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2013-12

本屋さんへ行こう - 2013.12.18 Wed

山田可南さんの「 私の彼は仕事ができない 」です。

 最近の印象ですが本屋さんや図書館を舞台にした作品が多くなったように思えます。 マンガのテーマは時代によって流行のようなものがあります。 だいたいがヒット作に引っ張られて同系色の作品に片寄ってしまうのが原因です。 不良グループ、スポ根、ラブコメ、猟奇・・・で最近はめっきり文化部系です。 もともとマンガを描いてる人が文化部系中の文化部系。 読者だってスポーツ万能な子供はあんまり熱心にマンガを読んでいないだろうから、文系マンガのほうが親和性が高いのは言うまでもありません。 中でも本にまつわる職業はちょっとしたブームのようです。 
主人公がマンガ家や小説家で相手が編集者というのは定番ですが、最近はむしろ本屋さんの店員が主人公で書店業界っぽい作品や図書館の司書がメインの作品のほうがウケている感じです。 本に携わる人は賢いキャラとか真面目で善人というイメージがあるのでしょう。 以前の記事「可愛い設定の使い方 」でパン屋さんという設定は少女マンガの「 可愛いモノ 」というジャンルと書きました。 ほかに喫茶店やカフェなど可愛いモノっていう感じがしますね。

 出版不況とか読書離れとか言われていますが、本屋さん事態の人気は根強いものがあるようです。 本を買うことだけならアマゾンでこと足りちゃいます。 キンドルならダウンロードだから通販ですらなくなっちゃってます。 でも書店が減ったというニュースは聞くけど紙媒体の本が減ったってふうには見えません。 電車で文庫本を読んでる人は見かけるけどリーダーを見てる人は見かけません。 何でスマホで読書ができるようにしないのかな? リーダーの画面が見に優しく読みやすいのならスマホもその画面にしたほうが読みやすいだろうにね。 キンドルもスマホも両方持って無いのでどーでもいいんですけどね。
ネットで本を選ぶというのは検索しなきゃいけません。 検索とは大多数の評価を得ていなきゃ引っかかりません。 ソートをかけると今度は無尽蔵に出てきます。 コレでは選ぶとはいえません。 ネット購入というのは「 欲しい本 」しか買えないシステムのようです。 最悪なのは「 この本を買ったユーザーはこの本も買ってます 」みたいなアドバイス。 あーいうのを見て購入するのは、結局は「 統計上の多数意見に従いなさい 」っていうことです。 みんなが読んでる本を読みたいっていう人も多いだろうから、それはビジネスモデルとして効率がいいんでしょう。 でも本屋さんの楽しさはキンドルでは絶対に再現できません。 自分は中学時代から月イチで神保町詣でをしていました。 電車代も馬鹿にならなかったんですが、自分じゃ絶対に買えないような本を立ち読み(ゴメン)するためでした。 マンガは買うんですけどね。 小説になんかまったく興味が無かったので狙いは地元じゃ売ってないような」専門雑誌やムック本です。 前に日記で取り上げた天野祐吉さんの本などは、ほとんどが神保町です。 当時、マンガを描くためには賢くならなければいけないって思っていたので必死だったんですね。 勉強ができるようになりたかったんじゃなくて賢くなりたかったんです。 なれなかったけど・・・
ただし、本屋さんの魅力は立ち読みができることじゃないですよ。 本をかってあげないとそれこそアマゾンに負けちゃうからね。 なぜ本の形がバラバラなのか? リーダーのように読む利便性だけを追求するのなら本の大きさはA6判とB5判の二種類でよかったハズです。



 「 私の彼は仕事ができない 」は山田可南さんの2年ぶりの単行本で、徳間書店の「 月刊コミックゼノン 」に連載中です。 コミックゼノンのマンガでは 「野暮なマンガ、粋なマンガ」で日暮キノコさんの作品を取り上げました。 山田可南さんの作品は単発でしか読んだことがなくて、ちゃんと購入して読んだのは今回の「 私の彼は・・・」が初めてだと思います。 自分の中での山田可南さんのイメージは「 絵が上手過ぎるレディースコミックのマンガ家 」というものでした。 自分の中では西 炯子さんと同じフォルダーに長い間入っていました。 西さんはBLやらマイナー系の女王に君臨していましたが、さっさとメジャー少女マンガ家に転身しちゃいました。 山田可南さんもガチエロ女性マンガ(レディースコミック)や風俗ネタのマンガを描いてましたが、女性セブン(ガチ女性誌)から「 澤飯家のごはんは息子の光がつくっている。」という“お料理・家族マンガ”を描いています。 あれ?山田可南さんも一般誌向けに転向?って思わせる作品です。 「 ひよこクラブ 」にエッセイマンガを描くくらいですから、いつまでもエロ少女マンガ家ってわけにもいかないんでしょう。

 「 私の・・・」は中堅の本屋さんのフロア長を勤める主人公と無職の彼氏のお話です。 その彼氏がやっと就職したのがその本屋さんで、彼氏は彼女の部下になるという展開です。 それまでの作風とは大幅に違うのは、まったくエッチシーンが無いというところです。 彼が無職の間はセックスさせないというのが彼女の方針ですが、就職できて3ヶ月ぶりにヤったシーンも事後ふたりで布団には言ってるシーンがちょっとあるだけです。 昔からの山田可南ファンには「 なにカマトトぶったマンガ描いてるんだよ!」って言われそうです。 言われないだろうけど。 かつての秋田書店の同僚だった花田祐実さんよりも健全なマンガです。 裏表紙のイラストは本で隠しながらキスするカットなんですが、本編では職場で手を握るだけで真っ赤になっています。 稚野鳥子作品のようなオフィスエロエロマンガではまったくありません。 あっちはまったく仕事をしないオフィスマンガですが、こっちは仕事ばっかしているオフィスマンガです。 
表題の“仕事ができない彼氏”ですが、彼氏のドジッ子ぶりを笑うようなコメディーではないようです。 元々はそのつもりだったようすが、実際にはドジな店員のアイデアをあんまり用意できなかったみたいです。 彼氏は仕事ができないというよりも要領をつかめてないだけって感じです。 彼女のほうが上司だから仕事のレベルにさがついちゃってるだけで、タイトルでいうほど仕事ができないダメ人間には見えません。 実際の会社にはもっと仕事ができない人がうようよいますよね。 山田可南さんはマンガ家だから本物の仕事ができない彼を見たことがないのかもしれません。 現実の仕事ができないヤツってもっとスゴいですよね。

 山田可南さんはこの作品でへたれっぷりを笑うようなマンガが描きたいわけじゃないようです。 POPやクレーム処理、謝れない店員、配置換え・・・完全にお仕事マンガになっています。 そんな中でマンガのテーマが“仕事ができない彼”じゃなくて“仕事と日常の切り替えが下手な彼女”になっています。 これは女性マンガの普遍的なテーマです。 1巻のラストで彼女は言ってはいけない言葉を言ってしまいます。 
女性が上司で部下の彼氏が仕事ができないというマンガの最高傑作は小池田マヤさんの「 すーぱータムタム 」でしょう。 小池田マヤさんの初期の傑作ですが、たぶん「 私の・・・」が進むであろう問題をすべて網羅しています。 小池田さん自身がデパート勤務の経験があるため「 すーぱータムタム 」の舞台のデパートという職場の“仕事ができないヤツ”の本物をたくさん見てきたようです。 バイヤーとか仕入れなどに商社の生々しさがよく表れていてお仕事マンガとしても一流です。 恋愛マンガ」なんだけどね。 
山田可南さんは本屋さんマンガを描くにあたってジュンク堂、文教堂、BOOKSルーエ(吉祥寺の本屋さん)を取材したとのこと。 でも本物のダメ社員については教えてもらえなかったんじゃないかな? 身内の恥については社員は言えないでしょう。 本編でPOPの字が汚なくて読めないというエピソードがあるんですが、字が汚いから仕事ができないというのなら、自分も仕事ができないヤツです。 いいじゃん字が下手でも!

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