

 ゆうきまさみさんは「月刊OUT」出身で、当時のリアルオタクの最大の成功者の一人です。それまでのマンガ家というのは落語家に似ていて師匠に弟子入りして下積み(アシスタント)を経て、プロ原稿が書けるようになったのちデビューするのが一般的な認識でした。いわゆる内弟子制度ですね。投稿マンガはそのヤヤコシイしきたりや人間関係を省いて実力でデビュー出来る魅力がありました。でも現実は受賞後に修行があるんですけどね。そんな中でゆうきまさみさんやあずまきよひこさんは「ラクしてマンガ家になれる」憧れのオタク成功者でした。両者とも名前の字面もねてますね。オタク、同人誌系のマンガは「自分の趣味で描く」と「マンガに正解はない」で成り立っています。でも正解を知っていたらメジャープロマンガ家になれるっていうことです。
ゆうきまさみさんと同世代のオタクマンガ志望者で、マンガの正解を見つけることに人生を捧げたのが島本和彦さんです。ある意味「アオイホノウ」もマンガ参考書に成り得るけど、雑音の部分が多すぎて役には立たなそうです。

 ずーっと自分のブログで警鐘を鳴らしてきたことなんですが、マンガの専門学校の問題は受講内容に伴う稼働かは別にして受講料がアホみたいに高いことです。「マンガ専門学校比較ナビ」というサイトで調べたら、だいたい2年で100万コースでした。全行程で20万くらいに収まるんだったら専門学校という選択も有りだと思います。モラトリアムの言い訳にするために親を騙す口実だとしたらさらに割高です。あとマンガは才能勝負の世界なので同じ志望の人たちの中で優劣がハッキリすると、強靱な心臓の持ち主でなければ心が折れます。逆に心が折れない優しい指導をモットーにしてるのなら役に立つ授業なのか疑問でしょう。
その点ゆうきまさみさんの「でぃすXこみ」は、630円+税の3巻セットで合計1890円+税です。もし自分の役には立たないって思っても、マンガ家志望の方が読むストーリーマンガとして十分に面白いです。2000円くらい出すんだったらそれこそマンガの教則本が買えるんだけど、そっちを買うんだったら「でぃすXこみ」のほうがオススメです。

 それから本題?のブログタイトル「BLの教科書」ですが、一番オススメしたいのが現役で趣味のBLマンガを描いているお姉様たちです。あえてBLというジャンルを説明するつもりはありませんが、圧倒的に趣味に片寄ったジャンルといえます。
趣味的な嗜好ゆえに個人のイマジネーションに引っ張られ傾向があります。いわゆるワンパターンですね。それぞれのお気に入りのカップリングがあろうことでしょう。あえてカップリングについて説明するつもりはありません。各話のエピソードタイトルはCPになっています。2話は愚王X賢臣、3話は委員長X帰宅部員、4話は師匠X弟子・・・昨秋で編集長が気に入った犬X主人なんていうひねったCPなんかもあります。それぞれのBL作品をオールカラーで3ページ掲載されています。カラー担当はオノ・ナツメさんや雲田はるこさん、いくえみ綾さんなど各話ごとに違うマンガ家さんが担当しています。カラー原稿マニア?にとっても楽しい作品です。
自分のBLのシチュエーションを広げるにしてもオススメです。掲載が青年誌よりなんですが、BLに体するネガな扱いは一切ないので安心して読めます。本編で「担当の八反田女史がでぃすXこみ(BLマンガ)を描いてきたのが男だったら、わたしが真っ先にドン引き・・・」って描いています。それを描いているのがゆうきまさみさんという男なのが面白いところですね


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