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2018-09

アダルト百合マンガ - 2017.02.07 Tue

西UKOさんの短編集「宝石色の恋」です。

 前回は大人百合マンガということで4コマ連載作品の「collectors」を取り上げましたが、今回はアダルト百合マンガの「宝石色の恋」です。大人百合とアダルト百合っていう分け方は言葉遊びだけど、ジャンルとしての大人向けとアダルト向けでは、アダルトという言い方のほうがHな感じがしますよね。そもそも西UKOさんの作品は、それほどエロエロを目的としているわけではないです。
女性同性愛者の作品といっても主人公が LGBT であることをテーマにしたものやジェンダーフリーを訴えるもの。耽美や倒錯など幻想の世界ととらえるもの。美少女やロリータ趣味ととらえるもの。完全にポルノとしての作品。同性愛こそ純愛とかナチュラルに恋愛ととらえてるものなど。
LGBTがテーマの作品は社会や周囲の無理解を訴えるメッセージ性が強い傾向にあります。耽美は普通のセンスの読者にはハードルが高いようです。美少女系はアニメやラノベのほとんどがコレで「男子キャラっていらなくね?」という概念からスタートしています。ときめきメモリアルから主人公を排除したような感じです。恋愛作品ととらえてるものでも純愛とか友情とかゆーてるのは美少女ものに近く、ナチュラルな恋愛ものは LGBT 問題を引きずってたりします。まあポルノは論外ですけど・・・

  ブログ画像 宝石色の恋 西YUKO JPEG

 「宝石色の恋」はタイトルからイメージできる通りにシャレオツな大人の恋愛マンガです。1冊に17作品も掲載されてるので、お得というか細かいっていうかって感じです。同人誌キャリアもあるので短編集としても同人誌テイストな作品が多いです。同性愛をテーマにしたときにありがちな「周囲の無理解や偏見」や「女性を恋愛対象には考えられない」といった面倒くさいお約束はありません。LGBT の権利と主張するタイプの人たちからは、ジェンダー問題を理解してないとかお花畑な話って思うかもしれません。しかし恋愛マンガって元々がお花畑のストーリーです。社会問題やネガティブな悩みをテーマにするのは、恋愛マンガを描くという本来の目的ではありません。西UKOさんの描く恋愛マンガのテーマはイチャイチャするカップルの表情なんですが、相手が異性だろうが同性だろうが恋人ということには変わらないっていう作風です。前回の「collectors」も交際相手が異性じゃないからヘンなのではなくて、パートナーの収集癖に共感できないカップルをテーマにしています。
逆に同性愛のリアルな現実を描きすぎてる LGBT と正面から向き合った作品のほうが、レズビアンという言葉の持つ偏見や差別性を感じたりします。もっと性差別な印象が強いのは最近ハヤっているような美少女萌え百合作品です。

 LGBT やジェンダー問題に真摯に向き合った過去の名作の多くは必ずしも可愛い女の子が主人公というワケではありませんでした。その方面での大御所マンガ家のやまじえびねさんなんかは、男子中高生からみて「求めてるキャラはこれじゃない」っていうほど萌えから遠い絵柄です。やまじさんは自分の作品を男が読むことなど想定していないです。むしろ「男は読むな!」ってくらいですね。
やまじさんはクラブとかビアン・バーなどの水っぽさや業界っぽさを前面に出してるって感じです。その方面のクラブなどは実際の同性愛者の方々にとっては同好の士が募る場所何でしょうけど、ジェンダーを意識していない一般の読者にとっては、同性愛はアンダーグランドの方々っていう印象を与えちゃいます。登場人物がカタカナ業種やアーティスト系っていうもお水っぽいです。このタイプの「本当の同性愛はこうなんだから」っていう作品の中には「ノンケのヤツらに理解されたいとも思わない」っていうかたくなさがあります。それは同性愛じゃない人たちへの逆差別な気もします。
主人公を可愛く描かないで大人百合をテーマにした佳作に鳥野しのさんの「オハナホロホロ」という作品がありました。「オハナホロホロ」は働くシングルマザーのお話で、昼間にお勤めしている大人の女性同士の恋愛や別れのお話でした。各種 LGBT も登場するし恋愛対象として男性も登場します。同性愛を夜の世界のモノとして逃げることなく、昼間の世界で生きている人々を描く画期的な大人百合マンガでした。LGBT のテーマを抜きにしても恋愛マンガや家族マンガとして、十分に読み応えのある作品でした。

 西UKOさんの絵柄は萌え絵好きな男の子が苦手なリアル美女のキャラデザインです。マンガ好き男子の平均的なリア充ヒエラルキーは下層に集まっていますので、イケてる女の子とか化粧濃いめなお姉さんキャラにはシンパシーを感じません。このキャラデザインからして西UKOさんは男子を読者として想定していません。そもそも百合マンガに萌えを求めるのなら少女が主人公じゃなきゃダメでしょう。西UKOさんの作品には少女はおろか女子高生すら出てきません。最低限お酒が飲める歳なキャラが主体です。これはそれ相応のお姉さん以上の方々を読者に想定してるんでしょうね。
西UKOさんの作品のレビューで多数を占めているのは『こういう百合マンガが読みたかった』っていう感想です。こういう百合マンガじゃない萌え百合マンガが好きな読者にとっては、これじゃないって思うんでしょう。百合マンガファンがどれほどいるのかは判りませんが、百合=萌えではないっていう読者も一定数いるってことです。大人が少年ジャンプを読まなくなるのは、世の中の仕組みが友情、努力、勝利だけで出来ているワケではないことを知るからです。同じようにりぼんを読まなくなるのも、一番格好いい男の子がサッカー部員でも生徒会長でもなくなるからです。
読者が成長すればマンガも成長しなきゃいけないんですが、百合マンガに限っては描いてる絵もドラマのベースもちょっと幼稚な作品が多い印象です。野球マンガやサッカーマンガでバットを振ったこともボールを蹴ったこともないマンガ家が描くスポーツマンガって感じがします。野球マンガは野球部員が読んでも納得できるストーリーじゃなきゃいけません。百合マンガをうたうのならば、同性愛者の方々が最低限は納得できるレベルにする必要があります。野球マンガは野球の経験者でないと描けないというワケでもありません。同じく同性愛者でなくても百合作品は描けるし、むしろ当事者でないほうが客観的な創作ができることもあります。

 過去の百合マンガはこのジャンル自体が未開拓だったので編集部で簡単にOKが出るような題材ではなかったと思われます。同性愛に対する世の中の偏見があった時代に、マイノリティを扱うことへの躊躇が制作側にもあったんだと思います。したがって新人がおいそれと描けるネタではなく、実績を上げたマンガ家が慎重に描いていたっていう印象でした。この頃は世間のい偏見と闘う同性愛っていうテーマが多かったです。
近年は百合ブームで百合専門誌?などもできて揺りマンガがカジュアルに描かれるようになりました。特徴は女の子同士ならばとくに規定がないことで、マンガのストーリーの出来とは関係無く成立しちゃうことです。この安易さは新人マンガ家やインディーズのマンガ家にとってはとてもチャンスがあります。結果として絵がちゃんと描けていない百合マンガや、ストーリーが幼稚な百合マンガが溢れちゃっています。これはっていう作品も多々ありますが作者が特定されてるモノばかりです。アニメのブームが衰退して一部のアニメファン以外が離れていった原因が安易な百合アニメにあるとも言えます。百合アニメがいけないのではなくて安易なことがいけないんですよね。現状では出版社も安易に百合マンガを描かせて、マンガ家も百合マンガだったら安易に描けるって思っちゃってることが心配でなりません。

 最後に本題のアダルト百合マンガについてです。前回取り上げた「collectors」は恋人同士の日常を4コママンガで描いていました。性格が違う同士のいざこざがのトーリーですが、そのラストのコマは必ずイチャイチャで終わりたまに夜のシーンもありました。まあ恋人同士は愛し合ってるよっていうことなんですが「宝石色の恋」では具体的にアダルトな夜のシーン多めになっています。その分アダルト百合マンガなんですが、男の子向けマンガではないので過度な期待には答えていませんよ。
ベッドシーンは西UKOさんが描きたいだけかもしれませんが、百合に清楚とか純真を求める野郎たちを拒絶するためのアイコンなのかもしれません。男女の恋愛ではセックスするのに女同士だと中学性のような恋愛を要求するのは、それ自体が LGBT への偏見によるものだと思います。
「collectors」ではベットシーンをほとんど1コマで済ませていながら、主人公同士が愛し合ってることをは十分に表現出来ています。直接ベッドシーンを描かなくても、そーいう深い関係っていうことを読者に判らせるセンスですね。


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