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2020-06

13人の誹謗中傷者 - 2020.06.07 Sun

NHK クロ現「女子レスラーの死 ひぼう中傷した側 何を?当事者証言」です。

 先日、亡くなった木村花さんへのネットの誹謗中傷の書き込みに対してNHK「クローズアップ現代」が取り上げていました。
話題になっているフジテレビの「テラスハウス」ですが、自分は観たことがないまま番組は打ち切りになったようです。自分が持っていた「テラスハウス」の情報はラジオの「たまむすび」で南キャンの山ちゃんがネタトークを話していたのを聴いていたくらいです。
ネットで“テラスハウス”を検索すると面白いように不動産情報が出てきます。住宅情報の「アパマンショップ」のHPにテラスハウスについて詳しく書いてありました。テラスハウスという名詞にシェアハウスの意味はなく、独立した家を世帯分集めたイメージだから玄関、トイレ、風呂、キッチンはそれぞれ独立しています。戸建て住宅を横にくっつけた感じで、高級な長屋っていうか横着な一戸建てっていう建物です。テラスハウスを名乗る条件は各戸2~3階建てであることのようです。
番組の中のテラスハウスがどーいう建物だったのかは判りませんが、本来のテラスハウスをセットに使っていたら、他人の洗濯物を同じ洗濯機で洗うようなことはなかったのでしょう。
事件の概要はネットニュースや各メディアの報道のとおりです。自分は木村花さんという女子プロレスラーを知りませんでした。番組のイメージだと出演者は全員シロートの一般人が応募していると思っていました。さらに木村花さんもプロレスラーだからプロレス団体の選手だと思っていましたが、芸能活動?には所属団体とは別に芸能プロダクションと契約していたようです。
「リアリティ・ショーに自分で応募して出演したんだから自己責任だろ・・・」っていう「自己責任」という言葉が好きな人も多いようです。そーいう人たちって「契約して仕事を受ける」ということを経験したことがないタイプの人なんじゃないのかな? 
自分は木村花さんという方を事後に初めて知ったくらいなので、悲しいとか悔しいとか喪失感は全くありません。知らない人という枠でいえばコロナで亡くなった方と番組の出演でなくなった方との自分の距離感はあんまり変わりません。


 テレビでのネット社会の闇への報道はどれも空回りな感じでしたが、クロ現のタイトルにある「当事者証言」の部分に興味がありました。実際に誹謗中傷した当事者に会って取材していました。この事件でよく判らないのは「多くの誹謗中傷な書き込みがあった」という多くの人って何人なのか?ということです。
クロ現で取材した一人目の誹謗中傷者Aさん(書き込んだ人)はハナさんと揉めたコメディアン志望の出演者に感情移入していたとのこと。Aさん自身が『 情けない気持ちをもって生きているのに、自分より立場が上で上手くいってる人(木村花さん)に「なめているのか」とバカにされた感覚。「夢をもって頑張っているやつ(コメディアン志望の出演者)を、ある程度成功している人がバカにするなよ」と思って、その声を届け他方がいいと思うのですよ。いらぬ正義感なんですよ・・・』とのこと。
しかし、Aさんは木村花さんの死を知った後に反省のコメントを書き込んでいます。『 自分も加害者の群衆のひとりだと気がついて、俺の言葉は誰かを傷つけるんだと、みんなも思っていなければいけないと思って・・・』
また「見ていてイライラする」と投稿したBさんは『 ああいう言動を見せられてこちらも不愉快な気持ちになったので、傷つく傷つかないに関係なくとりあえず自分の思いを言いたかったです。自分の意見をとにかく言いたかっただけなので、そんなに叩かれているのは知らなかったです 』とのこと。
ネットの炎上を研究している国際大学の山口真一准教授によると、木村花さんへの1万件のツイートの中で7割が一回のみの投稿でした。
10回以上くり返し投稿者数は全体の1.3%で彼らの投稿数が全体の14.7%になるとのこと。これは少数の批判やネガティブな考えの人ほど多くのコメントを能動的に発信する。社会の意見分布としてはファンもアンチもいるのだけれど、ネット上ではアンチのほうが元気がいいから歪んだ意見分布によって「私にはこんなに敵ばっかりいるのか」ってなってしまう。
これがネット上で全世界が敵に思えてしまう原理です。
木村花さんの死が伝えられた直後からツイートの6割が他人に見えない状態になったとのこと。ネットの相談を受けているNPO団体への書き込みで「人を殺してしまった」とか「私はどうしたらいいのでしょうか」という誹謗中傷を後悔する相談が相次いでいました。事件後に削除したCさんのツイートでは「ボクの投稿は不謹慎で笑えないなと思いました」そして3分後の投稿で「ツイートを削除したのは特定など掲示板に掲載されたら面倒なので消しました」とのことでした。
番組の後半はSNSの誹謗中傷の裁判をした女性の話や韓国のアイドルの自死事件のことに映っていきます。


 タレントがSNSで炎上する案件は、テレビで些細なきっかけ~ネット炎上~マスコミが騒ぐ~大炎上・・・ っていう構造です。無名な一般人が・・・ っていうケースもあるんですが、一次情報はテレビのようなメジャー媒体が必要らしいです。それと飲食店やサービス業などイメージしやすいところがターゲットになりやすいのかな?
犯罪系のSNSも最初はテレビで観たニュースとか、政治家の暴言だったりします。彼らが国会中継をウォッチしてるとも思えませんよね。マスコミがまったく介入しないのは学校レベルの虐め問題のような内々の誹謗中傷パターンです。
テレビのワイドショーでも話題が取り上げられていますが、テレビ発信の炎上~マスコミが騒ぐという王道の展開になっちゃってますね。
マスコミが強調する「SNSの中の少数の人が書く誹謗中傷のせいで・・・」と「SNSを使っている大多数の人は誹謗中傷などしていないですよ」には違和感があります。キーワードの「少数の人」と「大多数の人」ってどんな人なんですかね? 「少数の人」とは心の中に悪魔が棲んでいる人で、「大多数の人」とは他人の悪口なんか考えたこともない人々ですか? これは多くの善人が社会を動かしてるが一部の悪者のせいで秩序が乱れるという説です。この理屈が悪意の書き込みをする人を法律で罰せられるようにしようという流れになっています。東名アオリ運転事件が道交法改正につながったのと同じ社会の要望です。
木村花さんの親族の方々は見識が高いようで、いち早く「この件で誰かのことを責めないで下さい」とコメントを発表しています。「ヘイトのスパイラルを終わらせて下さい」という願いはすでに犯人捜しのレベルではないということでしょう。
今回の危険が法律の不備だけではないと思うのは、もし法律が改正されていたとしても「誰を逮捕すれば解決する事件のか?」というところが不明瞭な印象です。少数の人というのはクロ現で山口教授が説明していた「1.3%のくり返し投稿する人」です。しかし多数の人も誹謗中傷を一回だけしていたというのが山口教授のデータでした。炎上の原理は少数の炎上目的な確信犯とそれに集まる野次馬的な傍観者によって構成されてると想像します。
木村花さんのケースで当てはめると、1万ツィートの内 1.3%のツィート数は130ツィート。これらの人は10回以上ツィートを繰り返しているのだから、総人数は10で割ると13人です。この人たちが木村花さんの誹謗中傷を仕掛けた「少数の人」の正体です。
捕まえるのはこの13人だけでいいのか? それとも1回だけツィートした7割の人(1万ツィート中の7割)7000人も捕まえるべきなのか? 13人は常習だけど7000人は釣られただけという判断だと、悪意の書き込みの悪意の基準はなんなのか? 書き込みを裁くのだから悪意のワードを使うと即逮捕というのでいいのか?などが曖昧です。某国のように「プーさん」という単語だでロックされちゃうと、表現の自由以前に文章が成り立たなくなる恐れがあります。どーせAIに何でも判断させるつもりなんでしょうけど、ネット小説でミステリーを書いている人も容疑者リストに入っちゃいます。被害者側が少数の13人を特定して情報開示請求するのも、全ツィートを被害者が読まなければ訴えられないのも大変です。


 取り締まるべきはツィートの文章なのか?それとも書き込む人の悪意なのか? クロ現でインタビューに答えていたAさんもBさんもCさんも、裁判になったら悪意(殺意)は否定するでしょう。だったら「ブス」と書いたら名誉毀損、「死ね」と書いたら恐喝罪というようにオートマチックに文章で裁けるのか? それとも心に悪意を持つことだけで法律に触れる世の中になるのか・・・?
「すべての人は本質的に嫉妬や誹謗を持っている」という説もあります。これらの考え方は攻撃的で悪意に満ちた人だけがSNSで誹謗中傷しているのいう前提の意見ですね。したがってワイドショーの司会者もコメンテーターも「オマエ等いい加減にしろよ」っていう口調になっています。
悪意の書き込みの規制や発信者の特定するなどの施策は、SNSに書き込んでいる人が悪人という前提で成り立っています。これはストーカー規制法と同一上のイメージなので、粘着な個人や組織的な攻撃には効果があるでしょう。「誹謗中傷は悪だから逮捕しろ」っていうノリで世間が動いています。
「それじゃ政治的な批判も悪意だから逮捕?」とか「映画批評も悪口なの?」ってなりますよね。自分は政治的にノンポリを表明してるからそれはいいんですが、作品批判は考えなきゃいけない感じがします。
本来なら今回は大林宣彦さんの続きを記事にするつもりでした。しかし作品の批評は作家にとって人格否定以上の暴言だったりします。それが悪意なのかカルチャーなのかを線引きする基準ができていないのが現状です。個人的にはリスペクトしながら批判するのをモットーにしていますが、死者への冒涜といえばそりゃそうだって思ったりもします。
加害者側の「悪気はなかった」「こんなことになるとは思わなかった」「みんながやっているから平気だと思った」というのは、やられた側からすれば到底納得できるものではありません。

 誹謗中傷のツィートにしても後悔のツィートにしても、問題なのは書き込む文章が幼稚だということです。もしかしたら全員が中学生というか小学生じゃないの?っていうレベルの文章です。ましてや「うんこ~」とか「ばーかばーかばーか」っていう書き込みに振り回されるのって無意味すぎますよね。
ここで仮定すると、誹謗中傷している13人は悪意のある愉快犯で、残りの7000人の人たちは悪意があるんじゃなくて幼稚だから分別がつかない人です。7000人の中に現役の小中学生も交じってると思われます。今回の事件はちょうど学校が休校になったタイミングなので、大人のフリをして誹謗中傷デビューした子供も多いでしょう。
「自分がバカにされたと感じてSNSの誹謗中傷の書き込みに参加した」と言っていたAさんは、23歳の大人の発言とは思えないくらい幼稚ですよね。「今は後悔している」っていうのも、まさに先生にバレた子供のような言い訳でした。
一概に書き込んでいる人を幼稚な文章って切り捨てるのもどーかと思います。他人を誹謗する人たちは普通の人に比べて何倍もプライドと自己啓示欲が高いんで、こんな文章を読んだら怒っちゃうかもしれません。「バカって言うほうがバカ」っていう理論は幼稚園児でも知ってることです。
他人が持つ悪意は制御できませんが、バカを排除する方法はなくはありません。SNSで悪意が拡散する原理は悪意のある13人の愉快犯が元になるツィートを大量に発信して、7000人の事件を鵜呑みにするタイプの人たちが拡散するイメージです。
マスコミはこの7000人の人たちのことを「悪気のない人」とか「正義感の強すぎる人」とか分析していますが、彼らの正体は「うまいことを言いたい人」だと思います。これはモバイル時代だから発生した新しい社会通念です。自分の料理をインスタに上げるのも、旅先の店を批評するのも、YouTubeで踊ってみるのも、全て発信している人への憧れだと思います。
一昔前は作品を作るということはアナログな手間がかかるから、エネルギーのある人にしかできないことでした。それがスマホのおかげで潜在的な発信欲は誰にでも手が届く時代になりました。しかし発信するとは自分がオリジナルになるというコトだから、システム的には簡単になっても発信者の技量が問われるのは昔から変わらないです。しかし本気のユーチューバーになれそうもない人でも「社会を斬ってるオレ」って思えるのがリツィートです。
SNS内で「木村花って××」って他人が書き込んでいたら、自分も「木村花って△△だぜ」って乗っかれるんです。悪口の部分だけいじったリツィートなんですが、それだけのことでAさんは「夢をもって頑張っているやつを、ある程度成功している人がバカにするなよ」をいうメッセージをを世間に発表した気分が味わえます。しかも「テラスハウス」を観たことがなくても誹謗中傷の例文がたくさんあるから誰にでも誹謗中傷に参加ができます。××を△△に買えるだけなのに気の利いた書き込みをしている気分が、彼らの「俺、本音で語っちゃうそんな人たちの自己満足のために誹謗中傷されるほうは、たまったもんじゃないんです。
誹謗中傷だけじゃなく賞賛するツィートも同じような7000人が書き込んでいます。みんなが褒めてる事件があると「最高です、感動ありがとう」と・・・
誹謗と賞賛の分かれ目がどこかといえばどっちの意見が多数派か?ということです。ネット社会では間違えた意見を言ってしまうのは「全世界に恥をさらす」くらいにダメージが大きいことです。なにしろSNSでのバカは日常の生活におけるバカの1万倍になりえるから。したがって木村花さんを誹謗する書き込みと擁護する書き込みのどっちが多いか見極めて、誹謗の勝ちだと判断されると10000件のコメントが全部悪口になっちゃいます。


 これはSNSのシステムに由来する現象だから、悪意を検挙すれば解決できる問題ではありません。しかし、しかし誹謗中傷が最近少なくなったなと思えるコンテンツは知っています。自分はサッカーファンなんですが、まだケータイよりもパソコンのほうがコミュニケーションツールとして信用されていた時代からサッカーの掲示板は盛況でした。浦和レッズサポの間では通称「浦議」鹿島アントラーズなら「Antlers cafe」などが主流の掲示板でした。
掲示板には“荒し”と呼ばれる誹謗中傷を目的とした書き込みを連投する人が必ず出てきます。鹿島さんのほうは判りませんが「浦議」は荒し対策でフォーマットを変えながら対策をしてきたんですが、その結果、今では完全な過疎になっちゃいました。荒しもムカつくけどサポーターの意見交換の場としての魅力もなくしてしまった感じです。
現在の主流になっているのは「超浦和レッズ掲示板」(チーム名のところはおのおのの応援しているクラブ名が入る)のほうが賑やかです。こっちも荒しときあ誹謗中傷の書き込みが多かったのですが、近年はかなり押さえ込まれてきたような感触があります。
サッカー掲示板の誹謗中傷は「宇賀神イラね」とか「浦和はJリーグから出てけ」など。誹謗というよりも人種差別な書き込みがあったりします。昔の掲示板はそーいう輩と熱いチーム愛を持った輩の罵り合いが永遠に続くような、とても子供に見せられない掲示板でした。しかし最近変わったのは誹謗中傷しないサポーターの対応でした。それまでは過剰な反論や誹謗中傷する書き込みを中傷するようなマッチポンプでしたが、いまでは「○○のコメントに反応しちゃダメ」とか「釣られちゃダメ」という感じで誹謗中傷コメントを掲示板全体で無視するようになってきました。
「Jリーグは低レベルだから観る価値なし」って書き込んで「俺、うまいこと言ってやったぜ」と思っていても、掲示板全体から無視されればうまいこと言えていないことに当人も気がつくようです。この無視作戦はうまいことを言いたいだけの7000人にとっては「本当にサッカーやチームを思ウことを発言しなきゃ誰も褒めてくれないことに気づけるし、13人の愉快犯にとっては反応がないから愉快になれないというメリットがあります。


 SNSで求められているモラルは人の悪口を言わないことよりもSNSの閲覧数を真に受けないこと。そしてうまいことを言ってる気分にならないこと。
SNSをやらない自分てとっては書き込みの悪意よりも内容や文章の幼稚さのほうが怖いです・・・


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