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2019-08

ドラクエの映画 - 2019.08.25 Sun

山崎貴さん総監督、脚本、全責任の「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」です。

 今回取り上げるのは今年の夏休み映画の中でも特に話題になっているフルCGアニメ映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」です。この作品は8月2日に公開されたんですが、自分は8月4日にイオンシネマ浦和美園で観ました。公開3日目というがっついた鑑賞なんですが、じつは公開が待ちきれなかったのではなくて、たまたま埼スタでJリーグのナイターが開催される日だったので、日中の時間つぶしで映画を観ようとなったわけです。
前回は福井クンの「空母いぶき」を観て以来の映画館でした。基本は映画館へ行ってまで映画を観ようとは思わないんですが、今年はもう2回も映画館へ行っちゃいました。「空母いぶき」については6月にこの日記で記事を書きました。「空母いぶき」の前に観た映画は高畑さんの「かぐや姫の物語」までさかのぼりますね・・・
この日もサッカーの観戦前に時間が空いてるから映画で時間を潰そうという、映画ファンには申し訳ない鑑賞でした。一緒に観に行ったFクンは映画の内容についての善し悪しにはかなり無頓着なマインドの持ち主です。鑑賞後にあーだこーだと言わないし作品論や映画論とも無縁な生活の人です。
それゆえに映画のチョイスはかなりテキトーなところがあります。「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」を選んだのも「ワイルド・スピード」との2択でした。カーアクションでつまんない場合は最悪だからこっちにしようと選んだのは自分です。荒唐無稽なアクション映画って苦手なんです。
前回の「空母いぶき」の時に予告編で観た「アルキメデスの大戦」も始まっていました。アノ戦艦大和がフルCGで沈没するシーンのやつです。原作の三田紀房さんは自分がもっとも苦手なデータとマーケティング、資料、統計を駆使した作風のマンガ家です。要するに理屈=ストーリーっていうイメージです。「ドラゴン桜」でヒットメーカーになったマンガ家ですね。その原作(連載中で未完)をアノ山崎貴監督が映画化すると聞けば “ 面白くなるワケがない ” でしょう。
普通に考えても未完のストーリーマンガを2時間ちょいの劇場公開したって中途半端になるに決まってるじゃないですか? 完全に「これはムリに決まってる案件」です。東映まんがまつりのノリで映画を撮ってるのかな?

 それでは「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」についてですが、この記事は当然ながらネタバレを含みます。こーいう観てきたよブログとか映画レビューを見ちゃう人に向かって、ネタバレを気にするのもヘンなハナシです。そもそもそーいうサイトに近づかないことでしかネタバレは自衛できません。
実はこの作品はネタバレが大きな意味を持っていて、映画のクライマックスのネタバレが最大の話題になっているんです。ラストに大どんでん返しがあるのは劇場公開作品ではよくあるイン出です。だから誰もがネタバレしないようにして映画館に向かうんです。そもそもこの作品自体が「ドラクエV 天空の花嫁」というドラクエ史上最も人気のあったゲームのアニメ化です。ネタバレと言うのならゲームをやった人全員がネタバレなんですが、この作品はゲーム経験者こそがどんでん返しにやられちゃう仕掛けになっています。
それくらいどんでん返しは作品の評価を左右します。鑑賞済みの人たちには“ラスト10分”と表現してるようです。そのことで“不人気映画”ながら作品の是非論にまで発展するという、今年の夏休み映画でもっとも話題騒然な作品になりました。重要なのはネタバレしないで観るよりも「先にラストを教えてくれたらよかったのに・・・」とか「ネタバレで結果走ってるけど、どうしても我慢できなくて観に行っちゃいました・・・」という人が多数という現象が起きています。
自分は公開3日目に観に行ったので、まったく情報を持たずに素のままで観ることができました。しかし、先にラスト10分を知っていたなら違う見解になっていたかも知れません。

 それでは「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」はどういう評価の作品だったのか? この日記での劇場映画の記事でお馴染みの「 映画.COM 」に寄せられたレビューで見てみましょう。


* まずは代表的な意見から・・・

『 心底から胸糞悪い、今まで生きてきて見てきたどんな映画やドラマよりも飛び抜けてつまらない作品でした 』

この意見は決して極端な意見ではなくて、多くの批判的な意見がこれくらいの熱量で怒っています。

『 ドラクエのことは詳しく知らないが、映画を見終えてとても感動した。ラスボスの撃破は、子供のの言い分を聞かずに持論を押しつけるイヤなタイプの親に対して子供が見事に論破してみせるような爽快感があった 』

否定派と同じ部分を肯定派は感動と言っていて、これは議論にならないことを物語っています


* 映画のテーマについて・・・

『 私はドラクエの映画を期待していました。でも、実際観たのは「ドラクエをプレイしているプレイヤーの映画」でした。そんなの求めてなかった 』

『 この映画、酷評されるのは理解できる。ドラクエの映画だと期待してみると確かにマズイ。この映画はあくまでもユアストーリー、つまりドラクエを親しんできたプレイヤーたちが主役の話 』

禅問答のようですがこの意見は否定派と肯定派が同じことを言っています。上の意見は否定派で、下の意見は肯定派です。

『 これは映画なわけで、映画にはメッセージが必ず入っている。それに触れて、賛成だ反対だ言うのは映画を正しく観てると思う。そこを無視して完コピかどうかだけでジャッジする人は、もう一度この映画のメッセージを考えて欲しい 』

『 あっと驚かせる展開にしたかったのかも知れませんが、そういった力量も感じられませんでした。それを本人はナイスアイデアだと思っているであろうインタビューを拝見して愕然としました 』

上と下で監督のメッセージをどう受け止めるかで意見が割れています。実際は圧倒的に愕然としてる人が多いようですけどね。


*  難しいコメントと簡単なコメント・・・

『 お客様気分で安全圏にいる観客に「物理的・客観的な事実」という「幻」を見せ惑わす魔王。突然絶望の淵に立たされた観客は、その事実を見据えた上で「キャラクター達やドラクエの世界は自分の心の中で魂を持って生きる」と知恵と勇気を持って信じ、魔王に打ち勝たなければ、えらばれし「勇者」にはなれません。この構成は、非常にも事にドラクエの勇者観を再現していました。実に王道の勇者物語です 』

『 唯一よかったのは、鳥山明先生の作画ではなかったこと。この話にのらなかったこと 』

上は5回読み返してもどういうことか解りかねました。魔王とはミルドラース(大人になれの人)のことか?総監督の山崎貴さんのことか? 選ばれし勇者とは主人公を指すのか?観客を指すのか?

下は大人の事情があるんでしょうが、鳥山明さんがポスターも描いてくれないあたりに鳥山明さんのすたこらっさっさ感が半端ないです。安彦さんが福井ガンダムから逃げたのを思い出しました。
この作品の監修に堀井雄二さんの名前がクレジットされています。堀井さんの責任問題も重大なんですが、多分彼も名義貸しだけで実質はにげたんでしょう。


* 最後は欽ドン賞です・・・

『 ネタバレ設定のものは読みませんでしたが、いやな予感がしてその場のメンバー4人で観ました。結果、大成功でした!これを独りで観ていたら、山手線を止めていたかも知れません 』

電車、止めないでよかった・・・

 自分が「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」を観た感想は否定派と同じでした。そもそもドラクエ・シリーズはPS4のドラクエヒーローズというゲームしかやったことがありません。このゲームはいわゆるRPGではなくてアクションゲームよりに作られた「エセ・ドラクエゲーム」です。タイトルにヒーローズとあるように、お馴染みのキャラやレギュラーモンスターを使って「なんちゃってドラクエ」を楽しむドラクエ番外編のようなゲームです。
今回の映画は「ドラクエV 天空の花嫁」というゲームの世界観で作られています。このドラクエは花嫁というタイトルの通りにビアンカとフローラというダブルヒロインから独りを選んで花嫁にするというイベントがキモになっています。同伴者のFクンは「ドラクエV」をやったんだそうですが、自分はRPG のゲームが嫌いだったので、まったくの無知識で映画版を観ました。ビアンカもフローラも「ドラクエヒーローズ」にメインキャラで出ていたからイメージはわかっていたんですけど、鳥山明先生デザインとはキャラの解釈が違っていたようです。
Fクンに言わせるとドラクエ世代にとっては「ドラクエV」は金字塔のような作品なので、ファンの思い入れが半端ないそうです。映画.COM の批評の中でも実は『 クライマックスよりもそれ以前のドラクエVのシトーリーのはしょり方ややっつけ感が許せないレベル 』という批判が多かったです。ドラクエファンの方々はこのシナリオだとドラクエ未経験の人にはストーリーが理解できないと危惧していました。自分も映画を見終わったあとにイオン内の上島珈琲で「ドラクエV」の本当のストーリーをレクチャーされました。
しかしこの映画版は先入観や予備知識がゼロの人には、ストーリーの不備がそんなに気にならないんです。そもそもRPGやゲームっていきなり世界が何者かに支配されていて、何でこうなるのか?ここはドコで敵は誰なのか?っていうことを説明しないじゃん。そーいうのはステージを進めると判ってくるシステムなんでしょ? っていう感じです。
ストーリーが急ぎすぎなのか、はしょりすぎなのか、バタバタしてるのは感じましたが、冒険モノをダラダラ進めれれるくらいならサクサクしていて良かったという印象でした。むしろ、すっ飛ばし感がテンポが良くって、軽いキャラクターたちに丁度いいと思いました。ストーリーの正誤性をあんまり考えずに観ていたから、真剣なドラクエファンとは意見が違っている部分です。それは肯定派が言う「だから面白かったんだよ」ほど面白いくすぐりがあったわけでもないです。大して美味くなくても、うどんはツルツル食べられるって感じです。もしかしたらゲーム版の「ドラクエビルダーズ」のシナリオの中のくすぐりのほうが面白かったかもしれません。アニメなんだからもっと笑えるシーンやずっこけを入れてもよかったんじゃないかな? せっかくの夏休みなんだしね・・・

 ストーリーについては初めから期待値が30~50くらいだったので、思っていたよりも満足していました。まぁRPGのストーリーなので最後は小ボス戦~大ボス戦になります。順当に大ボス(魔王ミルドラース)との戦いになるっていうタイミングで、レビューで散々悪口を書かれていた“ ラスト10分の大どんでん返し”になります。
判りやすいネタバレをしますと、作中で主人公だと思っていたリュカは実は未来風のゲーセンで「VR(仮想現実)版のドラクエV」をプレイしていたゲーマーの兄ちゃんの使用キャラでした。ラスボスのはずのミルドラースはコンピューターウイルスで、ゲーム中のゲーマー兄ちゃんに「コレはゲームの世界なんだよ、いい歳してゲームに夢中になってんじゃねーよ」って語りかける。そこで今年最大の名ゼリフ「大人になれ」っていう、大人げなくゲームのアニメ版なんかを映画館に観に来てるオトナになり切れない子供オトナたちが怒られるという過去誰も経験したことない仕打ちを受けます。
映画論というか宇多丸さんがよく使う用語でいえば「第四の壁」的な効果です。映画の中から観客に向かって語りかけてくるというアレです。
上映時間 103分のうち 90分間の物語は、全て本当の主人公(ゲーマー兄ちゃん)がプレイしていたゲームの映像でしたっていうオチでした。夢オチの変形なんでしょうが、このオチが容認できる人は映画の見方を間違えています。映画.COM のレビューを借りると・・・

『 サブタイトルの your story と結びつけたかったんでしょうが、完全にいらんこじつけ。意味深なサブタイトルつければ、なんでも「おっ!そんな意味だったのか!すげー!」と喜ぶと思うなよ 』
 
 山崎貴さん自身がRPGが好きではないし「ドラクエV」をプレイしていないので、制作にあたって多くのドラクエファンに話を聞いたそうです。そこから導かれた結論は「この映画を観に来る人はオトナになれない人たち」だったようです。それは「自称・オトナのクリエーター」である山崎貴さんからのありがたいメッセージだったんでしょう。RPG嫌いにドラクエを作らせて、ファンが一番許せない作品を作っちゃいました。それをドラクエファン以外の映画ファンが映画論で汲み取ろうとしても無意味なことです。
自分はドラクエファンでも映画ファンでもないのに、公開3日目というホットタイムでこの作品を観ちゃいました。ドラクエファンには失礼な演出といしか言い様がないですが、自分が映画苦手な原因はこーいうくだらない作品を見せられることが時間の無駄どころかマイナスだからです。映画監督の作品論なんかにはつき合いたくもありませんし・・・
山崎貴さんの作品は「三丁目の夕日」と「キムタク版 ヤマト」をテレビで観たんですが、映画の演出とかシナリオの知識とかの最低限の技術が足りていないように思っていました。「ヤマト」はわややとしても「三丁目の夕日」は映画監督じゃない人が映画を撮ってみました感が丸出しって印象でした。
今回の「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 」が90分間サクサクと観れたのは、総監督以外に二人の監督がいたからだと思います。当人の山崎貴さんは裏番組の「アルキメデスの大戦」に掛かっていたんだろうから、演出は人任せだったんでしょう。でも最後のどんでん返しとかは全責任者の山崎貴さんの指示で行われたハズです。
このアニメを観た感想を一言でまとめるのは難しいけど「もう山崎貴さんは映画を撮らないほうがいいんじゃないかな?」ってことです。同じことを細田守さんにも思ってるんですが、この人達はもっとも大切なことが理解できないんだと思います。しかし、商業ベースだとその大切なことをすっ飛ばしちゃっても商品は作れるんですよね。
今回良かったことはこの作品を観た人の大半が否定的な感想だったということです。映画の解釈や評価は人それぞれですが、怒ってる人がかなりいるということは安心しました。


ダルビッシュ有さんが神龍(シェンロン)にお願いしたように自分も神龍に会えたら「山崎貴さんの映画を全部消して下さい」って言います・・・


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