topimage

2018-05

とらドラ!のガンダム - 2015.10.10 Sat

TBS系のテレビアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」です。

 
かつて「厄祭戦」と呼ばれる大きな戦争があった。その戦争が終結してから、約300年。

地球圏はそれまでの統治機構を失い、新しい支配体系をもって新たな世界が構築されていた。仮初めの平和が訪れる一方で、地球から離れた火星圏では、新たな戦いの火種が生まれつつあった。

 新しいガンダムシリーズの始まりです。 ガンダムシリーズは「ガンダムはアナハイム社が開発、製造している軍事兵器」とするパターンと、「まったく新しいロボット兵器を開発したけど顔と名前だけがなぜかガンダム」というパターン。 そして「旧世代の移籍から謎のスーパーロボットが発掘されたけど使ってみたら最新兵器よりもスゲぇぞコレ」っていうパターンです。 発掘型ガンダムはそもそもアナハイムが作ったというイメージを残しつつ、オリジナルなストーリーですからねっていうハイブリットなガンダムです。 思えばガンダムシリーズの全てはファーストガンダムの同人誌(パロディー本)なのかもしれません。 そうすればMSの設定に特化した軍事オタクガンダムでもパイロット同士の友情に特化したBLガンダムでも納得できなくもないです。 薄い本の内容に対して「コレは違う」とかありませんからね。 同人誌とはニッチな描き手がニッチなファンに向けて創るものなので、同じガンダムファンという括りでも心に響く人がいればその何倍もコレじゃない感が生まれます。 それはガンダムファンの中で統一したガンダム像を、ファンの中で共有できていないことが原因です。
それでは新しいガンダムは誰に向けたガンダムなのでしょう? すでに世間(アニメファン?)では期待派とがっかり派に二分されてるようですけど。

 アニメを作品のストーリーで分類するのはあまり意味がないことです。 そもそも物語をミステリーとか恋愛ものとか政治ドラマとかジャンルを分類すること自体に大した意味がないのですよね。 政治家が立身出世のために政敵を殺してしまうけど、その政敵の女性秘書と許されざる恋に落ちてしまう物語は何ジャンルのお話ですか? 何がテーマかよりも誰がテーマかのほうが明確に分類出来ます。 ここでいう誰とは視聴者や読者のことです。
そもそも「ガンダムというコンテンツが誰のためのモノなのか?」ということでしょう。 一番ガンダムを楽しむ権利があるのは小学生高学年男子です。 どんな作品論を並べ立てても小学生がぽかーんだったら話になりません。 小学生男子の心をとらえてガンプラやゲームを買ってくれれば作品は成功だと言えます。 それがガンダムファンの心に響くとは思えませんが。 次に狙い目なのは中高生女子です。 ガンダムシリーズはロボット戦闘アニメなので女子向けとは言いがたいのですが、そもそも宇宙戦艦ヤマトを発掘してくれたのも女子アニメファンたちでした。 男子が七色艦隊戦とかに燃えていた時に古代×島で萌えていたのが女子でした。 そのおかげで?今のアニメ文化が始まったんだから女子のパワーは侮れません。 敵役や脇役にあごのとがったカイジ風の美青年キャラがいたらそれが女子向け対応のキャラです。 ジョン・シルバーのようなあごのキャラは男子向け対応のキャラです。
ユニコーンは比較的年長さん向け、レコンギスタはトミノ信者向け、安彦オリジンはオールドファン向けって感じでしょうか? そのガンダムが自分の対象にならないのなら作品の善し悪しを語る筋合いではありませんが、いつかは「ガンダムの復興」を夢見ているのでどーしても言いたくなっちゃうんです。 ガンダム好きの人って復興っていう言葉が好きですよね。

  

 このガンダムは久々のミリタリーガンダムで、主人公のキャリアは民間の軍事会社の戦闘員から始まります。 リアル戦闘と男の友情がメインで、いかにも男の子向けな感じのガンダムって印象でした。 でも、お嬢様以外の登場人物は男ばっかの「オトコ祭り」ということは裏テーマは「池袋系ガンダム」って言ってるようなモンです。 昨今の男の子向けアニメは「男子禁制の美少女祭り」が主流ですから。 そーいう性癖は抜きにしても近年のテレビガンダムにしては頑張ったほうだと思います。
今回のガンダムの監督の長井龍雪さんと脚本の岡田麿里さんは平成のテレビアニメの中の数少ない成功作「とらドラ!」を作ったユニットです。 とくに岡田さんはガンダムに関わってこなかった人なので「歴代のガンダムの悪しき慣習」を壊してくれるかもって期待したくなりますよね。 結果はガンダムの1話目としては頑張っているんだけど同じような道に進むんだろうなっていう感想でした。
作品における設定の位置づけについてはブログの中で何度も書いてきたつもりです。 設定はストーリーではないっていうアレですね。 物語で何よりも重要なのは作品の世界観ではなくて登場人物の魅力です。 1話目を観た感想は各主要キャラをテンポ良く登場させて、都合良くガンダムも活躍するっていう必要な項目はすべてクリアしたっていう印象でした。 でもキャラに魅力を感じるかっていえばまったく感じませんでした。

 「とらドラ!」はラノベ原作ながらがアニメ的なキャラ設定を上回る生き生きとした魅力あふれるキャラでした。 このガンダムでは心を閉ざしがちな陰のある主人公や熱いハートの仲間、不思議系っぽいヒロイン、謎の組織の美形ライバル、陰険な上官など、多くのキャラが登場します。 上手に並べていますが、上手に並べすぎていませんか? 「硝煙のニオイがするガンダム」っていうのが今回のガンダムの評価では多いようです。 でもその硝煙って「アニメの中のいつもの戦場」に漂ってる硝煙って感じしかしないんですよね。 「ホンモノの戦場はこんなモンじゃない」っていうのではなくて「アニメ(ガンダム)の戦場っていつもコレじゃん」っていう感じです。 そもそもアニメは子供に観せる番組なんだからホンモノの殺し合いを描くことはダメですよね。 内蔵が飛び出す映像で「コレが戦場のリアル」っていうタイプのアニメーターもいますが、そーいう人はセンスがないからアニメから離れたほうがいいと思います。 今回のガンダムの演出は30年以上あるガンダムや戦闘アニメの中の「硝煙のニオイがするセリフやシーン」を集めただけっていう感じしかしませんでした。 過去のガンダムと比べてどうか?っていう評価はできますが、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」というタイトルのガンダムとして新しいキャラが描かれていたかといえば疑問です。「とらドラ!」も最初はライトノベルなキャラや設定を集めただけっていう印象でしたが、きっちりと「とらドラ!」のキャラとして描かれていました。 自分がラノベに詳しくなかったから先入観があったのも事実です。

 キャラ以外でガンダムシリーズが陥っちゃってる問題が不必要なほどの群像劇です。 物語を観ていて一番解りやすいストーリーは、主人公の視線だけで物語が進行することです。 次に二人の視線で同じ物語を進行させる展開。 ややこしいのは違う視線で違う物語を進行させる展開です。 最悪なのは違うお話が最後は一つにつながるという「ああそういコトだったのか」って展開です。 こーいうアニメは往々にして「そーいうコト」が「視聴者の納得のいくコト」にならないのが慣例です。 つまり視聴者にとってややこしいシナリオは製作サイドにとってもややこしくなっちゃうってことでしょう。 シナリオがややこしくなっちゃう原因は前回の日記で書いた通りです。 すべてのガンダムは主人公と自軍と敵軍と第三勢力の視線で展開します。 「一つの事変(戦争)を多角的な視線で表現することで物語を立体的にする」っていうと格好いい気分になれますが、実際はストーリーがややこしいだけになっちゃいます。 正直言って立体的な表現なんて毎回出来ていないだろって思います。
ガンダムが群像劇になった原因はファーストガンダムにあります。 現役のガンダムファンの方々にはファーストを持ち出すことに嫌悪感があると思いますが、やっぱりガンダムという伝統芸能を学ぶ上では必要な教科書なので勘弁してください。 特撮での「ゴジラ」みたいなモンでしょう。 そもそもファーストガンダムが群像劇を装っていたことが後のガンダムシリーズに影響しちゃったんだと思います。 当時のガンダムが画期的だったのは「敵も味方もすべて人間」ということだったんです。 しかも「主人公のアムロや乗員たちにも都合があり、連邦にもジオンにも都合がある」っていうことがドラマ性を高めていました。 それまでの主人公はヒーローで敵は宇宙人というステレオタイプとは一線を画す作品でした。 だから人間関係や組織関係がややこしくて物語が深いっていう評価につながりました。 「ロボットアニメなのに大人っぽいストーリー」っていう評価だったのですが、これはアニメを観ている子供たちがそう思っていたんですよ。
しかしファーストガンダムは一貫してアムロの視線だけで物語が進行します。 基本はホワイトベースの航路がそのままストーリーといえます。 そこに関わった人たちを丁寧に描くことで群像劇風の見せていただけです。 ドズル中将の奥さんと娘をチラっと出すことでジオンの幹部たちを立体的に見せていました。 ファーストガンダムはアムロとシャアの対立軸で作られてると思われがちですが、ストーリー全体でのシャアが出ているシーンはたいしたことないです。 キャスバル兄さんのエピソードも物語のフック程度の設定でした。 そこを掘り下げてるのが安彦ガンダムです。

 主人公の視線だけだとドラマの広がりが描けないとか、ストーリーが子供っぽいとかは作る手の思い込みです。 物語を整理してややこしくないストーリーを作った方が多くの視聴者(とくにライトユーザー)の支持を得やすいと思います。 でも「ややこしい展開のほうが賢く思われる」っていう風潮が作る側にも観る側にも出来ちゃっています。 設定が物語りではないって散々書いてきましたがややこしさが面白さではないっていうのも基本中の基本です。 ややこしいストーリーはややこしく思わせない技術がない人は創っちゃダメでしょう。
今のアニメの群像劇は「母を訪ねて三千里」なのにネロやハイジが伏線ででてきて、いつの間にか雪の女王と闘うクライマックスになっちゃって感じです。 アルゼンチンに行く話はどーなった?っていうバラバラ感なのに、始める時は広がりのある展開にしたかったんでしょう。 アニメは要素を足せば足すほど薄まっていくようなので、思い切って引いてみるとキャラ一人一人の重要度がアップすると思いますよ。

 最後に「鉄血のオルフェンズ」っていうタイトルもどうかなぁ。 鉄血っていかにもラノベのワードっぽくって中学生が喜びそうですけどね・・・

「ほぉ」って思ったら押してね

● COMMENT ●

北海道では昨日の2話が野球で潰れてしまい、来週にお預けのためまだ1話しか観ていませんが、敵パーツを奪って~と言うのがビルドファイターズで学んだ商法な気がするのと、ボトムズ的な舞台にグレンラガンのカミナとシモンを主役にして、永野メカ的な設定とシルエットと武器のMSが活躍するような印象でした。

ストーリー展開についてはまだ1話なのでなんとも言えませんが、期待はしています。
でもややこしいけど説明仕切れていないものよりはシンプルでも深みのあるものがいいなと思います。

> 一番ガンダムを楽しむ権利があるのは小学生高学年男子です。
> どんな作品論を並べ立てても小学生がぽかーんだったら話になりません。

とのことですが、現在高2の息子を持つ私の感覚では、
今の男の子たちでガンダムに興味を持っているのは、
1~2%じゃないでしょうか。
息子に聞いてみても、
ガンダムは小学校でも中学校でも学校で話題になったことはないそうですし、
ガンプラを購入していたり、ガンダムのゲームをしている子も、
2人しか知らないとのことでした。

私も子どもと一緒に大型スーパーのおもちゃ売り場を見ていて、
実感したのですが、
もう、ガンプラを置いている店、あまりないんじゃないでしょうか。
SEEDの頃は置いてましたが、どんどん置き場が少なくなり、
AGEの時は見かけませんでした。

なので、小学生高学年とか中学生は、ガンダムを見ていないし、
ガンプラも買っていないというのが現実だと思います。

iceicelc さん、いらっしゃいませ。

誰かが過去のアニメで使ったアイデアを盛り込むことで一定の安心感はあるみたいです。
とりあえずいろんなコンセプトは集めたけど本編でやりたいコトは?っていう感じがします。
近年のアニメスタッフにはシンプルな話を深く描く勇気がないんじゃないのかな?
盛りだくさんにしなきゃいけない理由があるんだろうけど、その理由が今のアニメ界の問題の原因のような気がしますね。

ちよこさん、いらっしゃいませ。

「小中学生がガンダムを観ていない」っていうのが最大の問題点ですよね。
いや、べつに「子供はガンダムを観るべき」っていうことじゃないんだけど、ガンダムっていうコンテンツが誰に向けてのモノなのか疑問です。
妖怪ウォッチに熱中した子たちをガンプラにつなげなきゃいけないのにね。
自分の感想でも今の小学生にガンダムって言われても響かないのは当然だし、今のガンダムで子供に気を引くのは不可能だと思います。
自分の世代が鉄腕アトムとか鉄人28号では響かないのと一緒ですね。

鉄血のオルフェンズの後は完全女子向けのガンダムを作って欲しいとこの記事を読んで思ってしまいました。
最近のアニメは安全なカードばかり切って、仕方のない事なのかもしれませんが利益追求や原作の宣伝などに縛られて冒険が足りてないと感じてます。

初めから子供向けですとか、女の子向けですと主張して作ってる作品の方が面白いものが多いのではないでしょうか。
そろそろ深夜アニメや大人も観るアニメを視聴するのは潮時かなと思う今日この頃です。

甘エビさん、いらっしゃいませ。

完全女子向けだったらモビルスーツもいらないんじゃ・・・・?
押井さんだったらMSの出ないガンダムを創れそうだけど、押井さんに女子向けの何たるかが解るハズもないし。
作り手は安全なカードを切ってるつもりだろうけどコアなアニメファンが喜ぶ(支持する)作品のカードばっかり切りたがる傾向が続いています。

そもそもこのガンダムも深夜アニメじゃなくて夕方アニメなんだから明確な子供向けガンダムであるべきなんでしょうね。
だいたい大人向けガンダムって言葉がヘンですし・・・


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://likea777.blog33.fc2.com/tb.php/279-be9d482b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

楽しいラグビー «  | BLOG TOP |  » 特撮ルネサンス

管理人のらいかです

マンガを描くという事を目標にして
マンガの描き方を考えるブログです
(ネタバレの可能性があります)

は記事の内容に「ほぉ」と
思えたら押して下さると嬉しいです

最新記事

訪問していただいた人数

月別アーカイブ