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2018-04

軽く一線を越えてみる - 2017.10.08 Sun

谷川史子さんの「はじめてのひと」です。

 「ペンは剣よりも強し」というありふれた格言があります。この言葉は19世紀にイギリスの作家が劇のために書いた名台詞です。国王が日付なしの許可書を持っていて「自分のペンによる署名がどんな武器にもまさる」という流れです。「まことに偉大な人間の統治のもとではペンは剣よりも強し…」つまり、ペンは剣にまさる魔法の杖だから剣を捨てよということです。最初に“強いペン”を手にしたのは報道記者ではなくて国王だったんですね。
現代では「報道(マスコミ、言論活動家、評論家…)は暴力よりも強い力がある」って解釈です。オリジナルの劇では令状にサインするための追えんでしたが、格言になったペンとは活版印刷のことです。報道記者は国家権力や武装勢力、圧力団体とペンで戦っているという自負があるんでしょう。そして週刊誌はペンという魔法に杖を手にしてあたかも自分たちの魔法で政治も芸能界も思うがママに操れると思い上がっちゃった感じがします。自らを「文春砲」と言い出しちゃうあたりに魔法の杖を手にした悪い魔法使いの顔しか浮かびません。
誰も知らない不正や誰も知らなかった芸能人の不義を暴くことがペンのチカラなんでしょう。でも誰も知らない善行やイイ話を暴いて、世間に知らしめるようなペンの使い方はできないかな?人知れない花壇のプレートに、花の名前を書くのも立派なペンのチカラだと思うんですけどね。
今回取り上げるのは暴言政治家やズブズブな学校法人ではなくて、ズバリ渦中の斉藤由貴さんです。このスクープは文春砲じゃないんですけど。逆に文春に倉本聰さんが斉藤由貴さんを擁護記事が載っているらしいです。

 斉藤由貴さんは報道の通りに不倫が発覚し、女優業が出来なくなっちゃいました。当初、斉藤由貴さんは否定したけど週刊誌が物証を叩きつけて、最後は芸能界から追放に近い決着を向かえました。結論は日本では不倫騒動は重罪で謝罪しても許されるモノではないということですね。ゲスの兄貴もベッキーも当分は許されないんでしょう。ここで言う“許す、許さない”はファンや国民がそう思っているのではなくて、マスコミやネットの中の“意見”というバーチャルなものです。マスコミの意見とは記者の頭の中で作り上げた意見であって、書き手の意見に過ぎません。当然ながら読んだ読者の意見ではなくて、あえて言えば読んだ感想はあると思います。ネットの意見もネットは架空現実なんだからそこの書き込みも架空現実の人々の意見と思ったほうがいいと思います。「ネットでこんなに怒ってる」という記事を読んでも、自分はネットで怒ったことなんて無いのにってみんな思ってるはずです。何で不倫した当事者は謝罪しなきゃ行けないのか?といえば「国民が怒っているから」という理屈のようです。でも国民の大半が斉藤由貴さんに怒ってるような国はダメです。
下手すれば不倫疑惑が出るまで斉藤由貴さんを知らなかった人も多いと思います。当然ながらゲス不倫のブームになるまでは「ゲスの極み乙女」というバンドのことを知らなかった人が多数です。自分はどの子がベッキーだか知りませんでした。今でも写真を見てもどの子がベッキーなんだかピンときません。あーいうバタ臭い顔立ちのタレントは区別できないんですよね。

 不貞を働いたことよりも「一線を越えていません」と記者会見した後に「越えてました」って謝っちゃったのがマズかったようです。斉藤由貴はウソをついたということで、マスコミは全面的につるし上げました。一線というのは何の線なのか?駆け落ちが一線だったら「セックスはしてましたけど駆け落ちの一線は越えませんでした」と文脈はあってると言えなくもありません。注目したいのは「セックスをしましたか?」という質問に対して「セックスはしていません」と答えるのは偽証でもなんでもありません。逆に公の場で「あなたはセックスしたんでしょう?」と聞くことは、限りなくセクシャルハラスメントで、マスコミという圧力団体の威を借りて詰め寄る姿はパワーハラスメントです。例の証拠写真が公表されて斉藤由貴さんは完落ちしたんですが、あれは完全にリベンジポルノでした。この写真に対してだけは斉藤由貴さん側が警察を通して追求する姿勢でした。マスコミ側はその部分に対しては取材も追加報道もしないようです。リベンジポルノが知る権利に負けてしまったんでしょうね。

 このウソ証言が結果的に斉藤由貴さんを窮地に追い込みました。「女優ならウソをついてもいいのか?」という意見でしたら、その答えは女優にはウソをついてもいいという特権があります。そもそも斉藤由貴さんは過去最大の栄光だった「初代、スケバン刑事」を無かったことにしています。女優が年齢や出生、過去のヤバい経歴などを詐称するコトくらい昔なら常識の範疇でした。そーいうことは吉田豪さんの著作にいっぱい出ています。政治家がウソをつくことと芸能人がウソをつくことをマスコミはごっちゃにしようとしています。ウソはすべて暴くことが正義だと言わんばかりです…
読者や視聴者の支持を得るために、不倫騒動が下ネタじゃなくてスポンサーや制作に迷惑をかける重罪のように煽ります。一般の人にとっては「他人のセックスしかどうか」は下らない話ですが「スポンサーに違約金1億」とか聞くと大事件のように感じます。でもこんなことこそは業界内の話であって一般が怒ったり罵ったりする筋合いじゃありません。今回の不倫騒動で迷惑を受けたのは、降板を余儀なくされたNHK の大河ドラマの制作や公開映画の配給会社でしょう。まさに関係各社は不倫よりも、マスコミの斉藤由貴撲滅lキャンペーンのアオリを喰らった感じです。
当たり前なんですが、斉藤由貴さんが不倫をしたことに対して「オレの由貴ちゃんはそんなオンナじゃなかったのに」とか「ファンだったけど裏切られた」って怒り狂う人は一人もいません。それこそスケバン刑事だった頃に医者と不倫していたらファンへの謝罪じゃすまない事態になったでしょう。むしろ、50歳を越えて未だ現役バリバリっていうことのほうが賞賛に値するように思います。女優として一番重要なのは現役感ですし、年齢相応に枯れていくにはまだ早いでしょう。

自分が最初に斉藤由貴さんを認識したのはドラマの「はいすくーる落書」のいづみちゃん役です。このドラマはブルーハーツの主題歌がヒットしたので記憶にある人も多いと思います。このドラマはツッパリ生徒VSお嬢様先生という図式でしたが、何といっても斉藤由貴さんの演技にスピード感がありました。独特の舌っ足らずでまくし立てる感じが唯一無二の可愛さだったんですね。大女優になるとか演技が上手いというよりも、素の斉藤由貴は可愛いという印象です。当時、アイドル歌手的な存在でもありましたが、アイドルのドラマ出演に比べたら役者としての存在感は別格だったと思います。
歌手活動でいえば松本隆さんのキャリアを語るときに、太田裕美さんの「木綿の…」と松田聖子さんのプロジェクトと並んで出てくるのが斉藤由貴さんの「卒業」です。当時は卒業というタイトルで曲がいっぱい出ましたが、今に残ったのは斉藤由貴さんと尾崎豊さんの卒業だけです。それがきっかけで尾崎豊さんと逢瀬につながったのかは定かではありませんけどね。
歌手としての斉藤由貴さんはアイドルヒット後もコンスタントに活動していて、浩子さんの楽曲との親和性がたかいので、猫森集会の方々には支持されてたんだと思います。メジャーナンバーは少ないんですが自身の作詞も多く、斉藤由貴さんの作詞では浩子さんがアレンジした「今だけの真実」が一番好きな曲ですね。斉藤由貴さんが歌いたいのはこういう世界なんだって判る一曲です。

 歌手としての斉藤由貴さんはイメージできるんですが、女優としての斉藤由貴さんはいづみちゃんで止まっていました。最後に観た記憶があるのは映画館でクリスマス映画を観に行ったことです。これは作品が印象的だったんじゃなくて、自分史上初の女子にデートで誘われて観に行った作品だったからです。つき合ってもいなかった子だったんですが、この映画を観た話をしていたんで「いいな、オレも観たいな」って心にもないことを言ったら、「一緒に観に行って上げようか?」っていうお誘いがありました。彼女は共演の千里クンのファンで、その布教活動の一環だったようでした。しかしお誘い自体もまんざらではない感じでしたので、斉藤由貴さんには良い思い出しかありません。
実質、自分はいづみちゃんとこの映画の2作品しか斉藤由貴作品を観たことがありません。実際にテレビでの露出も少なくなって歌手のイメージも薄くなりました。そんな中級に斉藤由貴さんが目立つようになったのが、不倫報道ではなくてNHKの大河ドラマでの評判です。
「真田丸」での阿茶局の怪演が話題になりました。観ていないのでなんともいえませんし、アチャって何だよって感じです。聞くところによると阿茶が全部持って行っちゃったくらいの存在感だったようです。いづみちゃんしか覚えていない自分にはピンとこないんですが、阿茶の部分のだけ映像で観ましたが怖ぇっていう存在感が半端なかったです。寧々の鈴木京香さんや茶々の竹内結子さんと対峙しても圧倒的な阿茶のアチャ感です。知らないけど…

 来年の大河ドラマのオファーも阿茶局があったからこそでしょう。女優が正当な理由で出世したんだと思います。そのキャリアが不倫報道で抹消しちゃったんです。それって斉藤由貴さんにとってマイナスだっただけでなく、ドラマや演劇のファンにとってもマイナスだったんじゃないのかな?
単純に野球のエースやサッカーの日本代表の選手が、不倫していたことがバレてメンバーから外されたといしたらどうでしょう?自分は演劇ファンではありませんがサッカーファンなので「そんなことはサッカーと何の関係もないだろう」って思います。そんな理由のスタメン落ちはあり得ません。ファンが握手のためにCDを買ってるようなタレントだったら判りますが、斉藤由貴さんを仮想恋人に思ってる人なんかいませんよね。そーいう子供相手の仕事をしてるんじゃないんだから。最近のテレビ界はイメージに過剰反応していますが、スポンサー企業のしがらみがないNHKこそが、使うべきじゃないのかな?
過去に不倫騒動のさなかに「不倫は文化だ」と居直ってボコボコにされた俳優がいました。文化かどうかは別にしても不倫が文学なのは間違いありません。熟年不倫のシナリオがあれば最も適役になるでしょう。だって一線を越えた実績が多数なんだから。そんなシナリオはダメなのか?そんな役者がダメなのか?決めるのは観客であって週刊誌やワイドショーの司会者ではありません。

 谷川さんの「はじめてのひと」について書くハズでしたが、勢い余って斉藤由貴スペシャルになっちゃいました。谷川さんのハナシは次回持ち越しになります。たぶん早急に…


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