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2014-08

いかなる場合も「悪」 - 2014.08.08 Fri

なぜ人を殺してはいけないのか

 8月7日の読売新聞の「 論点スペシャル」にて「 なぜ人を殺してはいけないのか 」という問いを3人の識者に考えを聞く記事がありました。 言うまでもなく佐世保市の同級生殺人事件を受けて、私たち大人が子供たちのある重要な問いかけに正面から答えていないという疑念についての特集です。 佐世保事件を受けて、なぜ人を殺してはいけないのか?です。

 この事件を受けてアニメの「 サイコパス 」の再放送が放送を中止して話題になりました。 自分は初回放送時の1話だけ観て視聴中止を決めたんですが、こーいう猟奇的な作品に一定の人気があるのは事実です。 ファンからはブーブー言われてたようですが、制作側がいち早く「 今回の事件を踏まえて放送は相応しくないと判断した 」とのことです。 
「 サイコパス 」のような雑に人を殺すことがストーリーの主な要素のアニメやマンガが少年犯罪を生むとは思っていません。 なぜならアニメやマンガにそんな影響力はないですから。 しかし「 これでいい 」って作り手が思っちゃうと、全部のアニメが尊厳なく人を殺せるキャラになっちゃいます。 一昔前にドラクエのせいで全ての冒険が勇者と魔法とモンスターになっちゃったように。 今のアニメで人を殺すシーンでは全員が決まって“なにか意味不明の主張や笑い声”などを叫びながら殺しています。 そんなワケないだろ! 
今売りの少年マガジンの新連載のマンガの1話目を読みました。 作者は不明ですが企画からストーリー、ネタだしの全てを編集部の会議で決めたのがバレバレのマンガなので、作家の名前はどーでもいい作品です。 内容は「 寄生獣 」のパクりに今までの既存キャラのテンプレキャラで って感じです。 この話の中で主人公のミギーの攻撃で反目していた教師の頭が吹っ飛びます。 このときの教室にいる生徒たちのリアクションが「 冗談だよな・・・」とか「 落ち着こうぜ 」とかばっかりでした。 少年マガジンの編集部は人が死ぬシーンですらテンプレでしか発想出来ないようです。



 マンガの話はこれくらいで、読売新聞に戻ります。 最初の回答者は元法務教官の魚住絹代さんです。 各地の少年院で立ち直りの支援。 くずは心理教育センター長という肩書きです。 魚住さんのフィールドは少年院なので「 親から虐待、暴力団、殴り殴られ、血が見たい、残虐なことがしたい 」という流れです。 

 - 魚住さんの見解 -
『 「坂道 」を転げ落ちる子はその前にあえぎながら坂を上る段階があり、途中で必ず何度もサインを出している。 今回の事件でもそうだが気づかれずに上っていくと何かの拍子に一気に転落する。』

 あれ?今回の事件はこーいうわかりやすい少年院のテンプレな設定が通用しないから、社会がビビってるんじゃなかったっけ? 一番似ているケースは元祖金属バット事件だと思います。 アノ事件でも少年犯罪の新しい奇行として多くのマンガのモチーフ(題材)になりました。 解決した例として「 農作業で汗が落ちたときに子供は理解する。 私はなんてことをしたのだろうと 」 それは魚住さんが通常の少年少女たちと向き合ってきたときのことだと思われます。 
子供に「 なぜ殺しては・・・」と問われたとき“正解を教えなきゃと大人は身構えるが、子供は言葉ではなく自分に向き合おうとしているのか?評価しようとしてるのか?建前なのか?を五感を研ぎ澄ませて見分けている”
それは心理教育センターとしてはとてもファンタジーなことなのでしょうが、命題の「 なぜ人を殺してはいけないのか 」という問いにまったく答えていません。

 次の回答者は宗教学者の山折哲雄さんです。 国際日本文化研究センター所長という経歴で自身が僧侶ということではないようです。 彼の意見は次の通りです。

 - 山折さんの見解 -
『 戦後の教育改革で政教分離の名の下に日本人独自の宗教心や「 宗教教育 」を教えなくなったことが原因。 「 人は殺すな 」のかわりに「 命は大切にしよう 」となり「 してはいけない 」という禁止を強制する言葉は使われない。 
日本の教育は「 生きる力 」などの生を賛美する教育はあるが、死が組み込まれていない。 
教師や社会が宗教アレルギーから自由になって教育を見直す、その時初めてこの問いに説得力を持って答えられるのではないか。』

 ちょっと待ったぁ! 山折さんはこの問いに説得力を持って答えられないのか? 「 教育が悪い 」なんて何十年も言われ続けてきたテンプレな回答で、宗教が足りないのが原因なのも宗教学者の立場なら当然でしょう。 「 それで、宗教では人を殺してはいけない理由をどう答えるのか?」というのを聞きたいんです。 魚住さんも山折さんも「 なぜ人を・・・」にまったく答えていません。 この企画は子供に聞かれて口ごもっちゃうようなややこしい問いに、専門家であろう“識者”がどう回答を出すか?ってハズです。 判らないのに“建前”ですまそうとすると少年たちは五感で察知するって魚住さん自身が言っていたのに。

『 あえて言えば、この問い自体が成り立つのだろうか? 日本は死刑制度があり国のルールの一つで、ルールによって社会秩序が守られてるのも事実だ。 世界では戦争や紛争があり戦場では殺さなければ殺されるので、戦争での殺人は基本、罪に問えない。』

これは3人目の識者のコメントです。 その識者は元高校教師の水谷修さん。 そう「 夜回り先生 」です。 夜回り先生はマンガ化もされてるんですが、自分にとっての水谷先生は深夜ラジオて語っていた夜回り先生でした。 その説教は金八先生と二分します。 水谷先生のフィールドワークは魚住さんの担当と同じ少年少女たちです。(もう、山折さんは話にならないのでほっときます) 水谷先生の意見の続きです。

 - 水谷先生の見解 -
『 こうした事実を踏まえて、何故人を殺してはいけないのかと言う問いに答えるのなら“抽象的な「人」ではなく人格を持ち、名前があり、家族を持つ特定の誰かを殺すのはなぜ悪なのか”を前提にすべきだ。
それなら答えやすい。
被害者の夢や未来をつぶしてしまう誰にも許されない行為だと言うことができるからだ。
私はいかなる場合でも人を殺すこと自体が悪だと考えている。 人は誰かを幸せにするために生きている。 悲しませるためではない。
人を殺すことは悪だと認識してるからこそ人類は生き残ってきた。 その根本的なものを信じて善なるものを呼び覚ましたい。 頭で考えるのではなく「 腑に落ちる 」ことが一番いい。』

とても明瞭な回答です。 加害少女に伝わるかは疑問ですが、「 なぜ人を殺してはいけないのか 」には回答を出していますね。 
個人的な希望ですがアニメの脚本家も「 キャラクターは抽象的な“人”ではない 」ってことを理解して欲しいです。 そうすれば雑に殺される脇役とか観ないですみますから。 現行アニメのほとんどがおっぱいか人間のクズの2択です。 主人公が人間のクズを倒したってクズが出てるアニメには変わらないんだから。 あとアニメにおっぱいもいらないと思う・・・

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