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2017-08

新しい全員野球 - 2017.08.25 Fri

祝 花咲徳栄高校 夏の甲子園初制覇!

 今年の夏の甲子園は埼玉県の花咲徳栄高校が初優勝。深紅の大優勝旗が戸田橋を渡りました。もしくは荒川大橋かも?今年の大会は早実の清宮クンこと早実が東京大会で東海大菅生に敗れた時点でマスコミでは盛り上がりが終了しちゃった大会でした。しかし広島の広陵高校に中村クンという新たなキャラを発掘し、広陵の中村クンを中心にまわっていた大会になりました。
花咲徳栄は大会前の評価はその他大勢の中の上くらいだったと思います。埼玉県民の中でもそんなに期待されてなかったんじゃないのかな?何しろ埼玉代表だから「今年もどうせ3回戦止まり…」っていう冷めた空気があったんじゃないかな?そもそも3年連続で出場してるんだけど浦和学院のほうが出場すればいいのにとか思っちゃったりしてました。なにしろサッカーも野球も埼玉は高レベルでドングリの背比べをしています。そのくせ全国で活躍する絵が浮かばないのが現状でした。そもそも花咲徳栄っていう校名も甲子園に出場できるまではナサキトクエイって読んでました。正解はトクハルです。埼玉では有名な筋肉系の名門校の埼玉栄高校の姉妹校です。花咲徳栄がある地名の加須市も他県の方が読めない地名ランキングに入っているようです。校歌の演奏は ♪夏の~花咲徳栄高校~っていう夏の大会バージョンのような歌詞でしたが、実際は春夏秋冬と4番全部あるようです。

 今回の花咲徳栄の優勝は開幕前には誰も予想できなかったんですが、終わってみればフロックではなく勝つべくして勝ったという印象のようです。花咲徳栄の作ってきた野球は今までの優勝候補ではないが、次の大会からの優勝候補はこーいうチームという新しい流れを作ったと思います。
ピッチャーは必ず継投する、個人のホームランに期待しない。それまでの表現でいえば「全員野球」という肩書きなんでしょう。花咲徳栄には投手に綱脇クンと清水クンがいます。普通は両エースというと先発2枚でローテーションしますが、花咲徳栄は必ず綱脇クン~清水クンの継投の順番を最後までくずしませんでした。広陵は山本クンと平本クンのどちらかが先発という感じでした。綱脇クン変化球~清水クン剛速球という順番が重要なんでしょう。監督もはなから綱脇クンに完封や完投を求めていません。多少失点することも折り込み済みでの采配って感じです。
打撃のほうはホームランに期待しないけど、全員安打には期待するという斬新なアイデアです。一度に3本も4本もヒットが続くワケではないんだから2塁打を打てという作戦らしいです。シングルヒットだと3安打でまだ満塁ですが、2塁打ならヒット2本で1点が入ります。花咲徳栄のいう「全員野球」とは「全員が2塁打を打つ野球」のことです。
花咲徳栄の作戦は先攻を取って1回の表から点を取る。失点する前に追加点を入れておく。綱脇クンが2巡目以降変化球がバレ出す前に本格派の清水クンにスイッチ。最後は相手ピッチャーが泣くまで点を取る。完璧な作戦です。実際に6試合で合計61点、毎試合9点以上取っています。全試合で打ち勝っているのがスゴいですね。左バッターが6人という監督のマニアックなこだわりが感じられます。
決勝は14対4という10点差ゲームだったので最低の決勝戦とか凡戦とか揶揄されました。実質準決勝の2カードのほうが盛り上がった感じでした。花咲徳栄にとっては東海大菅生との準決が唯一負けるかもしれないって覚悟した試合だったんでしょう。ショートの岩瀬クンを有名にした試合です。そもそも花咲徳栄の両ピッチャーは低めに投げることを信条にしているので、強打者のジャストミートはみんな三遊間の強烈なゴロになるんんですよね。タイムリーエラーよりも内野の守備が上手なチームっていう印象でした。その準決のスコアですら9対6でした。この6点は埼玉県大会から通して見ても花咲徳栄が取られた最多失点です。

 このように甲子園のトレンドが変わっていくとキビしくなるのがあだち充さんです。現在は過去の栄光をもう一度と「タッチ」の明青学園の26年後を描いた「M I X」を連載しています。単行本進行でいえば11巻段階で1年生の立花兄弟の甲子園への挑戦が終わり、12巻目からは2年生パートが始まります。あだち充さんは秋季大会を描かないので、主人公の学校は春の選抜には出られません。夏が終わるとシーズンは終了しちゃいます。
このあだち充さんの甲子園の世界観は主人公は速球の本格派で、最後は一人で投げきる姿がエーズの美学。キャッチャーは古田級の超高校級の頭脳と信頼の野球センス。ライバルは大谷級の投打の逸材。ライバルの古豪・強豪校 対 主人公のノーマークの新設校という図式です。
本来なら主人公チームがやらなきゃいけない「全員野球」を花咲徳栄のように甲子園の常連校がこぞって採用したら?大阪桐蔭や仙台育英、東海大相模なども全員が2塁打という練習をしてきます。花咲徳栄のライバル校の浦和学院もカインズホームへハンマーを買いに行きました。
現状での明青学園の戦力はエースの投馬とキャッチャーの走一郎の立花兄弟、従来はキャッチャーに使っていたデブ枠は走一郎が正捕手なのでファーストに回った一学年先輩の今川。謎多き巨漢の越境生の大山、慣れない裏社会ネタで面倒くさい展開だったが無事入部できた守備万能の錦、あだち充さんの定番の技巧派ピッチャーで外野手の新一年生の夏野。
あだち充さんはキャラ立ちするレギュラーキャラと、その他大勢の脇役の差を明確に描き分ける演出が得意です。読者が覚えるキャラが少なくて済むのでそれもアリなんですが、従来のあだち充野球では全員2塁打という作戦はできません。そうすると主役と脇役の能力差が描けないからです。あだち充さんのマンガは高校野球の地区大会マンガであって甲子園マンガじゃないから、甲子園の新しいトレンドは関係ないのかもしれません。少なくとも今の明青では花咲徳栄には勝てません。30年前に「タッチ」を描いていた頃の野球の美学が現代の野球とマッチしないのも当然なんでしょう。 


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