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2013-01

桜宮高校と明青中学 - 2013.01.19 Sat

あだち充 さんの 「 MIX 」です。

 前回の日記で「 マンガ大賞2012 」を発表しましたが、面白いマンガもあればがっかりなマンガもあります。 2012年の「 もっともがっかりしたマンガ大賞 」は板垣恵介さんの「 バキ 」の最終回とあだち充さんの「 MIX 」の新連載でした。 がっかりとは作品の( 作品の期待度-作品の完成度 )なので、期待値が大きくなるほどがっかりも大きくなります。 完成度が越えれば予想以上の面白さといえます。 正直、バキにはほとんど期待していなかったのですがそれを凌駕するほどの完成度の低さでした。
あだち充さんについては2012年の6月17日の日記にて「あだち充の最後の賭け」という記事を書きました。
コレは人気低迷で「あだち充神話」が終わりかけている中、連載中の「 QあんどA 」を打ち切り同然で最終回にしてまで「 タッチ 」の続編に賭けようとしているっていうお話でした。

 新作は明青学園の中等部から始まります。 達也と南の子供が主人公か?って思っていたらそーではないようです。 「誰も死なないで」ってあれほどお願いしてたのに、いきなり親が死んで再婚っていう設定です。 ヒロインは妹ですが、主人公とは血縁ではないというあざとさと「兄=モテる」「弟=モテない」っていうあだちマンガ全開の設定です。 そんなことは織り込み済みでしたが、この作品のがっかりマンガ大賞なトコは主人公が入部した中等部の野球部にいる監督のキャラです。 
本当は日記に書くほどでもなかったんですが、最近のニュースで話題になってることと関係があるのであえて取り上げてみました。 以前にバキも取り上げたからね・・・

 ニュースとは大阪市立桜宮高校のバスケ部の事件です。 事件の詳細は報道にお任せしますが、誰もが怒りや嫌悪感といった負の気持ちにさせられた事件です。 バスケ部顧問のキャプテンへの体罰だけでも論外ですが、キャプテンに集中する暴力にある種の変質狂な感じもします。 キャプテンを風よけ(スケープゴート)にしていた他の部員や指導が行き届かなかったいつもの校長先生、統括する自治体やバスケ連盟、思いつきだけで発言している市長など(水谷先生にも怒られてましたが、自分は入試取りやめは納得できます)いやな気持ちになるキャラ満載な事件です。
それから面倒くさい話をしていたのが、元アスリートの方々です。 「昔は体罰もあったが今はそーいう指導ははやらない」とか「体罰かどうかは愛があるかどうか」だとか。 まだその議論なの?って感じです。 そもそも虐め=傷害なら体罰=虐待です。 虐めは「虐め→いじめ→イジメ」の順に罪の意識がかるくなりますね。
死んだ少年にも「死んでんじゃねぇよ」っていう思いがあります。 バカなヤツらのために死ぬ必要はないので、そうならないための知恵を身につけて欲しいです。 幼児や低学年の子が親や独善的な地位から虐待されれば心そのものが粉々にくだけちゃいます。 親が世界の全てだから。 でも今回の事件は高校生なのが気になります。 問題解決能力がなかったのかなぁ・・・

 桜宮高校の体育館はスポ根マンガのころから時間が止まっていたようですね。 同じように時が止まっていたのがあだちマンガです。 「 MIX 」のざっくりとしたあらすじは「明青中学の野球部には寄付金を出して社長のバカ息子がエースに君臨し、超中学生級の主人公はサードをやらされている。 明青中学では監督もグルになってバカ息子が王様の野球部ができあがっていました・・・」このお話は面白いのでしょうか? 主人公に困難な課題をあたえるのはマンガの常套手段です。 でもそれは乗り越えたときの達成感や痛快さがあるからです。 スポーツマンガにおける困難とは「弱い」「チームワークがない」「指導者がいない」「予算がない」など、ライバルに勝つには足りないピースとして描かれるものです。 そこに「一部の生徒がえこひいきされている」とか「学校がグルになっている」などは含まれません。 そんなモンと戦うのは本来の野球マンガではありません。 学校に独裁者がいるお話なんか読んでいてイヤな気分になるだけです。 だって、桜宮高校のニュースは誰もがイヤな気分になったんだから。

MIX

 過去の名作「 タッチ 」は甲子園を目指す少年たちに夢をあたえ、野球部に入れば南ちゃんのような女子マネージャーと仲良くできるという勘違いをあたえてました。 テレビでも「南ちゃんを探せ」ってやっていたくらいです。 あれから20年がすぎて、こんなマンガを読んで「僕も野球部に入ろう」って思う小学生がいるでしょうか? 真剣に甲子園を目指すのなら、こーいった“くだらない”初期設定は必要ないんじゃないのかな? 元バスケ部ぼ生徒がチンピラを連れて体育館で乱闘とか、バスケ部の部室が火事になって無期限の活動停止とかインターハイに関係ないじゃん。 スポーツマンガが低迷している原因は競技自体の面白さじゃない部分がつまらないからでしょう。 複数のシナリオが重なっているドラマは作り手が賢そうに見える反面、主文のお話がお留守になりがちです。 ましてや「頑張ることを否定する」流れは、「頑張ろう」というマンガを読みたい読者をしらけさせるだけです。 
「 MIX 」の1巻を読んだ感想は面白いとかつまらないではなくて、しらけたお話だなぁって感じです。 桜宮高校のニュースには普通の人はワクワクとかしませんよね。 それをマンガでよんでもワクワクするわけがありません。 「 あひるの空 」は半端モンだったバスケ部員が周りから否定され続けていたが、当人たちの努力(練習)で認められるようになっていったお話です。 もう彼らを否定する人はいません。 作者の日向さんは「認められていく過程」を丁寧に描くことが作品のテーマだったんでしょうが、皮肉にも認められない時期よりも認められた今のほうが面白いです。 

 じゃあ、主人公が順風満帆に強いマンガのほうが面白いのか?といえばそんなことはありません。 主人公は困難に立ち向かうものですから。 ただマイナスの困難じゃなくてプラスの困難を与えてほしいんです。 現時点で最強の部活マンガである「 ちはやふる 」の一節です。

 「 ここには かるたを好きな人しかいない 」 綾瀬千早 談

千早がかるたをすることを邪魔したり否定するキャラは出てきません。 親友と別れたり手を怪我するなどの困難な状況も、千早自身の成長の糧として描かれています。 「全てはかるたで勝つために」全力を尽くしても届かない世界を描くとはそーいうモンです。
学内の世直しがテーマなら生徒会長を主人公にすればいいんだし。 みんな好きじゃん、生徒会長って・・・ 

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