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2018-05

普通じゃない主人公 - 2016.08.05 Fri

第155回 芥川賞の村田沙耶香さんの小説「コンビニ人間」です。

 今年の芥川賞に村田沙耶香さんの「コンビニ人間」が選ばれました。芥川賞といえば去年は又吉直樹さんの「火花」がベストセラーになりました。 自分は文章を読むことには苦もないのですが、いかんせん小説を読むのが苦手というか嫌いなので読みません。 当時はお話作りを目指していたのでやたら滅多読んでいたんですけど、小説を読むこと自体はストーリーを考えるコトの役にはならないコトに気がついたんです。 とくに純文学というか普通の小説を読んでいると、作家の自己完結みたいなストーリーや独りよがりな感情表現が我慢できないんですよね。そうじゃない作品も山のようにあるんだろうけど、そーいう作品のほうが海のようにあるんです。 闇雲に書籍の大海原に出て行っても良書の新大陸を見つけるのはなかなか困難です。 書評やベストセラーを頼りに“読まれている作品”に手を出せばいいのかもしれませんが、そーいう作品こそ読んでいてハズレって叫ぶ作品なんですよね。
マンガだったらハズレ作品の中にもハズレの理由を考えるために読み続けることもありますが、小説が書きたいって思ってるワケじゃないから数ページで読むのをやめちゃいます。 そんなことを繰り返してるうちに「べつにリスクをかけてまで小説を読む必要があるのか?」っていう疑問が生じて本を買うこと自体をやめちゃいました。

 マンガにしろ小説にしろ書評家の奨めるのは売れてる本か売れて欲しい本です。マンガランキングなどで上位にくる作品は大抵自分が読まないだろう作品ばっかりです。 でも自分が面白いマンガを読んでいないとは思っていません。そもそもマンガでも小説や映画でも作品に順位やランクをつけたりすることに反対です。
そんな芥川賞って何だよ?ってハナシです。 公益財団法人 日本文学振興会の主催する文学賞で、ほかにも直木賞、菊池寛賞、大宅壮一ノンフィクション賞、松本清張賞などがあります。 基本は新鋭作家の登竜門なので毎年候補に挙がる作家が新鋭か?っていう疑問や、新人賞ならば純文学の最高の文学作品ではないんでは?っていうモヤモヤがあります。モヤモヤの原因は日本文学振興会という団体は文藝春秋そのものだからです。 又吉直樹さんが入選した理由も雑誌を売るのに一番効果的だからかもしれません。 芥川賞と似たイメージなのは少年ジャンプの手塚賞でしょう。 
マンガの新人賞っていうのは編集部の担当が付いた下積みのマンガ家が、デビュー前に箔をつけるためのデキレースです。 ただし手塚賞は賞金の200万円を出し惜しみしてるからに入選作は滅多に出ません。文藝春秋といえば最近のゴシップ記事は飛ぶ鳥を落とすノリノリの出版社です。 世間のイメージは不倫と横領疑惑の捜査機関って感じなんだから、その会社が文学の善し悪しを決めてるのも何なんでしょうね・・・

 今回の題材の「コンビニ人間」ですが、読んでもいませんし今後も読むことはないです。作品の情報は荻上チキさんがラジオでこの作品を紹介したのと、作者の村田沙耶香さんとの対談を聴いただけの知識です。 読売新聞の朝刊に10万部突破!の広告が出ていました。 広告のキャッチは『普通でなければ、ダメですか?』です。 作品の紹介文は『36歳未婚、古倉恵子。コンビニ勤務18年目。交際経験、無し。普通とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。』って感じです。 現代の実存というのが何なのかは本を買って読んでみなきゃわからないでしょう。 わかることはこの作品が普通じゃない人が普通の人たちが構成する社会で生きることがテーマということです。
キャッチコピーでは未婚とか恋愛経験とかを前面にうたっているので、行き遅れ中年女アルアルって感じの主人公が居直った感じが想像できます。 でもこの作品の普通じゃないっていうのは、世の中の常識的な普通の生活から落ちこぼれた主人公ってことではありません。 普通の人たちと同じような感情や生活ができない主人公のお話で、他人がどう思うのか、何故そうするのか、どう振る舞えばよいのかわかんないタイプの主人公です。 平凡なキャラが平凡な日常を過ごしてたら日記みたいになっちゃいますから、非凡なキャラをアクセントや重要なポイントで使ったりするもんです。しかし主人公をわかんないタイプに据えるっていうのは珍しいようです。
こーいうタイプの人で思い当たるのはアスペルガー症候群ですよね。 荻上チキさんが「コンビニ人間」という作品の内容を紹介の中で、小鳥の死骸のエピソードや同級生の男子の喧嘩のエピソード、そして両親が治療の必要性を考えるなど、アスペルガー症候群な感じがプンプンしています。 文学に限らず多くの物語には個性的な登場人物が設定されています。大体が主人公などのメインキャストを困らす存在として登場するキャラですね。 極めて個性的な行動で物語をかき回す役どころで「こーいうヤツいるよね」って場合、客観的にみてアスペルガー症候群に該当します。 しかし作者の村田沙耶香さんも読者の荻上チキさんも、主人公を『みんなの普通に違和感がある主人公』という位置づけをしています。両者ともしきりに一般的な普通がわからない変わった主人公像を強調していましたが、それって自閉症スペクトラムじゃないのですか?っていう質問はありませんでした。

 「自閉症スペクトラム」は臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いことを特徴とする発達障害の一種です。広汎性発達障害と同じ概念を指すもので、自閉症やアスペルガー症候群や特定不能の広汎性発達障害などが含まれます。対人交流とコミュニケーションの質が異常だったり、著しく興味が片寄ったりすること、パターン的な行動があることです。 対人交流の異常とは「ひとりでいることを好む、受け身な態度の対人交流、一方的すぎる対人交流、人情に配慮することに疎い」というものです。 これは「コンビニ人間」の主人公の人物像そのものだと思えます。
明らかに自閉症スペクトラムと思われるのに作者は「世の中に通念として存在する普通が本当に普通なのか?」みたいな禅問答がベースになってることを強調しています。 広告のキャッチは「普通でなければ、ダメですか?」です。 
主人公が普通と普通でないを選択して普通じゃないを選ぶのなら普通を問う作品ですが、普通が何なのか理解できないから普通とは何か?って問うのだったら普通は普通だよってだけのハナシですね。 歩けない人が歩けるようになるハナシと、歩かない人が歩きだすハナシは根本的に違います。 前者はリハビリのハナシで後者はモチベーションのハナシです。

 信州大学の本田秀夫先生の著書によると10人にひとりが発達障害に悩んでいるとのことなので、だいたいクラスに2~3人はいるってコトになります。自分もアスペルガーという言葉が広く理解される前から多くのアスペルガーたちを見てきました。 しかし誰ひとりとして「ワタシは広汎性発達障害です」っていうような自己紹介をされたことはありませんし、「アイツはアスペだから・・・」って指摘する人もいませんでした。 実際にアスペうんぬん言ってるのはネットのまとめ記事の中だけっていうイメージです。そもそも先天性ならば病気なのかどうかの解釈も難しいし、他者とのつき合い方の問題点なんで個人の自由かもしれません。本田先生も自閉症スペクトラムのことを自閉症スペクトラム障害とは書いていません。 自閉症スペクトラムが傷害になってる人もいるけど、障害になっていないで普通に生活できてる人もたくさんいるからです。
村田沙耶香さんに限らず多くの作品に出てくるワカランチンな言動でストーリーのフックになっているキャラのほとんどがアスペルガー症候群の人をイメージしてる感じです。 しかし作者はこのキャラは発達障害で・・・っていう設定を考えてる訳でもなさそうです。 キャラの行動を個性ととらえるか障害ととらえるかで書くほうも読むほうも心持ちが違っちゃいます。 「コンビニ人間」の広告に「発達障害の主人公古倉恵子が18年間コンビニに勤めている」って書かれてたら、読者の期待感が別モンになるかもしれません。もしも「コンビニ人間」が発達障害の部分がフックになっているから芥川賞を取ったのなら、純文学って何なのって感じです。 

 読んでないんからケチをつける権利のないんですけど、個人的には自分のジャッジで普通と普通じゃないを選択できるキャラを主人公にしたほうが面白いと思います。 村田沙耶香さんは多くのタイトルを受賞している売れっ子作家なのに、自身もローソンでバイトをしているそうです。 別に当人もコンビニ人間というワケではなくて人生経験のリサーチにいいからだそうです。 そーいう意図的な行動なのに変わってる人(村田沙耶香さん)のようなストーリーのほうが面白そうなんですけどね。 純文学は面白い必要がないのかな? 元なでしこジャパンの荒川恵理子さんも、オリンピックに出てたのに西友のレジで働いていましたね。 西友にこだわった理由がレジ打ちが好きだから。


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