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2018-08

ついにポスト宮崎駿? - 2018.08.14 Tue

石田祐康さん監督の劇場公開アニメ「ペンギン・ハイウェイ」です。

 前回紹介した細田守さんの「未来のミライ」はもう映画館で観ましたか?「まだ観ていないのなら無理してまで観なくても大丈夫だよ」というのが前回の記事の内容でした。それからポスト宮崎駿問題にもふれました。細田守さんたちは作品の指向が違うんだから、宮崎駿名義を継ぐ必要もないのは当然ですよね。しかし、細田守さんや神山健治さん、米林宏昌さんたちは、劇場アニメを作ろうとすれば出資してくれる企業があります。
志しがあれば長編アニメが作れるほど、アニメを取り巻く環境は優しくも単純でもありません。「君の名は。」が新海誠さんの指向よりもカドカワのユーザーの嗜好にそった作品になっちゃったことを否定できません。しかしチャンスを掴めない有望な若手アニメーターのためにも、長編アニメを作る権利を持ってる方々が作品の正当な評価でアニメ市場を拡大させる義務があると思います。
一番最初にポスト宮崎駿と思われた押井守さんは早々に土俵から降りちゃいました。庵野秀明さんも理由をつけて逃げ回ってる感じです。ポスト宮崎駿とは作品論をぶつけ合うことではありません。
宮崎駿さん自身が思想や環境問題、家族、因習、平和、ロリコンなど、いろんな“ナントカ論”の塊のようなアニメーターです。ソレに対抗して作品論をぶつけていくのは簡単ですが、宮崎駿さんに対抗することや越えていくことがポスト宮崎駿ではありません。空位になっているジブリアニメ枠に、安定したアニメ作品を供給できるアニメ監督を探しているんです。観客の性別、年齢、国籍、嗜好に関係なく楽しめるアニメを作れる人が、ポスト宮崎駿を襲名できるんでしょう。

 自分がふだん観るテレビはサッカー中継、ブラタモリ、プレバト!!、新日、それから日テレの朝番組のZIPくらいです。思えばほとんどフジテレビをつけないんで、フジテレビが押している新作アニメがあることも知りませんでした。たまたま同居人がそのアニメの番宣特番を録画していて昨日みたんですが、その作品が「ペンギン・ハイウェイ」でした。日テレのZIPを観てるとフジ押しのアニメは話題に取り上げないんですよね。逆にフジのめざましテレビを観てる人には「未来のミライ」なんかがピンとこないのかな?
「ペンギン・ハイウェイ」は8月17日から全国ロードショーされる劇場公開アニメです。タイトルからもわかるようにペンギンがいっぱい出てくるアニメです。そもそも夏休み公開を意識してか主人公は小学4年生の男も子。ヒロインは歯医者に勤めるお姉さん。大量のペンギンとお姉さんの謎を解く青春ファンタジーとのことです。
原作は「夜は短し歩けよ乙女」の森見登美彦さんの同名小説。脚本は「四畳半神話大系」と「夜は短し…」の森見登美彦さんの原作の脚本でお馴染み?の上田誠さん。このメンツが揃うとマニア向けの面倒くさいアニメって感じがプンプンします。「夜は短し…」は「四畳半…」のスタッフがそのまま繰り上がって制作されました。しかも主人公が密かに嫌大っ嫌いな星野源さんなので、ほとんど関心がありませんでした。
この作品はどちらも「劇場版クレオンしんちゃん」の黒幕的存在な湯浅政明さんが監督です。「夜は短し…」はディープなアニメファンというよりも、サブカルファンを狙ったような作品です。サブカル好きが最低限で、原作のファンじゃないと馴染めないテイストのようです。
湯浅政明さんの年齢だったら間違いなく子供時代にサブカルの絶頂期を見てきたハズです。一番メジャーなサブカルキャラは「うる星やつら」のメガネです。高橋留美子さんのキャラにはあーいうタイプはいませんが、千葉繁さんと押井守さんがメガネというキャラをねつ造したんです。その手のサブカル向けなアニメっていうのは、それ以降も一定数は存在してました。だから「夜は短し…」が新しいサブカルアニメを作ってるようには思えないんですよね。むしろ、まだこんなのを作ってるんだっていうのが正直な印象です。同じく西尾維新さんの「化物語」なんかも直視できないんですよね。まだこんなことを得意になってやってるの?っていう感じが小っ恥ずかしくって…

  ブログ画像 ペンギンハイウェイ JPEG

 ところが…! 新作の「ペンギン・ハイウェイ」は監督が湯浅政明さんではなく、まったく聞いたことがない石田祐康という方でした。聞いたことはなかったんですが、何かのアニメコンテストで階段を駆け下りる自主制作アニメが賞を取った作品を観たような… それは何となくおぼえていたんですが、その映像を観たらアノ人だって記憶がよみがえりました。
その作品が2009年に大学のアニメ学部時代に発表した「フミコの告白」でした。それからCMのアニメーションなどで評価され、今回は初監督作品になったとのことでした。アニメに詳しい方なら同然知っている逸材なんでしょうが、なにしろ全国公開の1週間前の作品のことも、耳に入っていないほどアニメに疎いもので…
石田祐康さんが秀でているのは現在30歳でとにかく若い監督さんです。前回の記事で登場した細田守さんは50歳です。細田守さんが認知された「サマーウォーズ」の公開時で41歳です。押井守さんが現在67歳ですが「うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー」の公開時がちょうど30歳でした。ちなみに宮崎駿さんがたぶん初監督作品の「カリオストロの城」が38歳。「ナウシカ」のときが43歳「もののけ姫」が56歳で、現在は77歳ながら現役続行中です。
しかし本質は若いことがエラいのではなくて、ポスト宮崎駿と言われていた方々が、全盛期の宮崎駿さんと同世代になっちゃってることが問題なんでしょう。彼らはもう自分の中の作品が固まっちゃってるから、この先、現在のクオリティー以上になるとは思えません。新海誠さんは「君の名は。」で方向性を変えた印象ですが、それでもポスト宮崎駿と呼ばれなかったです。
みんな後期高齢者時代の宮崎駿さんが語るアニメ作品論みたいなインタビューと戦っちゃってる感じですね。宮崎駿さんの作品論に対して、自己の作品論を主張すればするほど同列になっちゃいます。宮崎駿さんと同列なら評価としては十分なんでしょうけど、同じ土俵で横に並んでちゃポスト宮崎駿にならないんです。

 ポスト宮崎駿とは何の土俵で越えればいいのでしょうか?それは「もののけ姫」や「千と千尋」のようなテーマをアニメにのせるこのなのか?「トトロ」や「ポニョ」のように子供向け作品が作れることか?家族や平和をテーマにするのか?生や死に対するサジェスチョンがあることか?
一つの結論は興行成績が安定してドル箱になることでしょう。配給会社はそれだけでポスト宮崎駿と言ってくれるかもしれません。でもそれは土俵とは言えませんよね。
誰もが宮崎駿さんのアニメで感動したのは「絵が生き生きと動いている」ということです。これは絵が実写のようだとかCGを駆使しているという意味ではありません。動画が観ていて楽しいということがアニメを見る動機の全てのハズです。演出の方針で紙芝居のように動かさなかったり、描きたいシーンじゃないモブのキャラクターが人形のようだったり。普通に歩くシーンが変だったり。最近のアニメ全般にある傾向ですが聖地巡礼のい乗っかりすぎて、実際の地名を正確に背景にする事をスゴい作画とミスリードしてる感じがします。本物通りの渋谷のシーンがスゴいアニメじゃあるまいし…
宮崎駿という監督はシナリオのつじつまや片寄ったテーマやクライマックスとか、納得できない部分もけっこう多いです。自分は正直いって宮崎駿作品の中では、好きな作品より嫌いな作品のほうが多いです。でも宮崎駿さんの動画を描く事への探求心は別格だと思っています。動画の精度とその動画の演出上の効果(楽しさ)こそが宮崎駿の土俵です。きっと作品のテーマやメッセージなどは全てあとづけで、動画を作りたい一心でアニメがやめられないんじゃないのかな?

 そんな土俵で勝負してきたのが「ペンギン・ハイウェイ」の石田祐康さんです。彼は動画が描きたくてしょうがなかったのがアリアリです。この作品も予告編ではとにかくペンギンがいっぱい動いています。主人公の子どもたちも動画っていう感じです。謎のお姉さんもおっぱいが大きいので、いかにも夏休み公開作品って感じでいいです。
テレビの特番で石田祐康さんの人となりが見れましたが、言葉でメッセージを伝えるよりも動画を見て欲しくてたまらない感じの人でした。新海誠さんもインディーズ出身ですが、作品で伝わらない部分を説明しちゃう感じのタイプです。このタイプは平気で難解って言われる作品を作っちゃいます。
もし「ペンギン・ハイウェイ」を観た人が「カリオストロ」のフィアット「ナウシカ」のメーヴェやガンシップ「魔女の宅急便」の飛行シーンのようにワクワクしたのなら、ポスト宮崎駿さんの称号を与えてもいいんじゃないかなって思ってます。まだ公開前なんですけど… 


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