topimage

2014-01

勝手にマンガ大賞2014 - 2014.01.19 Sun

2014年度「 らいか版 マンガ大賞 」です。

 また今年もマンガ大賞の季節がやってきました。 むろん、多くの方々にはまったく興味のないことは百も承知です。 何とか大賞なんてだいたいがそんなモンです。 自分は個人的に毎年マンガ大賞を決めてきましたので、余興のつもりでおつき合いいただければ幸いです。 
前回でも書きましたがそもそもマンガに順位をつけるというのは意味の無いことです。 しかし、多くのマンガ賞が自分の納得できる結果ではないのが現状です。 そもそも投票でマンガの優劣をつけるというのは間抜けな話です。 これは学校で多数決が民主主義と教えられた人たちの発想です。 投票する方々の物さしがそれぞれ違うのにどうして対象が決められるのか? ましてや人気投票だったら一般からのノミネート投票の順位だけで決定してもかまわないハズです。 

 「 面白い 」というのは非常に個人差があり、ましてや環境や体調でも変化します。 面白かったマンガが1位というのは考えにくいです。 「 進撃の巨人 」が面白いっていう人にどう説明したってわかってもらえません。 その人が面白いって言えばそれまでですしね。
このらいか判、マンガ大賞では“マンガ特有の技巧”を選考基準にしています。 面白いかどーかは読み手の趣味や嗜好に影響されますがテクニカルの評価は普遍性があります。 これなら「 テルマエ・ロマエ 」みたいな作品が大賞を取るようなことも起きません。 たしか、テルマエが大賞になってから自分でマンガ大賞を決めるようになったんだと思います。

 マンガ賞が自分の意見と合わないってかきましたが、去年のマンガ大賞2013で自分は吉田秋生さんの「 海街diary」の大賞受賞を見事に当てちゃいました。 初めてマンガ大賞の選考委員と意見が合ったんですが「当ててどーする!」って感じですよね。 意見が合ったら合ったで間抜けな話のように思えてきましたので、大賞に相応しい作品で絶対に本家マンガ大賞では受賞しない作品を選びたいと思います。
前回はマンガ賞、原作賞、作画賞でしたが今回は大賞と次点の2作品にしぼってみました。 




 大賞  「 ここが噂のエル・パラシオ 」  あおやぎ孝夫  小学館  サンデーコミックス

 次点  「 青い花 」              志村貴子    太田出版  f コミックス 

 
 「 ここが噂のエル・パラシオ 」は小学館のゲッサン(月刊少年サンデー)で連載されて全7巻で完結した少年マンガです。 主人公のの青年は交通事故で記憶を無くし、エル・パラシオというインディーズの女子プロレス団体のエース須弥仙桜花に拾われる。 そこで専属レフリーをしながら居候をすることになる・・・っていうお話です。 つまり女子レスラー5人が暮らす中に男が1人という“ハーレム・コメディー”です。 当然ながら女子プロですから“おっぱい”や“お風呂シーン”などお色気シーン、ブルマ中学生から20代後半まで幅広いキャラを用意しています。 去年の大賞が吉田秋生さんの作品だったことを考えれば、内容があんまりだと思われるかもしれません。 しかし、少年マンガに必要な要素がすべてぶち込まれている珍しい作品です。 
作者のあおやぎ孝夫さんは少年サンデーでバスケマンガなどスポーツマンガを描いていました。 実際に伸び悩んでいたらしく、筆を折る覚悟もしたとのこと。 ゲッサンが新創刊されるときに誘われたのですが、最後の作品になるかもしれないから自分が本当に描きたい作品を描かせてもらったそうです。 ソレがエロと女子プロレスでした。 ソレまでの作風が青春スポーツマンガだったので、びっくりするくらいの方向転換です。



 この作品を「 お色気ハーレムマンガ 」ととるか「 本格女子プロレスマンガ 」ととるかで評価が180度かわります。 実は「 1,2の三四郎 」以来の本格プロレスマンガでした。 巨匠、板垣さんのようなプロレス賛美や格闘ファンタジーではなくて、インディーズの女子プロレスを真正面に描いた作品です。 格闘マンガならいくらでもありますが、面白いプロレスマンガって少ないんですよね。 マンガの場合、本物の最強キャラならいくらでも作れます。 格闘技マンガは「 本当に強い 」って設定にすればいいだけですから。 でも実際のプロレスは本当に強いわけじゃないので“本当”を描くのが難しいジャンルです。 「 プロレスは本当に強いわけじゃない 」ってなんだか「 サンタクロースは本当にいるの?」って論議みたいですね。
ストーリーはお色気コメディーをうたいながらコメディーに逃げることなく。 プロレスのストーリーをまっとうしながらもお色気やコメディーを忘れることなく。 エロシーンも主人公の自尊心やモラルがスゴいので、いやらしさがあまりありません。 女子プロのコスチュームとハダカにあんまり差がないので、当人たちの羞恥心が薄いのも過剰ないやらしさを抑える要因になっています。 じゃあ「 エロなんかいらないじゃないか?」っていう意見もありますが、少年マンガには」一定のエロがどうしても必要なんです。 小中学生の立場にたって考えればアグネスみたいな綺麗事をいうつもりはありません。 でも、最近の傾向の少年マンガや少女マンガのポルノ化には賛成しかねます。 あおやぎ孝夫さんの描くエロは、エロ加減が丁度いい少年マンガ向きのお色気なんです。
エロばっかりを褒めるのもなんですが、それ以外にもキャラの独自性やストーリーの安定感、クライマックスの盛り上げ、見やすい(わかりやすい)構図とタッチ、少年マンガに必要な要素を全部こなしています。 最終回も納得出来るモノでした。 少年マンガでは珍しいことです。
かねがね調べてマンガを描いちゃダメって書いてきました。 あおやぎ孝夫さんは調べて女子プロを題材にしたのではなく知ってるから題材にしたのです。 そのアドバンテージが作品のクオリティーになっています。
「 エル・パラシオ 」については機会をみてまた取り上げたいと思います。 自分にとってのマンガの根っこの部分がこの作品につながっているんですよね。


 「 青い花 」はアニメ化もされてメジャー作品ですが、本家マンガ大賞には縁がないようです。 コンスタントに人気があって全8巻だから規定に入ってるんだけど何でなんでしょうかね? この作品は業界初?のメジャー向け本格百合マンガです。 掲載誌が「 マンガエロテックスf」だからメジャー作品とは言えないんでしょうけど百合マンガのわりに知名度は抜群です。 このマンガもジャンルの関係でイヤらしいマンガなんですが、志村貴子さんは持てるマンガスキルをすべて使って“イヤらしいマンガ”をイヤらしく見せずに仕上げています。 この作品がよりイヤらしく描かれていたらここまでの評価は得られなかったと思います。 同時期に連載されていた「 放蕩息子 」も女装男子をあつかったジェンダーモノでしたが、まったく違う印象の作品でした。 「 放蕩息子 」は文章で描かれたマンガって感じですが「 青い花 」は映像で描かれたマンガです。 作中の廊下を歩くシーンや駅で電車を待つシーンなどが印象に残るんですが、それまでの志村貴子さんのマンガではぶっきらぼうに歩いてるだけって印象でした。 昔から歩くシーンに特徴があると思っていましたが。 



 自分の予想に反して8巻目でいきなり完結しちゃった印象はありますが、このテーマで8巻も続いたことがスゴいことだと思います。 画面構成は志村貴子さんの独特の世界があります。 初期のころの「 女がエロマンガを描いてる 」って得意になってる感じがなくなって、エロマンガを完全に消化しきった感じがします。 
少年マンガのコマ割で少女マンガの繊細さをあわせたハイブリットな作風は特筆に値します。 最近は青年誌に女性マンガ家さんたちが活躍していますが、絵が丁寧な人は少ない印象です。 吉田さんとか惣領さんとか、いますけどね。 志村貴子さんは男性マンガ家が目指す上手な絵とは別のベクトルな感じがします。 

「ほぉ」って思ったら押してね

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

管理人のらいかです

マンガを描くという事を目標にして
マンガの描き方を考えるブログです
(ネタバレの可能性があります)

は記事の内容に「ほぉ」と
思えたら押して下さると嬉しいです

最新記事

訪問していただいた人数

月別アーカイブ