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2018-05

君の名は。と叫ぶ - 2018.01.13 Sat

新海誠監督 長編アニメ「 君の名は。」です。

 『知らない者同士がお互いに知らない場所で生きていて、もしかしたら二人は出会うかも知れない存在。現実には会えない、でも何らかのカタチで触れあう・・・単純だけれどそんな物語を作りたい』

これは新海誠さんがオフィシャルサイトでインタビューに答えている「君の名は。」を制作する動機です。実際に作者が「何故、その作品を構想したのか?」は、作品のテーマやメッセージは何か?と同じくらいにどーでもいいハナシです。自分は「君の名は」という日本のクラッシックなフレーズを膨らませたんだと思っていました。
 この作品は2016年の夏に公開された劇場オリジナルアニメで、日本での興行成績は250億で歴代4位とのことです。同時期に庵野ゴジラも公開されていましたが、こっちは53億円ちょいでした。同居人が買った「シン・ゴジラ」のBlu-rayが家にあります。でも観てもけなすだけだろうから観ていませんし、今後も観るつもりはありません。「君の名は。」はお正月の地上波初オンエアを、おとそ気分で観ましたけど、やっぱり地上波初の「シン・ゴジラ」は観ませんでした。Blu-rayが家にあるしね・・・
「君の名は。」は初見だったんですが、普通の初見とはまったく状況が違っていました。この作品は大ヒット作なので、事前情報をたっぷり聞かされていたんで、どんな内容でどんな展開かイメージトレーニング済みって感じです。この日記で取り上げるのも「何周遅れだよ」って感じですし、今さら観てないけど楽しみにしてる人もいないでしょう。マンガのネタだったらストーリーを踏まえずに書くことも可能ですが、アニメはどうしても観た前提の話になっちゃいます。あらすじ的なモノを載せますが、NGの方は飛ばすなりして下さいませ。

「君の名は」のあらすじ
『昭和25年5月24日の大空襲の夜、銀座 数寄屋橋の上でお互いを助け合った春樹と真知子は半年後の24日の夜にこの橋の上で再会を約束する。しかし真知子は現れず縁談のため佐渡ヶ島滞在していた。1年後の24日に再会をはたすが、時すでに遅く真知子が結婚する前日だった・・・』映画.comより参照

  ブログ画像 君の名は。JPEG

 アニメの「君の名は。」は、いにしえの「君の名は」とはまったく関係ない作品です。宣伝費をつぎ込んで話題先行っていう感じでしたが、興行成績も庵野ゴジラを押さえて大成功した作品です。久々のメジャー成功アニメだったので、ストーリーと共に作品の批評も耳に入っていました。否応なしにネタバレって感じです。
自分は過去の新海誠アニメには共感したことがありません。新海誠の名を世に知らしめた「秒速・・・」の、山崎まさよしさんのミュージックビデオ部分だけは評価する人も多いです。新海誠さんを「繊細な表現」と評するファンも多いですが、繊細なのは雲のシーンだけっていう感じですよね。シナリオやキャラの表情、演技、人物の動画などはからり大ざっぱっていう印象です。アノ山崎さんの曲はアニメの踏切のシーンが無くったって名曲だと思っています。
「君の名は。」の公開年度の評価は観客数に比例して好評価でしたが、人気作だから傑作という短絡的な言い分も飲み込めませんでした。「ヒットした作品を批判するのは・・・」っていうフレーズを目にしますが、作品の評価を他人の多数決に委ねちゃう人の言い分ですね。
散々言っといて何ですが、今回の「君の名は。」を観た感想は『とてもよく出来ている!』です。
ネタバレも含めて想像(覚悟?)していたのとは違っていました。むしろ公開時に劇場で金を出して観た方々の絶賛が正しかったんですね。近年はアメリカのポリゴンアニメに押されっぱなしだったけど、やっと日本でもディズニー、ピクサーに対抗できる品質の作品が出たっていう感じです。アニメや映画が斜陽と言われる時代に、現状の商業アニメでこれ以上の結果を求めるのは難しいくらいに価値のある作品でしたね。

 アニメは商業アニメと芸術アニメに2極化しています。これはプロ・アマとか大手かインディーズかではなくて、観てもらうことを前提にしているかどうかで決まります。芸術アニメは観てもらうことよりも作者の芸術性を満足させることが重視された作品です。彼らにとっては「意味不明」とか「つまらない」は褒め言葉です。芸術を理解できない一般のアニメファンに作品が理解されることは、アニメ作家自身の芸術が大衆迎合の証になっちゃいます。国際アニメとかフランスアニメがコレになります。
商業アニメの中にも芸術アニメ的な考えさせる要素の多いアニメもあります。アニメに慣れていない人には「一見さんお断り」っていう感じの作品です。極端に性的指向(キャラの年齢など)が片寄っていたり、アニメファンの内輪ウケが前提な作品など。これらの作品は「芸術的な何か」が一般のアニメファンにウケないんじゃなくて、アニメのマニアックな部分が一般の感覚に認められないからマイナーなんですね。実際に無名な深夜アニメでも一定数のアニメファンは観ています。

 新海誠さんはゲーム制作会社からの脱サラして、自主制作アニメの一般公開からのし上がったアニメ監督です。前記の通り新海アニメを面白いと思ったことはありまんでした。でもそのつまらなさというのは新海誠さんの芸術性が凡人な自分には理解出来ないというタイプではなくて、アニメファンをよくリサーチした感じがしていました。「雲でしょ?美少女でしょ?内気名少年でしょ?SFでしょ?大人の女性でしょ?雲でしょ?」って言う感じです。子供に「ハンバーグとナポリタンとクリームシチューと・・・」って感じです。「あんたらコレが好きなんでしょ」っていうアニメ作りを舐めきった雑なアニメ作品がイヤだったんです。ややこしいのは新海誠作品が普通の商業作品よりも何倍も丁寧に作られてるように見えるんです。丁寧かどうかでいえばテレビアニメなどがやっつけ仕事すぎるのも原因じゃないのかな?
それでは今回がどうして良くなったのでしょう?それは今回の作品を考えたのが新海誠さんじゃないからです。原案や企画段階で考えたのは新海誠さんに違わないんですが、最初の「ほしのこえ」から一貫して原作・脚本・演出・・・とクレジットされてきました。コレこそ新海アニメと言われる由縁でしょう。普通はこの「全部、自分出考えました」っていうタイプは、アニメに詳しいファンに向けて作品を作っちゃうモンです。処女作の「ほしのこえ」なんかは典型的なアニメファン向け作品です。作品は常に主要なアニメーションの賞を取っていて、アニメ賞=一般に伝わらないという図式ながら着実にメジャーアニメ監督の道を進んできました。しかし知名度といってもアニメファンが知る所の知名度に過ぎません。まだまだ宮崎駿さんや庵野さんほどのモンじゃありません。新海誠さんはどっぷり商業アニメ指向なのに端から見れば芸術アニメ作家にうつっていたんでしょう。
転機になったのは「君の名は。」が製作委員会になったことです。それまでは新海誠さん」自身のリスクで作品を作ってきたんですが、製作委員会はファンドを募ってリスクを回避するほうほうです。リスクを回避するというコトは出資者が全員平等に潤う事を目的にしています。したがって金を出した人たちには基本的に口も出す権利が発生します。近年の映画屋アニメはほとんどがこーいう大人の事情が発動して監督やファンが不本意な作品になっちゃう事が多々ありました。新たな資金調達の方法で注目されているのが「この世界の片隅で」のクラウドファンディングです。こっちは「作品を作りたいから、観たい人は金を出して」っていう感じです。リターンを期待するのが本来のカタチなのかも知れませんが映画やアニメではその作品を劇場で観せてもらう事が最大のリターンっていうイメージですね。

 製作委員会というのは作品の個性を奪うシステムだと思っていました。しかし「君の名は。」はこのシステムのおかげでヒットした新しいケースになったと思います。最大の功績はストーリー作りに新海誠さん以外のスタッフが入ったことです。特にプロデューサーの川村元気さんなど東宝スタッフが利いていたんだと思います。そのせいで作品全体がかつての新海誠作品ではありえないほどアップテンポになりました。シーンにはすべてベクトルが加わり、主人公など主要キャストもハキハキと喋るようになりました。中学生が想像で書いたようなハズカシイセリフもかなり自粛された感じです。
作画もジブリの人を引っ張ってきたので、それまでの作品の「空のシーンはスゴいけど歩いてるシーンがヘン」というようなことは無くなりました。
この作品を観た新海誠ファンの中で「普通っぽい」とか「新海誠っぽくなくてガッカリ」っていうのは多くの大人たちが集まって考えた作品だからでしょう。ストーリーを合議制で作ろうとすると一番当たり前のアイデアに落ち着いちゃうモンです。
自分が新海誠作品が苦手な理由は観ていてハズカシイからです。誰もが破り捨てたハズの中学時代に書いた「俺ノート」を、今さら見せられるような恥ずかしさです。中学生が語る愛とか人生とか真実や裏切りや諸々ってハズカシイじゃありませんか。それを語る作品を観るのもハズカシイんですよね。大人が語るシーンでも酒を飲んだりタバコを吸ったりしながら語るんですよ。アニメだからそういうのがないと大人にならないけど、そーいうのを語ってる思考パターンが中学生っぽいからハズカシイんです。誰もが中学生の頃、自分のノートに書きつづったようなハズカシイ心の叫びを劇場で一般公開するなよって感じです。多くのアンチ新海誠な人々はこの羞恥プレーに絶えられないんでしょう。「新海誠アニメの作品のテーマが素晴らしい」っていうファンもいますが、それは未だに中学生な思考なのかな?って思ったりします。現役の中高生はいいんですよ。現在進行形で俺ノートを書いてるんだから・・・


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● COMMENT ●

お久しぶりです
ご訪問ありがとうございます

新海誠さんの作品何故か私も観るのがためらわれて、お正月の「君の名は。」も録画してあるんですがまだ観てません。
それでも「君の名は。」地上波放送記念で深夜に新海作品を幾つか放送していたので、そちらは予習のつもりで観たのですが・・・。今ひとつ内容が掴めませんでした。
掴めませんでしたが、この人の作品は好きにはなれないという事はわかりました。
作画も思ったより稚拙でしたし・・・。
なにかしっくりこないこの感覚はなんなんだろうと思っていたのですが、らいかさんの文を読んで納得。
そうなんですね。
中学生思考で作られている作品だから居心地が悪かったんだ。なるほど・・・。

腑に落ちてすっきりしました。
そして躊躇していた「君の名は。」も安心して観られそうですw
ありがとうございました。

もん母さん、いらっしゃいませ。

どーも、お久しぶりです&あけおめ!

何事も予習は大切ですよね。ネットでは過去作を観てからのほうが楽しめる的な事もかかれていました。
傑作か駄作か議論が分かれてる作品ですが、もん母さんよりもんさんのほうが楽しめるかもしれません。そこに世代間ギャップがありそうですが、新海誠さんが判る振りをしてまで若者に迎合する必要もないでしょう。こっちは大人なんだからね。

新年1回目の記事だったので作品を褒めようというコンセプトで書きました。面白いと思った人にとっては間違いなく面白い作品です。
靴職人を目指すエセお仕事アニメのように、思わず早送りしそうになることはないです。


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