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2020-11

鬼滅は万人に向くか? - 2020.11.23 Mon

吉田秋生さんの「歌詩川百景」の続きのはずだったのですが、今回も鬼滅です・・・


 前回は吉田秋生さんの新作の記事を書こうと思っていたのですが、大ブームの「鬼滅の刃」に引っ張られて「どこが歌詩川百景だよ・・・?」っていう感じになっちゃいました。前回の記事では観てもいない作品で記事を書くのは如何なものかとも思いました。しかし、先日たまたま「鬼滅の刃」のアニメを観ることができました。
映画館へたまたま行くわけがないんでテレビアニメ版なんですが、フジテレビ系でテレビアニメ版の22話~26話を一挙放送(一度に5話ぶっ続け)したのを録画してくれてました。フジテレビが「初見で劇場版を観る鬼滅シロウト」向けに予習のための再放送です。どうせなら1話から観たいって思ったりもしますが、ウチの録画番組の選考担当が「話題のアニメだから録画しといたよ」程度の気持ちちだったので仕方ありません。自分もそこまで観たいか?っていう気持ちもありますし・・・
こーいう場合はダイジェストを映画公開特番っぽく放送するのがセオリーなんでしょうが、細工や番宣抜きで直前の回をフルで観せるのは制作サイドのこだわりや自信が感じられます。逆に映画版の「無限列車編」はテレビシリーズの27話に相当する所からいきなり始まるようなので、「鬼滅の刃」のトリセツ(事前情報)を読んでいないシロートにはキビシイ映画なのかもしれません。
自分は「鬼滅の刃」のテレビアニメも最終回まで放送されていて、その中の「無限列車編」が劇場アニメにリメイクされたんだと思っていました。実際はテレビアニメの26話までが「・・・立志編?」で27話以降がそのまま劇場版「無限列車編」のようです。キメハラの人たちにとっては「そんなの知ってるよ」なんでしょうが、じつは去年(2019年)の3月にテレビアニメ放送直前にテレビ版1話~5話の部分を「鬼滅の刃 兄妹の絆」というタイトルで2週間限定で劇場公開していました。これは制作サイドが事前に大ヒットするという確信がなければできないことですね。
劇場版の「無限列車編」は「事前の情報がゼロでも十分に楽しめる作品」と言われていますが、本当にそうでしょうか? 今回は自分が観たテレビ版の22話~26話から想像する「鬼滅の刃」を検証してみたいと思います。(検証するとか言うからキメハラたちの餌食になっちゃうんですよね・・・)


 これ以降の記事はネタバレ覚悟になりますので、ハヤリとかブームに流されるわけではなく「偶然ふらっと映画館で観る」という作戦の方はネタバレ注意です。しかし通常の日本人の10分の1以下の情報しか持っていないので、ネタバレにすらなっていないとの指摘はスルーしてください。
どれくらいの情報量かといえば、主人公のお友達のイノシシ君は本当のイノシシの妖怪だと思ってました。録画した同居人も主人公の名前はヤイバ君だと思っていたらしいんですが(自分がウソを教えてた)とっくに炭治郎だと知っていました。しかしふたりとも炭治郎の名字が読めませんでした。
個性的な人名と耽美的?な漢字の取り合わせは、アニメだと文字がイメージできなくて文章だと音がイメージできません。キャラが浸透すれば「個性的なキャラ」となるんでしょうが、一見さん泣かせではあります。アニメの作中で登場人物のフルネームは毛筆体でインサートする手法はジャンプ的説明という感じですが、カットインが速すぎて読めません・・・
そもそも公開作品というものは情報を公開しなければ興味を持ってもらえないという事と、劇場でビックリさせたいから内緒にしておいてという事のジレンマがあります。極端に言えば「面白かった」というのは最大のネタばらしです。それでも制作サイドは事前に情報がない人向けに大まかな説明を入れるルールがありました。その手順は本気のファンにとってはテンポを悪くするだけなので、できれば制作サイドとしては省きたいんですよね。
「鬼滅の刃」は原作のマンガが累計1億部突破、映画の観客数が1500万人越え、マスコミが連日特集を組んでいる状態です。これだけの露出がある場合は「キメツって何?」という人を掘り起こす必要は全くありません。「ちゃんと事前に予習復習してから映画館へ来いよな」っていうスタンスで、その救済のためにテレビアニメ一挙放送があったんでしょう。
映画館を出て「何やってんのか、全然解んなかった」って叫ぶのは、多くのファンに対して失礼な行為です。Jリーグの会場で「海外サッカーに比べたら日本のサッカーなんてお遊戯だよ」っていっちゃうくらい無礼者です。最近は見かけませんが浦和レッズの試合でもバルサやマンUのレプリカを着て「俺は本気(海外サッカー通)のサッカーファンだから・・・」って態度で観戦している人たちが結構いました。そーいうJリーグを舐めきった態度の“サッカーファン”を“サポーター”は後ろから張り倒したいって思っています。クラブに迷惑がかかるから誰も張り倒さないんですけどね。
同じように自分はなるべく映画館で映画を観ないようにしています。「イノシシ君じゃねぇよ」って怒られそうだから・・・ あそこは映画ファンが集う場所だから、つまらない映画をつまらない顔で観ているのは失礼だと思いますから。つまらない前提なのもアレなんだけど・・・
あくまでもテレビアニメ版の22話~26話の5話分を観ただけの感想なので、「ちゃんと1話から見ろ」とか「原作を読め」などの意見はごもっともです。でも、話題になっているから観たいけど「自分だけ楽しめなかったらどうしよう」とか「これって・・・そんなに面白いか・・・?」って不安に思う人は多いはずです。1500万人が観たといっても1億1000万人は観ていません。それでいうと120万人しか観ていない「ヴァイオレット・エヴァガーデン」なんか誰も観ていない計算になります。自分としては京アニのアニメのほうがちょっと興味があるんですけどね・・・
ここまで「鬼滅の刃」を全マスコミがPRしているんだから、そりゃサブカルに関心が薄い人でも観たくなるのでしょう。スポーツ観戦が苦手な人でもオリンピックは観ちゃうモンです。個人のサイトの中では批判的な意見や感想もあるんだろうけど、メディア関係には絶賛以外の声が聞こえません。
自分のメディアのメインはAMラジオですが、「鬼滅の刃」に対するコメントは「大ブームになってる」と「ボクも観ました、読みました」と「ボクはまだ観てないんですよ」ばっかりです。
普通だったら「わたし子供と観に行ったんですけど全然入れませんでした・・・」とか「なんかスゲーつまんなかった」っていうコメントを言う人はいません。(言うと他の番組からも干されるのか?)


 22話~26話は鬼とのバトルエピソードが全くないターンでした。22話は前回まで鬼と戦っていただろうエピソードがあって、そこで鬼殺隊の先輩たちに妹が鬼であることがバレてみんなから追求されるシーンです。通称“お白州のシーン”です。23話~25話は回復のための療養所のシーン、全集中やら何やらの特訓シーンなどのコミカル・パートで、26話は一転して無限城での鬼チームの下弦の鬼のリストラシーン。4人がクビになって唯一残された麗夢が劇場版で敵対する悪役です。26話を観ていた時はこのいキャラは女性なんだと思ってましたが、ウィキで裏取りしていたら麗夢は優男風って書いてありました。(声優は平川大輔さん)
自分が得た最初の鬼滅情報はTBSラジオの「たまむすび」のブルボン小林さんのコーナーにて「鬼滅の刃」を紹介でした。そこでキーワードだったのが「鬼殺隊は福利厚生が行き届いたホワイト企業で鬼チームはブラック企業」と「戦いで受けたダメージをしっかり回復させるだけの回がある」ということでした。自分が観た22話~26話はブルボン小林さんの語る鬼滅の刃のオススメポイントだけで構成されてます。ラジオでははぼーっと聴いていただけでしたが、アニメを観れば言わんとしていたことが理解できます。このラジオの情報と22話~26話を観た情報しかないので、結局は自分の鬼滅評はブルボン小林さんの鬼滅評との答え合わせなんです。
自分がテレビ版で観たかったのは「呼吸」と「全集中」についてのシーンでした。これらの単語は流行語のように巷に溢れていますが、本編を知らないのでイマイチ使い方がわかりません。わかっても使わない言葉なんですけどね・・・
23話~25話は治療と特訓のエピソードでした。詳しく説明されていないんですが、寝てる間も全集中するという「全集中の呼吸」を24時間続けるという特訓と、カップシャッフルみたいなゲームっぽい特訓や鬼ごっこトレーニングなど。
これらは主人公が努力して強さを身につけるという少年ジャンプの理念が影響されているエピソードですが、ちょっとだけ違和感がありました。この作品のキモは主人公の炭治郎クンの実直さや努力なんでしょうね。最近のアニメやマンガにみられる捻くれた主人公や無意味に暗い主人公ではありません。集英社のワークスで作られた健全な少年ヒーロー像なのは好感がもてます。とくにアニメの主人公は理屈っぽいと共感しにくい傾向にあります。しかし理屈っぽくアニメを観ている「自称オタク」の方々は理屈っぽさがアイデンティティなのでダークなキャラのほうが本物志向だと思っていたりします。アニメの本物って何だよ・・・?
違和感はあったのは真面目で努力家、そして妹思いていう設定の部分ではありません。努力すれば工夫しなくても誰もが上達するというスキルアップの表現です。「頑張って努力すれば、できなかったことができるようになる」というのは全ての人が頑張れば公平に強くなれるロジックです。このロジックで作られているのがRPGゲームの「経験値」という謎コマンドです。それまでのゲームはアクションにしろ格闘にしろ100回やっても上手くならない人は1面すらクリアできませんでした。その点RPG ゲームは創意や工夫よりも時間を掛ければ経験値が上がって強くなるというシステムです。
頑張ったら達成するというのは公平なようでいて、主人公が考えたり学んだりはいらないのか?って思う部分もあります。『主人公ができなかったことが3話分頑張ったらできるようになった。』というのも主人公の成長なんでしょうけど、観ていても「ああっ経験値が上がったのね」くらいの感動しか思えませんでした。ここは本来ならば「侍ジャイアンツ」の番場蛮のように苦悩しながら必殺技を獲得していくのがジャンプ魂だと思います。そこには発想の転換やひらめきなどが視聴者や読者に主人公の成長を納得させるギミックが必ずありました。
「これをやりなさい」っていう指示に対して、疑わずにこなすことで成長する主人公っていうのがモヤモヤします。それが今風の良い主人公像なんでしょうか? 逆に必殺技の種類も水の魔法や火の魔法風の魔法など、L1ボタンでリストを呼び出して○ボタンで決定する印象です。それも「メラ」「メラミ」「メラゾーマ」「メラガイアー」という感じに後半になると使える技が増えるのかな・・・


 ブルボン小林さんが押していた部分でイマイチ共感できなかったのが「シリアスなドラマだけどギャグ要素満載・・・」ていう部分のギャグのノリでした。マンガやアニメにギャグを入れるのは正しいですし、面白くする努力はもっとも尊い努力です。しかし「鬼滅の刃」のギャグパートは3回目から観ていて面倒くさくなってきました。
同じパターンで頭身がギャグになったり「ヤダヤダヤダ・・・」を繰り返したり、早口でまくし立てたりが自分は苦手なんです。シナリオの中のセリフにギャグが入っているのは問題ないんですが、ギャグパートで笑って下さいになるのはキツいんですよね。とくにイノシシでないほうのお友達のシーンがいちいちギャグパートで食傷気味でした。
斬首や惨殺のシーンとバランスをとる意味でギャグシーンは重要なんでしょう。バランスとは殺戮を正当化するのではなくて、陰湿になりすぎないようにお笑い要素で明暗を調整するってことです。
そもそもギャグの時は顔がギャグ顔に変わらないと笑えない人もいますし、小さい子には解りやすくコントシーンにしなきゃ笑えないんでしょう。それとこーいうギャグの見せ方が好きなアニメファンも多いんでしょうから、この技法が間違っているとは思いません。
ジャンプの編集部の方針として水を飲むシーンでは「喉がカラカラだ・・・」(水を飲む理由の説明)「このコップの水を飲もう」(コップの描写は中に水が入っていると説明)「ゴクゴクゴク・・・」(水を飲む描写を擬音で説明)「はぁ~水を飲むと生き返る~」(今、水を飲んだことの説明)ってなります。水を飲むカットでどれだけのコマ数を使ってるんだよって感じですよね。このジャンプ流の丁寧に説明されたギャグシーンが耳障りに感じちゃいます。パターンギャグとかしつこく続くギャグが苦手な方は劇場版は辛いかもしれません。ギャグのセンスは正解とか不正解ではなくて肌似合うか合わないかだから一番我慢できないのがこの部分だったりします。
これらは23話~25話を観ただけでの感想なのですが、万人(1500万人)に受け入れられている作品なので、前記のとおりにこの鬼滅ブームでマンガやアニメ業界が活性化されるのだったら、それは何よりなことです。
何よりも国民の12%が劇場へ行ったのですから、面白い作品ということに偽りはありません。こんな些細な部分をあげつらったところで、作品の価値を下げる要素にはならないでしょう。
23話~25話のストーリーは全体の構成の中では凪(なぎ)の部分だったんだと思います。自分が観た22話~26話では回想シーンでちょこっとだけでした。それこそ水の呼吸のシーンは1回もありませんでした。わざと見せないのか?まだ水の呼吸を習得していないのか?本気でわかりません・・・
じつは22話のお白州シーンと26話の無限城シーンは本面のなかでもかなり需要な回で、箸休め的な特訓パートとは空気が違っていました。この2話は対称になっていて「鬼滅の刃」のリアルな評価ができるパートとだと思います。

次回の記事は22話&26話から「鬼滅の刃」を考えるです。(たぶん・・・)


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