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2021-05

あのアニメの原作 - 2016.12.04 Sun

こうの史代さんの「この世界の片隅に」です。

 今年は邦画の当たり年らしいです。 特にサブカル系の作品が席捲し特撮映画の「シン・ゴジラ」が大ブームになった直後にアニメ「君の名は」が記録的なヒット作になりました。 去年の今ごろは町山智浩さんが「進撃の巨人」で怒られていたのが遠い昔のようです。今年の最高傑作と褒められた新海 誠さんですが、まったくのノーマークな伏兵の存在に脅かされています。それがこうの史代さん原作、片淵須直さん監督の「この世界の片隅に」です。某有名ラップミュージシャンが5千億点をつけた「日本映画史上の歴史にのこる傑作」と誉れ高い佳作です。 
前回の記事で新海 誠さんはインディーズアニメ出身ながら大手資本を得ることによって本格劇場アニメを作りました。 片淵さんはクラウドファンディングによって資金を3千万以上を集め、最終的には制作費2億5千万のアニメを完成させました。
このアニメのもう一つの話題は主人公の声にのんさんを起用したことです。 のんさんはもともと能年玲奈という本名で活動し「あまちゃん」で国民的アイドルになりました。 でも移籍問題のあーだこーだで本名を差し押さえられ、時々見かける芸能界のオキテというやつなのかのんさんが主演のアニメもテレビの芸能バラエティーでは話題に取り上げることすら御法度のようだったみたいです。 「君の名は。」がテレビでの押し押しだったのに対して、「この世界の片隅に」は公開され観た観客の口コミがヒットにつながった感じです。 「主人公のすずさんの声はのんさんの声しか考えられない」といったコメントや「のんさんはすずさんそのもの」といった感想が多数あるようです。 視聴者や映画ファンにとっては芸能界のオキテとか制裁とかは、まったく興味のない世界の戯れ事でしかありません。芸事で評価出切り仕事をした芸能人は、芸能界じゃなくてファンが正当な評価をして上げれば報われるときがくると思います。
マンガファンとしては作品の質で「君の名は。」よりも「この世界の片隅に」が評価されることのほうが嬉しいですね。

  ブログ画像 この世界の片隅に JPEG

 記事で取り上げながらも相変わらずですがアニメ版の「この世界の片隅に」は観ていません。 この作品は前記の通りにテレビでは永遠にオンエアされない可能性が大です。 自分はたぶん一生観るチャンスがないんじゃないかな? でもこのアニメの原作マンガは当時読んでいました。アニメが素晴らしいという理由の中に「原作のイメージやメッセージをそのまま表現できている」という感想が多いです。 こうの史代さんの原作マンガ版のほうも再評価されて、本屋さんにも平積みされるようになってるみたいです。
自分が最初にこうの史代さんの作品を読んだのは「街角花便り」でした。 自身のデビュー作なんですが4コマ誌なんかの連載だったと思います。 当時としてもまだ珍しいライト百合マンガ的な作品でしたが、そんなに面白くないっていう感想だったように思います。 むしろどんな感想だったか印象に残っていないくらいでしたが「こーじゃないんだよなぁ」って思ってた気がします。 それ以外にも鳥を題材?にしたマンガを発表してる人なのですが、動物マンガにはほとんど関心がなかったから「このマンガ家は百合百合しい作品には進まないんだ」ってがっかりした記憶があります。
「街角花便り」の次に読んだのが「この世界の片隅に」の上巻でした。 ご存じの通り戦中の広島や呉を舞台にしたお話で、主人公がお嫁に行く段階で百合でも何でもないじゃんって感じでした。実際にこの流れで出版された当時にこのマンガを読んだ人ってマンガ好きくらいだと思います。 サブカルの造詣でブイブイ言わせてる宇多丸さんですら、原作マンガは読んでいなかったくらいですから。 このマンガが世界に輸出されるような成長戦略なアニメになるなんて、当時このマンガを読んでいた人は誰も想像しなかったでしょう。 唯一、監督の片淵さんが証明してみせたんですけどね。
このマンガはアニメを観てからというかアニメが存在する今に読む場合と、そんな展開がまったく無かった出版当時に読むのでは作品への印象が違います。 宇多丸さんはアニメ版もベタ褒めながらこうの史代さんのマンガ版もベタ褒めです。 素晴らしい原作マンガの素晴らしいアニメ化っていうことですね 。 今回の日記は言い訳がましいのですが、自分は5千億点のアニメの原作ってことをまだ知らない時代に読んじゃったんです。 いや、まさかアニメ化されるようなマンガだとは思わないし・・・

 「この世界の片隅に」は上中下の3巻でリリースされたのですが、自分は上巻だけで挫折しちゃいました。 上巻といえばまだ空爆も原爆投下もなく、まだのほほんとしたすずさんの頃です。 こうの史代さん自身が戦争体験者とは思えないので、よく調べて描いてるなぁとは思いました。実際はかなり真剣に調べて描いていたんですけどね。 ベースになってるのは戦時下での日常アルアルっていう感じでした。 深刻な戦争批判や思想に片寄った反戦とはかけ離れた、戦争中の日本と日本人がどう暮らしていたのか?をレポートするような作品です。  その頃に読んでいた木村 紺さんの「神戸在住」の手描き風の情報プラス主人公の物語という形式に似てる印象でした。
このマンガは主人公の激動のドラマっていうテイストはなくて、ふわふわしたすずさんが流され気味に生活している感じです。 アニメではふわふわした主人公が気持ちを掴んだようですが、このふわふわした主人公にドラマの狂言回しや道化回しをさせるケースは多いです。 特に悲劇が確定してるような題材では泣き叫び人よりも笑ってる人のほうが浮かび上がりますしね。
マンガ版のサブタイトルはその連載時の月に連動した当時の月日がつけられています。 宇多丸さん曰く「このサブタイトルが8月6日 に何が起こるか知ってる現代人にとってサスペンスになってる」とのこと。 しかしそれは宇多丸さんがアニメを観てこの原作がどこに落ちるのかを知ってしまった現代人だからっていう気もします。 自分はのほほんと上巻を読んでいて「あんまり面白くないなぁ」って思って次の巻を買うのを止めちゃいました。このマンガで覚えてるのは続きが気になるほど興味がわかなかったってことです。 ディテールをともかく日本人ならみんな知ってるストーリー?で、ふわふわウリの主人公のマンガだったから。

 アニメ化によって原作が再評価されることはとても良いことだと思います。 読んでいながらその作品の広がりに気がつかなかった自分も、相当の節穴っていう感じです。 でも今あらためて原作を読みたいか?っていえば、まったく読むつもりもありません。 こうの史代さんは戦争テーマ以外にも古事記モノ何かも手掛けていて評価されてるようです。 本来のマンガってどちらかといえばアンダーグランドなメディアだから、PTAや文化庁に褒めてもらおうっていう精神と相反しています。 なんだか「街角花便り」の頃の百合百合しさはもうのぞめないんでしょう。 作者がちゃんとしたオトナだから戦争と向き合う作品が描けるんでしょうけど、ちゃんとしたオトナには百合百合しいマンガは描けません。 よい作品の定義なんてモンはありませんが、世間に評価される作品だけがよい作品ではないはずです。 新海 誠さんを承認して欲しい人と揶揄しましたが、こうの史代さんは基本がちゃんとしたことを伝えたい人なんだと思います。 今回はたまたまアニメ化が成功したから世間から正当な評価をしてもらえましたが、それまでもメディア芸術祭を受賞したり作品がドラマ化されたりしてます。
ただ、魔法少女やロボットが好きなアニメファンが「この世界の片隅に」を観なきゃアニメファンとして・・・って思ってる方もいそうですが、無理して観ることはないって言いたいです。 ぐうの音も出ないほどに正しいアニメなんですが、正しさにお金を出す義理があるワケでもありませんからね。

 アニメに正義は求めないけど観ておいたほうが良いと思えるのは、動画好きのアニメファンや歴史風俗好きのタモリさんタイプ、ミリタリーオタク、いまだにあまロスな能年玲奈さんファン。 
どうも作画や動画がスゴいらしいので高畑 勲さんの「かぐや姫の物語」で動画のスゴさを楽しめたアニメファンには必見かもしれません。 戦中版の暮しの手帖っていうテイストもありますし、呉が舞台で戦艦等も本気の描写らしいです。  


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