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2015-02

86という時代錯誤 - 2015.02.22 Sun

しげの秀一さんの「 高嶺の花 」 上下巻です。

 しげの秀一さんといえば、言わずもがな「 頭文字(イニシャル)D 」が大ヒットしたマンガ家さんです。 その前には「 バリバリ伝説 」というバイクマンガで大ヒットしていました。 途中にあんまりヒットしなかった作品があったのですが、デビューからずーっとヒットしている講談社の看板マンガ家です。 途中にも作品があったけど、ほとんどの人が忘れちゃってると思います。 自分も忘れてるし・・・
当時の少年マガジンでは楠みちはるさんの「 あいつとララバイ 」というバイク少年マンガが好評連載中で、それにかぶせるように始まったのがしげの秀一さんの「 バリバリ伝説 」でした。 時代は「 高校生にバイクの免許を取らせるな!」っていう世間の空気でしたが、そーいうアウトローな題材こそが少年マンガの題材にぴったりでした。 「 あいつとララバイ 」が不良や暴走族の抗争といったうざったらしい展開が多く、キャラやバイクの作画もテキトーすぎたからあんまり読んでいませんでした。 水曜日のシンデレラから単行本を買い出したんですが、キャラやストーリーの展開が「 湾岸ミッドナイト 」に通じる作風はこのころ完成したんだと思います。 
対する「 バリバリ伝説 」は同じようなバイク小僧が主人公でも、峠のローリング族~GPライダーへステップアップする過程が滑らかでした。 モータースポーツを題材にしたマンガでは「 赤いペガサス 」以来の本格派でしたね。 そんな2大バイクマンガですが(キリンを除く)、連載をヤングマガジンに移してバイクマンガからクルママンガへ変えて再び対決になります。 対象が子供(中高生)から大人(大学生?)にかわるので2輪から4輪へクラスを上げたって感じですね。 マンガの主人公クルマに楠みちはるさんはフェアレディZの旧車、しげの秀一さんはハチロクトレノを選びました。

 ハチロクというのは1983年にトヨタが FR クーペとして販売したカローラ レビン/スプリンター トレノのことで、現行モデルのトヨタ86の元ネタになったクルマです。 ホンダなどの他メーカーはすでに小型高性能 FF 車へシフトしていたのに、トヨタはFR にこだわってスポーツカーはFRであるべき観たいな思い込みをユーザーに植え付けようとしてました。 まだFFは曲がらないと信じられていたころのお話です。 そのくせ新設計のはずの4A-GEはしょっぱいエンジンだし、シャーシはいかにも旧型の流用でおおよそ名車を作る気なんかまったく感じられませんでした。 ホンダがシビックにDOHCエンジンを載せるって噂が立つと、やっつけでFF2BOXクーペのカローラFXに4A-GEを積んで発表するくらいハチロクには技術的なアドバンテージがありませんでした。 自分の周りの界隈ではハチロクなんか新車で買うような車じゃなかったです。 中古なら選択肢にはいるけど新車で買うんだったらもっと速いクルマを選んでいたようです。 人のレビンを運転したときの印象はノーマルは上まで廻らないもっさり感で、ハイカムを組むと下がスカスカでブレーキを踏むと失速しちゃう感じ。 足はかためすぎてぴょこぴょこしてました。 サスとか平気で切っちゃうような時代だったからね。

  

 現行車当時、へっぽこクルマっていうイメージが強かったハチロクですが、何でこんなに有名なクルマ(略して名車)になっちゃったのでしょう? その原因を作ったのがイニDの藤原拓海とレーサーの土屋圭市さんです。 藤原拓海は架空の速さで有名になり、土屋さんは実際のレースでハチロクを走らせて有名になりました。 本編の初期のころの定番は『対戦相手がハチロクをみてウンコクルマだと舐めてかかる。 拓海のチート・テックニックで負かされそんなバカなって言う』というお約束でした。 土屋さんが速いのはハチロクが速いのではなくて土屋さんが速いからです。 彼はNSXに乗っても速いです。 土屋さんは生涯ハチロクをベタ誉めするらしいのですが、彼のハチロクを評するコメントは必ず「 このクルマは面白いんだよ 」っていう言い方です。 同様にハチロクを布教した教祖サマに谷口信輝さんと織戸学さんが有名です。 あれだけクルマの挙動をコントロール出来れば、何に乗ったって楽しいんでしょうね。 

 95年から続いていた イニD も2013年に連載が終了しました。 毎回、峠のコーナーをギャギャギャ~って走ってるシーンかガソリンスタンドでウワサ話をしてるかしかないマンガでしたから、いつ、どーいう風な最終回になっても読者は気にも止めません。 連載終了の直接の原因は95年の開始当初にはたくさんいた走り屋やクルマ(スポーツカー)が好きな男の子が絶滅しちゃったからでしょう。 辛うじてアニメやゲーセンの筐体で若者との接点があったんでしょうが、元のクルマに興味がない以上 FC とか FD とかいってもピンと来ないんじゃないのかな? 
夢中でポルシェとL型エンジンが闘っていた「 湾岸・・・」もいつの間にか誰もクルマをチューンしなくなっていました。 ニッサンも新型GT-R(現行型)というチュナーという考え方を全否定するような市販車を出しちゃったりして、明らかに時代錯誤になっちゃいました。 オートサロンもミニバンばっかだしね。 
しげの秀一さんも楠みちはるさんもバイクやクルマばっかりを描いてきた大ベテランマンガ家です。 固定ファンのイメージでは“のりものマンガ家”という認識だと思います。 「 刃牙 」の板垣さんも格闘マンガ以外の連載をこっそり?始めても、読者の求めてるモノと違うから長続きしません。 楠みちはるさんは「 湾岸・・・」という大長編マンガの後に「 8エイト 」というロックバンドのマンガを描いていました。 以前の日記の「オジサン向けマンガ」のいう記事の中で、楠みちはるさんのことは詳しく取り上げてますのでそちらを参照して下さいませ。 しげの秀一さんも大長編マンガの次回作にはクルマとは関係ない「 高嶺の花 」というラブコメを持ってきました。

 この作品は高嶺 花という金髪でケバいメイクのギャル系美少女と、さえない中年マンガ家の多村幸一(通称 タム)の出会いのお話です。 上下巻で完結なのでラブコメとしても丁度いい長さです。 ラブコメの長期連載とかあまり意味がないですからね。 前回の日記の花田祐実さんのラブコメと同じくらい内容の薄いマンガです。 楠みちはるさんの「 8 エイト 」でも思ったのですが、ヤンマガを読む世代の大学生を中心に前後5歳くらいの嗜好を完全に無視してます。 今どきブリティッシュ・ロックのバンドがテーマとか“作者の趣味のごり押し”って感じがプンプンします。 しげの秀一さんの描く 花 もおじさんのイメージ(幻想)の中のギャルです。
ちょっと前の産経新聞のネット版に『ギャルメーク」衰退、素の可愛さ生かす「ゆるメーク」台頭 』という記事がありました。 ギャルメイクの代名詞のつけまつげの市場が減少しているとのこと。 どぎつい目元の盛ったメイクは下火になり、ゆるカワ、ゆるふわメイクが主流になるとのこと。 当然ながら黒髪に回帰してるようです。 クルママンガを描いているうちに若者がクルマを買わない(買えない)時代になっちゃっていました。 今度はギャルを主人公にしたマンガを描いてるうちにギャルがギャルがいなくなっちゃいました。 ギャルでマンガといえば浜田ブリトニーさんですが、あっちもギャルがいなくなっちゃったら商売上がったりでしょうね。 大丈夫なのかな?

 テーマがさえない中年オトコとBMWに乗る金髪ギャルの中学生っぽい恋愛マンガのわりに、サクサクとストレスなく読める作品だと思いました。 イニDの頃はひたすら連載を引き延ばしているだけって印象しかなかったのですが、さすがに講談社の看板を張ったマンガ家だけのことはありますね。 キャラの相関図にとらわれないほうが、しげの秀一さんの作風に合ってるような気がします。 ライバル?の楠みちはるさんはロックマンガを打ち切って、またポルシェを主人公にしたマンガを始めました。 対するしげの秀一さんは今後なんのマンガを描くのか興味深いです。 またクルマをテーマにしたマンガに戻るのか、それともお水が主人公のマンガを描くのか? いずれにしても、おじさん向けマンガなのは間違いないでしょうね。

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