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2018-08

さよならまる子ちゃん - 2018.08.28 Tue

「ちびまる子ちゃん」の作者、さくらももこさんが8月15日、御逝去されました。

  今年もすでに半分が終わり吉報も訃報もたくさんありました。マンガファンとしてはマンガ家やアニメ関係者の訃報はとくに「うわっ」としてしまいます。そんな中でも高畑勲さんは多くのファンも何となく覚悟はしていたという感じでした。しかし、さくらももこさんは何のウワサすらないのに闘病中だったとのことで、誰もが「えっ?何で・・・?」っていう印象だったことでしょう。
人気マンガ家とかヒットメーカーという人はいくらでもいますが、国民的なという形容がつくマンガ家はそんなにいません。人気マンガやベストセラーを持ってるマンガ家でも、日本中に名前が浸透してる人は限られています。例えば鳥山明さんや秋元治さんなど誰でも知ってますよね。しかし「ジョジョ」や「デスノート」とか「進撃の巨人」や「花より男子」の作者の名前を、日本中の人が知ってるとは考えにくいです。日本人にとって当たり前に存在していたことが突然終わってしまう喪失感に、ただただ呆然とするばかりです。
しかし自分は不勉強なので「ちびまる子ちゃん」については詳しくありません。乳がんに対しても見識がないので出せるコメントも見つかりません。追悼記事を書くにしては知識がなさ過ぎるので公式のコメントを転載しておきます。

さくらプロダクション公式 http://www.sakuraproduction.jp/

 小倉智昭さんが自身の司会するワイドショーで「オレ、観たことないんだよなぁ・・・」ていう感じの発言がネットで叩かれてました。小倉智昭さんはアート系に造詣が深いキャラで通してるから、子ども向けマンガを知らないポジションをアピールしたかったのかもしれません。以前に訃報記事で取り上げた谷口ジローさんのことを「谷口ジローって誰なの?」っていうのならわかります。でもさくらももこさんのことや「ちびまる子ちゃん」を、マスコミ側の親分みたいな人が知らないアピールは情けないです。「ドラえもんって何なの?」っていうくらい世の中を舐めた発言です。テレビマスコミを自負するのなら「知ったかぶりでもお悔やみしろよ」って感じです。しかし自分の「ちびまる子ちゃん」の知識も小倉智昭さんとほぼ同じレベルです。
「ちびまる子ちゃん」といえば日本で一番有名な小学三年生です。しかし、自分が知っているまる子情報は『登場人物のケンタはエスパルスの長谷川健太である(当時)』『友蔵 心の俳句』そして『主題歌が♪パッパパラパである』くらいです。もう自分が知っているまる子情報は底を打ちました。
逆に知らないことを挙げれば『まる子の本名はももこ』とか『親友のたまちゃんの本名はたまえ』とか・・・脇役の子どもたちの顔はわかるけど、名前やキャラ設定がよくわかりません。
最近だと「後から使えるポイントよりその場で安くなる方がいいじゃん」ですね。自分はヨドバシポイント派ですけどね。
アニメ版が始まったころ B.B.クイーンズの「おどるポンポコリン」が大ヒット。しかし自分はこのマンガの内容については、読んだことがないのでそれ以上のことをほとんど知りません。ポンポコリンの頃は絶頂に遊びほうけていたので、日曜の夕方にテレビを観ることなんかほぼありませんでした。でも「ポンポコリン」のヒットは印象に残ってます。当時、賑やかしバンドは米米CLUBやサザンオールスターズが人気でした。でも、B.B.クイーンズとモダンチョキチョキズのほうが、楽しそうに演奏していたと思います。米米CLUBやサザンは一生懸命楽しそうを演出してる感じがしてました。「おどるポンポコリン」はカラオケで女子が歌ってるときに♪タッタタラリラ~と叫ぶ間合いが男子の価値を決めていました。自分はキーが高かったのでナイスなタラリラでしたね。濱田マリさんの思い出は「あしたまにあ~な」ですが、覚えてる人いるんかいな?「あしたの予定はきまったかな?」ていうやつですね。「あしたま!」

 自分がさくらももこさんの作品を読んでないのは、単純に自分向けの作品ではなかったからです。掲載誌の集英社の「りぼん」の中でも箸休め的に使われる女の子向けギャグマンガだったので、積極的に読むという選択肢はなかったです。似たような作品で「あずきちゃん」もありましたが、作者の木村千歌さんのファンだったから読んでいたんですけどね。結果としては木村千歌さんを知ってる人は限られていますが、さくらももこさんを知らない日本人も限られてることでしょう。
代表作品は「ちびまる子ちゃん」の関連作品や「コジコジ」などなんですが、実はエッセイの出版数が半端ないんです。自分も「もものかんずめ」くらいはピンときますが、それ以降の著書もかなりありました。マンガ家としてイマイチだからエッセイストを公言する人もたくさんいますが、さくらももこさんは肩書きにマンガ家とエッセイストを併記してるのが納得できます。
さくらももこさんは多角的に活動していて作家やミュージシャン、クリエーターとの共同作品も多いです。メディアミックスも多いのですが不思議なほど顔出しNGなマンガ家でした。訃報ニュースでびっくりしたことは、ニュース映像でほぼ初公開の本人の写真がバンバン使われていたことです。顔出しNGの理由は読者の子どもたちが興ざめしないようにとのことだったはずです。原作者=まる子という図式の作品だからというさくらももこさんの配慮は完全に無視されちゃってる感じです。これからも子どもたちは「ちびまる子ちゃん」を観続けるのにいいのかな・・・?

 「ちびまる子ちゃん」はさくらももこさん自身の小学校時代の回想がベースになってますが、自伝的マンガではないのでエピソードは実話ではなく創作です。ケンタを始め他のキャラも実際の同級生をモチーフにしてるので『まる子=さくらももこ』って思われがちです。証言?によるとたまちゃんのキャラがホンモノのさくらももこさんらしいです。
マンガのキャラにはオーソドックスな配役のセオリーがあります。わりやすいのは藤子F不二雄さんの作品ですね。ドジな主人公、意地悪なガキ大将、金持ちの腰巾着、優等生のヒロインなど。なんでこんなステレオタイプのキャラにするのかといえばストーリーが組みやすいからです。少年マンガの主人公はクラスで一番ダメなヤツか元気なヤツっていうのが一般的です。
対する「ちびまる子ちゃん」ではクラスに実在した同級生を、片っ端からキャラにしたっていう印象です。そのおかげで藤子F不二雄さんのような脚本の便宜上というより、生き生きとした脇役たちが印象的な作品になりました。TARAKOさんの名演技のおかげでじじむさいシニカルな女の子キャラが定着しました。少年マンガでシニカルなキャラを狙うと、どうしても「さよなら絶望先生」になったいます。屁理屈が一生懸命過ぎちゃうんですよね。まる子はさくらももこさんが教室で同級生を眺めながら「心の中で思っているけど口に出さなかったこと」をマンガ化した作品です。さくらももこさんの人物像はヘンな男子に向かって「あんたヘンだよね」って言わないタイプです。クラスはヘンな男子や、そいつに向かって「ヘンなヤツ」って口に出す女子が牛耳ってます。小学校低学年の教室内のコミュニテイでは、身体の大きさと口に出す無神経さが勝敗をわけます。自分も小学生時代に実感してました。

 「ちびまる子ちゃん」は親世代のレトロな共感で評価されているところが多いです。西城秀樹さんや山本リンダさんなど。笑点~ちびまる子ちゃん~サザエさんと見事な昭和の継投策です。今の子どもたち手とっては昔からやっているアニメだから、自動的に観てるっていう感じでしょう。連載当初のマンガ版がウケたのは、昭和レトロ回帰のオトナではなくて現役の女子小学生の共感だったと思います。だって掲載誌が「りぼん」だからオトナは読まないし、当然自分も読みませんでした。
当時の「りぼん」の連載で花形だったのは「ポニーテール白書」や「空色のメロディ」など。一条ゆかりさんの「デザイナー」やお涼さまの「アラベスク」などのややこしいマンガからラブコメ全盛になる過渡期でした。女の子にとってのラブコメは人生の上昇志向そのものが題材のマンガです。
当時無かった言葉でいえばリア充マンガですね。誰もがソレを求めてるしイトコの子が関心事の1位なのはわかります。でも「本当はまだピンとこないなぁ」っていうのんびりさんや「クラスの男子ってみんな汚いじゃん」っていう子たちも多いハズです。
まる子は彼女らの代弁者ではありませんし主人公という位置づけはそれだけでリア充です。では誰が共感したのかといえば、たまちゃんみたいなタイプの子です。たまちゃんはサイレント同級生なのでクラスの行事でリーダーになることも足を引っ張ることもありません。タマちゃんが見ている教室の景色がさくらももこさんの原体験と共感するんでしょう。
藤子F不二雄さんやなせたかしさんもオトナの分別で子ども向け作品を描いてました。やなせさんは子どもの心を忘れていないから「アンパンマン」を描いていたのではありません。児童向けの作家は子どもを児童と認識してる段階で子どもの心ではありません。しかし、さくらももこさんは子どもの心のまんまマンガ家人生を終えたマンガ家さんです。

 晩年、ちびまる子のパロディ的な新作「ちびしかくちゃん」を「グランドジャンプ」で連載してました。こっちは大人の心で描いたマンガっていうのがアリアリで、シニカルな要素を押し出した作品の評価も微妙だったようです。せっかく心の中のまる子がいい思い出いっぱいっていう感じだったのに、作者自身がチャカしてどうなのよ?って感じもします。
子どもの心でマンガを描いてる大御所に松本零士先生がいます。松本零士さんは大御所になる前は青年誌向けな作品も描いてました。しかし、いろいろ描き続けていくうちに残ったモノは松本零士さんの子ども時代に築き上げた要素を、子どもの心のまんまで描いてました。今も存命ですけどね・・・
集英社も復刻に前向きだろうから、過去の作品も引き続き購入できるようです。そのうち愛蔵版とかも出るんだと思います。アニメ版は継続する事が決まったようです。でもそれは止め時を失ってしまったともいえます。「ドラえもん」も「クレヨンしんちゃん」も「サザエさん」も、止め時を失ったアニメです。マンガファンとしては作者亡き後っていうのがなんだかなぁって感じです。作品が終わることは、そんなに悪いことじゃないんだけどね・・・


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