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2013-07

中野純子さん一周忌 - 2013.07.28 Sun

中野純子さんの「Say,good-bye」です。

 集英社の「ヤング・ユー」や「ヤングジャンプ」で活躍していたマンガ家の中野純子さんが、虚血性心疾患で亡くなってから一年が経ちました。 2012年7月28日急遽、享年45です。 
代表作は「ちさ✕ポン」や「ヘタコイ」など。 元々はヤング・ユーという女性向けマンガ誌で描いていましたが、ヤンジャン(青年誌)でメジャーマンガ家に地位を確保していました。 ヤンジャンの伝統だった「健康お色気ラブ・コメ」が描ける貴重な戦力でした。 中野さんは「ヘタコイ」の番外編「イロコイ」も発刊し、次回作の準備に取り組んでいる矢先だったとのことでした。 デジタル作画に挑戦するためにパソコン等デジタル環境を整えていたので、このような訃報はファンや関係者よりも中野さん自身が無念だったことでしょう。

 しかし、なんで1年たって訃報記事なのかといえば、自分が中野さんの訃報を知ったのが今年の春だったからです。 本屋さんのマンガコーナーで追悼の短編集「Say,good-bye」を見つけたからです。 タイトルからして「お別れを告げる」って追悼感たっぷりなんですが、この表題はたまたま「Say,good-bye」という短編があったのでちょうど良かったから編集したみたいです。 短編集はヤング・ユー時代の読み切りや短期連載を集めたもので、ヤンジャンで中野さんを知った方々にはちょっと意外な作品たちです。
自分はこれらの作品を当時のヤングユーコミックスで読んでいました。 当時の感想は「あんまり少女マンガに合っていないマンガ家だなぁ」って印象でした。 きっちりコマ割りする画面構成などもそうなのですが、何となく女性誌系の少女マンガ家たちとは異質な感じがしていました。 後にヤンジャンで「B-SHOCK!」の連載が始まり、「ああっ、本来は少年マンガの人なんだ」って納得した記憶があります。 
今回、あの頃の作品を読み直してみたら、なぜ違和感があったのかがわかりました。 中野さんの描く少女マンガの主人公は、男の子キャラも女の子キャラも読者の少女もしくは女性の思い通りに振る舞わないのです。 「予定調和な少女マンガを描きたくない」という反骨精神よりも、「読者の期待に応える」という最低限の約束を理解できなかったようです。 読者は「このマンガを読んだけど期待外れだった」という感想になっちゃうから。
たとえば、まわりの人たちとなじめないキャラを考えてみます。 そのキャラは周囲から好かれないのでつらい目に遭います。 でも読者には好かれないといけないですよね。 ならば読者が応援できるキャラにしなきゃいけないのに、そうしないリアルさを中野さんは目指していたみたいです。 少女マンガではこのことが絶対なので、このままでは面白い作品は無理あったんでしょう。 ヤンジャンに移ったのは正解だったと思います。 少年マンガではキャラへの愛着よりもシナリオ重視のほうが良い場合があります。 作風を変えたのも正解だし。

 「読者の期待に応える」というのはヤンジャンで徹底的に指導されたんだと思います。 女性作家なのに中学男子向けのエロ描写は相当の割り切りが必要だったんでしょう。 少なくとも「Say,good-bye」を読めば、「ヘタコイ」を描く人と同一人物には思えません。 ヤンジャン時代は少年マンガのテンプレを全部入れたマンガでした。 少女マンガ時代は普通の少女マンガを描きたくないという狙いなのか、考えすぎて面白くないマンガになっちゃっていたようです。
でも少年マンガになっても根本的なところで読者の期待に答えないのは変わっていません。 それは主人公の女の子がレイプされちゃう展開などに現れていました。 当時このレイプ騒動は物議を醸したんですが、今考えると合点がいくんですよね。

「ヘタコイ」については2012年の5月24日の記事「ヤンジャンの性描写規制」で取り上げています。
この記事を書いてから2ヶ月後に亡くなったんですね。

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