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2019-12

性善説のネット社会 - 2019.12.20 Fri

SNS の向こう側にいる人たちについて。

 大阪女児誘拐事件でクローズアップされている子供とSNSの関係についてのお話です。前提として自分には子供はいませんし、扶養する対象もいません。こーいう育児や教育問題になると「子供もいないくせにわかったようなこと言うな」という意見も多々あります。自分は中学生のころから吉岡たすく先生を師事し、テレビ寺子屋で育った世代?です。LGBTと女性の権利、育児はセットで生涯の学習テーマっていう感じでした。それなりに思うことがあるので、不調法ながら考えていきたいと思います・・・

 事件の概略は普通の家庭で普通の小学生が突然失踪するという事件でした。誘拐だったのか家出だったのか、ましてや凶行の可能性あるんですが、あまりにも漠然とした中で公開捜査になりました。おりしもキャンプ場での失踪事件が未解決なままなので、もっと長引くかなって思っていたら当人が自力で脱出して急転直下の解決になりました。被害者が児童なので報道も急速にフェードアウトしましたが、犯人にも連れ去られた児童やもう一人の少女にも疑問が尽きない不思議な事件でした。
ここで改めて事件の真相や原因、関係者への罵詈雑言を書いたところで何の意味もありません。犯人に児童誘拐につきまとう凶悪さや異常性癖のようなアレが感じられませんし、被害女児のほうにも誰もが一言いいたい気持ちがあったでしょう。拍子抜けなほど簡単に脱出できたのに解決まで時間がかかってしまったのは、女児が「家に帰るとみんなに怒られる」と思っていたからだと思います。
この事件に批判や共感がしにくいのは登場人物全員(失踪女児、家出少女、35歳自称派遣の監禁犯)が幼稚な思考のキャラっていうイメージだからでしょう。連れ去られ方も雑でしたが連れ去る犯人の無計画さ、家出少女の客観的なメンヘラっぽさ。この人達を分析したところで現代社会の闇の部分が浮かび上がるワケでもありません。
以前にこの日記で取り上げた「惡の華」の押見修造さんの作品だったら、家出少女が主犯格で35歳は彼女に精神支配されている実行犯にすぎないという設定でしょう。一週間の監禁でも失踪女児が公表無事だったのは、単純な監禁レイプ犯や猟奇犯ではなかったということです。35歳男は「靴がなければ逃げられない、スマホがなければ外で生きていけない」と思っていたのでしょうか? 大阪から栃木へ誘拐する計画性に比べると、その思考力のアンバランスさが気味悪いです。そもそも家出少女の許可なしに小学生を連れて来るとは考えにくいので、家出少女の指示で誘拐したと考えるほうがストーリーとしては自然です。

 登場人物が未成年ばっかりなのと最悪な結末とはほど遠い決着だったので、ワイドショーなどはあんまり扱わなくなりました。代わりに「スマホを子供に与えていいのか?」とか「子供を狙うSNS犯罪の恐怖」という話題は多くありました。いかにして子供をネット社会から守るのか?というのがテーマになっています。
元凶なのは妄想を凶行してしまう犯罪者なんですが、今注目されているのは「子供が無防備にSNSなどで犯罪者とコンタクトできてしまう環境をどうするか?」になっています。有識者という謎のジャンルの人たちの意見は大まかに以下のようになっています。

SNSの危険を子供に教える。(教育でなんとかする)
 
スマホの機能で悪のサイトを遮断する。(ペアレンスコントロールなど技術でなんとかする)

居場所のない子供へのサポート。(家出や悩みを打ち明けられる実存の団体でなんといかする)

 SNSがなかった時代でも家出する子供やダークサイドに落ちる子供は一定の数はいたはずです。今回の事件から見えてくるのは、居場所のない子供っていうほど失踪女児に居場所がなかったようには思えないです。むしろ35歳男と家出少女のほうの闇の部分が気になります。こーいう事件で必ず出てくる活動家の方々のコメントなんですが、何十年も子供の悩みを聞くボランティアをしてきたベテランの人とかは、子供の悩み事態が統計学上サンプルになっちゃってる印象があります。
家族や知り合いの子供悩みに向き合って答えを探すのなら、答えの是非にかかわらずにその子と向き合ってると当人は実感できます。年間20万件もの悩みの相談を受けてるんだから、活動としては立派なんでしょう。でも、今回クローズアップされてるのはボランティアの相談窓口じゃなくて、SNSの知らない人の共感してしまう子供が増えてることでしょう? オトナが子供の駆け込める場所を増やしたって、それを子供が信用しないんだったら無駄な経費になっちゃう予感しかありません。オトナを信用していない子供が自分たちで見つけたと思ってるのがSNSです。
「あやしいネットのコメントよりも20年の実績のある相談ボランティアに悩みを打ち明けて」というのが彼らの立ち位置のようです。自分たちが小中学生だったころに「何とか相談窓口」とかに自分の悩みを打ち明けようと思ったことなんてありませんよね。先生の相談するくらいなら上等で、それくらいオトナと子供の間には壁や溝があるのは当たり前です。
尾木ママに子育てを相談するオトナはたくさんいますが、尾木ママに悩みを打ち明ける子供なんて一人もいません。相談できる窓口を増やすというのは尾木ママを何十人にも増やすっていう感じでしょう。たくさんの尾木ママがテレビに出ていたら鬱陶しいだけです・・・

 スマホの有害サイトへのアクセスを封じれば子供を守れるという作戦もかなり微妙な感じです。有害というのが詐欺サイトやポルノサイトといったイメージしやすい悪の枢軸だったら遮断しちゃえばいいんです。でもSNSなどのコミュニケーション・ツールや通販サイトといったスマホのメイン機能にだって子供へのリスクが高いです。初期のインターネットで子供が巻き込まれたトラブルは、子供が勝手に高額な買い物をして何十万も支払いされるっていう平和な事件でした。ゲームサイトも子供への悪影響が心配されてますが、スマホゲームが有害サイトか?っというと難しいところです。何しろゲーム産業は政府が公認の成長産業だから、優良サイトといえなくもないですし・・・
そんなにスマホが危険なんだったら子供に与えないようにすれば解決するんだと思うますが、実際にはスマホを与えてるのは心配しているはずの親たちのほうです。スマホは何歳から・・・という議論は教育界での大命題です。スマホを欲しがるような連嶺になる前から子供にスマホを持たせたいと思っている親は多いの思います。だって子供を管理するのに便利だから。
赤ちゃんを抱っこしながら自分のスマホを凝視していた親の子供が、大きくなって親の目を見て話さずにスマホに夢中になるのは当たり前のことです。これはスマホなんかが発明される以前に吉岡たすく先生がおっしゃっていたことです。
授業でもモバイルを使うことを決めた国がスマホはダメって言えるわけもありません。家庭科で包丁を使うけど家では使ってはいけませんみたいなダブルスタンダードになっちゃいます。
システムをシステムでコントロールできると思うのは極めて効率のいい考え方に人たちの発想です。家出とかクスリとか不穏なワードでアクセスをロックしようとしてる人たちもいますが、どこぞの独裁国家だよ?って感じですよね・・・

 最後は子供がスマホを使う前提で利用ルールやマナーをちゃんと教えるべきという考え方です。これはスマホを与えるべきかどうかよりも、どうせ使うようになるんだから教えておくべきということです。小学生に性教育を教えるのに似ていて、まだ早いとかわざわざ刺激する事もないとかグズグズしてるまに、トラブルになっちゃうおませさんもいます。
子供に教えなきゃいけない性教育は生物学的な仕組みよりも「幸せなセックスと不幸なセックスがある」ということと「男女ふくめて性には商品価値があり、君たちもその標的にされることがある」ということを教えるべきです。そーいう世の中で暮らしているんだから。この性教育の授業とSNS のリテラシーの授業は同時にやるべきですし、最初の授業は就学前からやる必要があります。スマホやネットの管理責任者はあくまでも保護者なのですが、子供の恋愛感情を親がコントロールできないのと一緒で様補の利用状態を親が管理することはできないと思ったほうが話が進みやすいです。
何で失踪女児はSNSで知り合った35歳男と大阪から栃木に行ったのかに戻りますと、栃木に着くまでは自分が騙されてると思ってなかったからという可能性があります。ほとんどの人は「犯人はスモークのハイエース(定番)で無理矢理連れ去った・・・」とか想像しましたが、実際はまさかの在来線での移動でした。当時は高速はNシステム、新幹線は監視カメラというように犯人が周到に計画しているような記事を読みました。しかし電車での移動はいつでも逃げられるというリスクがあります。手錠に腰縄を使えば可能ですがそれでは拉致監禁感がありすぎます。常に女児と手をつないでいるのも真っ先に通報される案件なのでリスクが高いです。
発見前の家族への取材からイメージした失踪女児の人物像ではダークサイドに引っ張られてる感じではありませんでした。彼女なりに悩みはあったでしょうが、家出という可能性は低いと思われていました。この事件で世間が一番ビックリさせられたのは「6年生でも知らない男について行っちゃうんだ」ということでした。ついて行くとどーいう被害をこうむるのか?という想像はなかったんでしょう。彼女にすれば知らない男じゃなくてオンラインゲームで知っている“せつじろう”さんだったんでしょう。
報道ベースで「犯人が“せつじろう”という偽名を使って女児を呼び出した」と取材で明らかになったって言ってました。“せつじろう”は偽名じゃなくてハンドルネームだし、オンラインゲームを本名でアクセスしてるバカは多分いないと思います。失踪女児だって雪二郎さんだとは思ってなかったんじゃないかな・・・?
 読売新聞に江戸川大の玉田教授が子供にSNSの危険性を教えるのは「交通ルールを教えるように」という意見を書いていました。低学年からスマホを使う時代なんだから、赤信号で渡ってはいけないという交通ルールのようにスマホが危険だということを教えるべきだと。自分もこの意見には共感しました。信号を渡るのは幼児も小学生もお年寄りもみんな一緒です。
幼児は危ないからまだひとりで信号を渡っちゃいけないと教えてるのかも知れませんが、自分が幼児だった頃はひとりでガンガンに交差点を渡っていました。「横断歩道は危ないから中学生になってから渡ろうね」というわけにはいきません。子供だってひとりで道を歩かなきゃいけませんから。そう考えると「小学生にスマホはまだ早い」というのは事態の先送りにすぎません。
安倍総理が全ての小学校の授業でひとり1台のいタブレットをバラまくと息巻いています。なのにスマホはまだ早いというのも時代錯誤ですし、なにより持たせたほうが利便性が高いと思ってる保護者も多いでしょう。
子供にスマホはまだ早いという意見の人は自転車だったら何歳から乗せればいいと考えてるのでしょうか? 危なさでいえばスマホよりも自転車のほうが何倍も死のリスクは高いです。普通のスマホユーザーは何のトラブルや犯罪にも巻き込まれないでスマホ使っています。
自転車だってほとんどの人はクルマに撥ねられることなく使っています。ましてやオトナだったら赤信号で渡ることなどダメって判ってるはずです。ほとんどのドライバーは子供を撥ねようとは思っていませんが、子供が飛び出しても止まれるわけじゃありません。子供が「飛び出しちゃダメ」と理解するしか轢かれない方法はありません。

「スマホはそこまで危険な道具か?」っていうと、自分はスマホで犯罪に巻き込まれたことも騙されたこともありません。オトナと子供をどこで分けるかにもよりますが、普通の生活をしているオトナはSNSで誹謗中傷されることもありません。芸能人じゃあるまいし・・・
知らない人に話しかけられたら警戒するし逃げるんだけど、ネットで繋がった知らない人は警戒しないという不思議な現象が起きています。親や先生、同級生などの言葉は届かないんだけど、匿名の誰かの言葉のほうは信じるという現象です。「ネットには答えが書いてある」っていうのを誰に教わったのでもなくてネットに教わったんでしょう。ウッキペディアも資料としては楽ちんサイトだけど、引用する場合はアヤシい情報だということを心しておかないとデタラメな知識を掴まされます。もっとも当てにならないのは評判とか批判の熱量です。ネットで叩くほどの極悪でもないし、マーケティングのための絶賛など・・・
子供が理解していないのはSNSの原理とか概念のような、使い方以前のスマホに対する心得のような部分だと思います。使い方はドコモの店員並みにマスターしてるんでしょうけどね。子供はSNSは自分たちの世代のアイテムのつもりらしいけど、システムを作ってるのもサービスを提供してるのもオトナの人たちです。
年配は新しいシステムに懐疑的で、電子決済や仮想通貨といった四字熟語にもうさん臭さを感じています。それは単にインターネットの歴史を始まりから体験してるからであって、課金=詐欺、出会い=風俗というイメージがベースにすり込まれているからです。迂闊に画像データ(エロ写真)を1枚落としたらBMP形式を56kbpsレベルだから30分くらいパソコンが動かなくなる(フリーズする)時代からネットをしています。
課金=ネットゲーム、出会い=コミュニケーションからネットを始めてる世代は、原則ネット性善説なんでしょう。道路交通法の概念はクルマは危険=許可制(運転免許)というものです。したがって交通ルールは性悪説の教育です。性教育も幸せなセックスと家族計画は性善説ですが、早期から教えるべきは性犯罪に巻き込まれないための性悪説です。
ネットが正しい価値観だという前提があるからSNSの中のイジメとかうそ情報に振り回されたり片寄った考えを鵜呑みにしちゃうんでしょう。

 今回の失踪事件は子供にSNSやネット社会をどう教えるべきか?が問題ですが、これはオレオレ詐欺に引っかかるお年寄りに固定電話の危険性をどう教えるかと似ています。固定電話が万能だった時代の人たちは固定電話を疑いません。電話の向こうの人がホンモノのお役所の職員か詐欺グループなのかを判断するのは難しいです。
固定電話を使わない若者たちは「電話がかかってきたら迂闊に出ちゃダメ」っていうけど、もともと電話は迂闊に出るものでした。孫からかかってくる電話は当然ながら孫からかかってくる電話だし、役所からかかってくる電話は役所からかかってくる電話でした。間違っているのは電話を受ける側ではなくて騙す側ですよね。固定電話に対して性善説な世代に「固定電話は犯罪の道具」ということを判らすのは、スマホやモバイルを使いこなしてる気になっている子供にSNSの向こうにはウソだらけって教えるのは難しいことです。
じゃあ、親世代(オトナ)は騙されないのか?というと、フリマアプリのトラブルが5年で16倍になっているとのことです。「有名ブランドの財布を買ったら偽物が届いた」とか「ジャニーズのライブのチケットを譲りますに金を振り込んじゃった」など。消費者同士で個人売買が成立してると消費者契約法では保護されないです。スマホに移ってる写真だけでホンモノと信じるのは、小学生が35歳男について行くのとどう違うのか? お年寄りが還付金に釣られてキャッシュカードを渡しちゃうのとどう違うのか? 
自分はヨドバシ一択なのでネットでポチりませんし中古を買う気もありません。旅先で昼飯を食べる店を探すのにネットを使いますが、星の数とかレビューは必要ないです。昔の情報誌の受け売りでデートしていた世代は店の善し悪しや旨い不味いは自己責任でした。

 子供にネットの怖さを伝える方法は、一度クルマに轢かれそうにならないと身にしみないのかもしれません。SNSで友達が増えるとか知らない人と繋がれるって教えたのはオトナたちです。ましてやSNSを介していないと実社会でも友だちと思えないのが現代社会の間違ったモラルです。実社会での繋がりが人間関係なのだから、仮想空間に存在する“ぜつじろう”は友だちではないということを理解させる方法を見つけなきゃいけません。それ以上に今の子供たちは繋がりや友だちの数に対して過剰になっているような気がします。
イジメが多いのは人間関係に過剰ゆえの現象です。社会人になると職場は遊びの場ではないので、いちいち虐めるほど他人に干渉しなくなります。今、虐めや仲間はずれで悩んでいる子供にはバイトでも就職でもいいから職場を見つけて飛び込んで欲しいです。学校がいかにくだらない人たちの集団なのかということが、給料が発生する場所に行くとハッキリ見えてきます。
SNSで今を速報で配信することで「いいね」を貰うことに情熱をかけるよりも、次の日に学校で直接話題にするほうが盛り上がるはずです。一行で説明するよりも10分間話せるようになるほうが楽しいでしょう? だったらSNSなんかでネタばらししてどーすんだよってことです。


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