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2017-08

原作は踊る - 2017.05.05 Fri

ジェーン スーさん原作 ナナトエリさん作画 「未中年」です。

 ジェーン スーさんの初のマンガ原作が発売されました。そもそもジェーン スーって誰?っていう人のほうが大半だと思います。ジェーンといえばジェーン フォンダ、スーといえばビビアン スーくらいしか思いつきませんよね。ラジオでの当人の自己紹介フレーズは『 作詞家でコラムニスト、アラフォーで生粋の日本人、人生の酸いも甘いもつまみ食いしてきたジェーン スー』です。
自分が具体的に知っているスーさんのお仕事は、TBSの昼オビラジオ番組「ジェーン・スーの生活は踊る」のメインパーソナリティーです。コラムニストとしても活躍していますが自分はほとんど読んだことがありませんし、作詞家とし楽曲提供された曲も聴いたことはありません。TBSラジオの「生活は踊る」の前は土曜の夜に「ジェーン・スーの相談は踊る」という番組を担当していました。
また本業?のコラムニストのお仕事では2015年に「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」という本で講談社エッセイ賞を受賞しています。タイトルからもどんな物言いの人かがうかがえますね。
スーさんってどんな人か?っていえば、ザックリ「40代 中年 独身女性のオピニオンリーダー」です。でも田嶋陽子さんのようなフェミニストや活動家ではありません。何故田嶋陽子さんと比べるか?っていう感じですね。スーさんはどちらかといえば男性社会に女性の権利を主張するのではなく、女性に向けて「私(スーさん)はこんな感じでも生きています。アラフォーの皆さんも一生に頑張りましょう」っていうスタンスです。
雑誌等のコラムを読んでスーさんを知ったっていう方もいるでしょうが、多くはラジオでの相談に辛辣だが親身に答えるスーさんに惹かれたんでしょう。スーさんはラジオ時代のゆき姐と同じニオイがするんですよね。なりゆきでラジオパーソナリティになったところなんかも。この二人に共通していたのはパーソナリティの信条や道義を押しつけるのではなくて、個々のケースに対して初見で向き合い考える姿勢です。初見で向き合うとは用意された言葉で答えるのではなく、それぞれのケースではそれぞれの事情があるということです。その中に自身の経験に基づく信条や道義を当てはめて、リスナーの悩みや不満を解消してくれるんです。回答者に深い信念がありすぎると「オトコなんてモノは・・・」とか「仕事っていうのはな・・・」っていう、聞いていてウンザリなコメントしか言えなくなっちゃいます。そーいう白黒はっきりなコメントは聞いていてスカッとするけど、そんなに面白くないんですよね。

 スーさんの初のマンガ原作「未中年 四十路から先、思い描いたことがなかったもので」の内容は雑誌編集の仕事で50代の香水がキツいバリキャリなバブル世代の女社長と、30代で不平不満を隠さないパワフル女の間で漂うような40代ノンポリな主人公のお話です。お仕事マンガなのですが「過去に仕事で泥水を飲んできた(タマフル的表現)」だろうスーさんの実体験がベースになってるのは想像できます。
このマンガは良くも悪くもスーさんが原作を書いたことがトピックスなマンガなので、そこまでのクオリティは求めずに買いました。作画のナナトエリさんは「コミックでわかるアドラー心理学」という本の作画を担当していますが、自分はまず読まない部類の本でしょう。ナナトエリさんの名前で「あーあの人」って思えるのは、相当のマンガ通か知り合いの人くらいだと思います。自分はまったく知らなかったんで調べてみたら、彼女はプロ漫画家への希望のアトリエ・トキワ荘プロジェクトの住人でした。トキワ荘プロジェクトについては言いたいこともあるんですが、ナナトエリさんは結構ちゃんとしたマンガになっていました。
この本をわざわざ手に取りそうなのはラジオリスナーだと思いますが、メインの購買層は本屋さんやアマゾンを利用するマンガファンです。彼らにとってはジェーン スーってアメリカ人なの?からのスタートで、原作者がラジオパーソナリティだなんてことはラジオを聴かない人には関係ないからね。
マンガのカラーはちょい昔に集英社の女性マンガ誌「オフィス・ユー」にありがちだったお仕事あるあるな自己啓発マンガって印象です。作品のテーマが「誰にでも思い当たる中年女の悩みや葛藤」という感じなので、普遍的な内容ゆえにストーリーの新鮮さはありません。
作画担当のナナトエリさんも誠実にマンガを描いているんですが、自身が描きたいマンガとはちがうんじゃないかな?っていう印象ですね。お絵描き投稿 SNS の pixiv でナナトエリさんの非商業作品を読むことが出来ます。この原作付き商業マンガとはまったく違うテイストの作品でした。この作品はスーさんがマンガ原作に進出という企画ありきの作品です。取材協力でクレジットされているしちみさんも含めて相当な周囲のアシストの上で完成してるんだろうけど、もう少しマンガ家サイドからのアイデアの提案があったほうが良かったかな?って思います。

 例えばお仕事の不平不満の第一人者のおかざき真里さんが作画担当だったら、もっとイメージにピッタリな「未中年」になったかもしれません。最近の著作では「ずっと独身でいるつもり?」という攻撃的なタイトルがあります。スーさんのデビュー作「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」に似たテイストをかんじます。とくに本編に出てくる50代バブル女社長を描くのはおかざき真里さんの得意分野だと思います。少なくとも見栄えのいいファッショナブルなキャラで統一されて、背景はお魚だらけっていう感じで。でもおかざき真里さんが描くと主人公が最終的にいい方向へ流れていかないような気もします。
「オマエ等(未中年)はとっくに死んでいる」って言うおかざき真里さんと「それでも大丈夫」って言うスーさんとは意見が合わないでしょうね。


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