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2013-01

勝手にマンガ大賞 2012 - 2013.01.11 Fri

2012年度 「らいか版 マンガ大賞」 です。

 マンガ賞といえば、本家の「マンガ大賞」や「このマンガかスゴイ」などの民間の賞、講談社、小学館その他の出版社系列、文化庁などの大げさなだけの賞まで、さまざまなマンガ賞があります。
お上が決めるマンガ賞などは論外として、出版社系は“紐付き”のいうイメージがぬぐえません。 昨今は本屋さんの店員が選ぶ「本屋大賞」的なモンの影響力が強くなっています。 でも個人的には本屋さんが本を選んじゃ駄目なような気がします。 それは出版社が選ぶ以上に“紐付き”で無責任な感じがします。 「ディーラーが選ぶカーオブザイヤー」とか「すき家の店員が選ぶ牛丼大賞」っていうのはヘンですよね。 
過去の「マンガ大賞」や「このマンガがスゴイ」の上位にランクされた作品と自分の意見があったためしがありせん。 その年のエポックな作品やブームになった作品が大賞になる傾向にありますが、ちょっとマニアックな選考を混ぜることでただの売上ランキングにならないようにしている感じです。 売上=人気作だったらトーハンに聞けばいいんだし、話題になったマンガを選ぶのいなら大賞じゃなくて話題賞です。 唯一面白かったマンガ賞は「ぱふ」のまんがベストテンでした。 この賞は「ぱふ」の読者の嗜好が100%反映していて、マンガマニアの選ぶ「マニアックなマンガNO1」を決める賞でした。 自分の考えた順位とはぜんぜん違ってましたが、「マンガを読む読者が選んでいる」という点で納得のいく賞でした。 
要するにヒット曲と名曲のどっちが大賞なのか?という話で、自分は名曲こそが大賞をいう意見を支持をしたいということです。 
以前は、長編マンガ、短編マンガ、主演キャラ、サブ・キャラって分類でノミネートしていましたが、ちょっと面倒なので大賞、原作担当、作画担当の3部門に絞ってみました。
  


 各賞の受賞作


 マンガ大賞    「 海街diary 5 群青 」    吉田秋生       小学館 月刊flowers

 
 マンガ原作大賞 「 僕はビートルズ 」       原作 藤井哲夫   講談社 モーニング
 
  
 マンガ作画大賞 「 かの名はポンパドール 」  作画 紅林 直      集英社 ジャンプ改



 マンガ大賞の「海街diary 5 群青 」は、鎌倉に住む3姉妹が異母姉妹を引き取り4姉妹になった家族の日々を描いた物語です。 吉田秋生さんはニューシネマっぽいマンガからコメディ、チェリーボーイ、ミステリー、ハードアクション、学園、ホモ、レズ、組織犯罪、さまざまなテーマでマンガを描いてきました。 デビュー当初から少女マンガを逸脱していましたし、少年マンガがたどり着かないヒーロー像と少年マンガが表現出来ないナイーブさを両立させたスーパーサイヤ人なマンガ家です。 
そんな吉田秋生さんがたどり着いたテーマが「 海街diary 」シリーズです。 当分というかこの作品が吉田秋生さんの最後のキャリアになるんじゃないかなって思っています。 ベースに「ラヴァーズ・キス」の背景がありますので、かなりライフワーク的な印象があります。 たどり着いたとうよりも「やっぱり、ここに戻ってきた」って感じです。



 ただ「自分が読んだマンガの中で一番面白かった」というだけでは説得力に欠けますよね。 受賞理由を明確にしなきゃ「このマンガがスゴイ」と変わらないです。 
「 海街diary 」シリーズの凄いところは、あまりにも普通のマンガだということです。 絵、セリフ、コマ割り、背景、ストーリー、キャラデザイン・・・どれをとっても「普通のマンガ」としか思えないです。 作画にしても奇をてらった構図とかインパクト重視の変顔のアップなどは使わず、背景も青年誌で主流の写真を加工したようなCG処理じゃなくて吉田秋生さんのタッチで描かれた鎌倉の街並みです。 演出もスタンダードな技法で、教科書通りに描かれたマンガって感じです。 実際はこのマンガこそがマンガの教科書なんですけどね。 解りやすい例えだと「 はじめの一歩 」でリカルド・マルチネスの強さが、全てのパンチのレベルが何段階も上でジャブひとつ取っても基本に完璧に忠実だったのに近いです。 吉田秋生さんはマンガを越えた表現力を使うことなく、マンガ特有の表現力だけでマンガが描ける究極のマンガ家です。
この作品の特徴は登場人物の多さです。 メインの4姉妹にそれぞれ交流関係のある人物がいます。 しかも共通の関係者や親戚、遠縁の関係者などを含めると名前のあるキャラだけでも相当数がいます。 それなのに時系列を狂わせずにすっきりと読ませる構成力はスゴイです。 中学生の失恋や初恋、OLの仕事や恋愛のストレス、不倫や新しい恋、親子関係や親戚関係、サッカーや医療問題・・・すべてがつまったお得なマンガと言えますね。


 マンガ原作大賞の「 僕はビートルズ 」は、講談社のMANGA OPEN というマンガ賞の原作部門に藤井哲夫さんが応募した作品です。 そのときの審査員だったかわぐちかいじ さんが強く推して大賞になり、さらにかわぐちかいじ さんが作画を担当するという豪華なデビュー作です。
お話のベースはタイムスリップものなので、ありきたりと言えばこれ以上ないほどのありきたりなお話です。 多くのタイムスリップものは、違う時代に現代人を送り込んでどーやって帰って来るかという話。 もしくは時代劇に現代人の主人公を活躍させるお話です。 個人的には「なにも現代人を主人公にしなくてもその時代のひとだけでお話を作ればいいのに」って思っていました。 しかし「 僕はビートルズ 」はタイムスリップしなきゃ成り立たないお話です。 完璧にビートルズをコピーできる日本人アマチュアバンドが、ビートルズがデビューする前にタイムスリップする。 主人公は「歴史を変えてはいけない」というタイムスリップSFの法則があります。 「偽ビートルズが本家を出し抜く」という構図がビートルズファンにとって「歴史を変えていいのか?」という不安と期待でストーリーに引き込む作用になっています。 主人公にビートルズになる覚悟があるのか?が問われると同時に、原作者にビートルズが世に出なかった展開を書く覚悟があるのか?が問われ続けたマンガです。 
ネタバレなのでドラマは書きませんが、SF的な都合のいい終わり方ではないことは保証します。(突然、彼らを光が包み込み現代へ戻って来れた・・・みたいな) ビートルズ狂者たちが作ったマンガなのでウンチクマンガになりがちですが、ビートルズを知らない世代やポップスに興味がなくても楽しめるストーリーになっています。 作画担当のかわぐちかいじ さんの力量によるところも当然あるんですけどね。


 マンガ作画大賞の「 かの名はポンパドール 」はルイ15世の時代に才知と美貌で平民から侯爵夫人にまでに立身出世をなしたポンパドールの生涯を描くお話です。
紅林 直 さんといえば「お水マンガ」というイメージでした。 倉科 遼 先生の原作のせいで紅林 直 さんはヤクザやお水のマンガ家 だと決めつけていたみたいです。 自分が最後に読んだ彼の作品はヤクザと花屋の交流みたいなマンガで、個人的にヤクザものNGなのでそれ以降は読んでいませんでした。 本屋で「 かの名はポンパドール 」を見たときも紅林さんというよりも原作の佐藤賢一さんで買いました。 フランス貴族の女性の表紙と女性の立身出世というアオリで即買いでした。 読み始めてから作画がお水のマンガ家だって気がついたくらいです。 講談社のマンガは勢いや粗暴さを全面に出す作画を好む傾向(絵が雑とも言える)ですが、集英社はせんの綺麗さをかなり重視している印象です。 その集英社畑の紅林さんは「裏社会のマンガなのに絵が上手すぎる」って思っていました。 
絵が上手といっても色々な方がいます。 完璧なデッサン力、絵画的に味がある、精密な作画、熱量のある絵、写真のような絵など・・・ マンガで必要な上手とは「女性キャラを魅力的に描く」と「なにやってるのか解るように描く」と「読むのに邪魔にならないように描く」だけです。 女性キャラの件は当たり前ですが、なにやってるのかが描けない場合は描くテーマを絞らなきゃいけません。 殴り合いが描けない人は格闘しそうなキャラは登場させられません。 クルマが描けないと主人公は電車で移動しなきゃいけません。 電車を描くのも大変ですけどね。 一番重要なのは絵が読むのに邪魔にならないことです。 コレは多くのマンガに当てはまっちゃいます。 絵の情報がゴチャゴチャしすぎて、もしくは無意味な情報だらけで、情報不足すぎて「読むのが面倒」なマンガです。 おりしも吉田秋生さんもかわぐちかいじ さんも紅林さんも読みやすい「マンガ絵」の部分が完璧です。
芳文社の週刊漫画タイムス(解体屋ゲンのマンが誌です)に「超訳伊勢物語 月やあらぬ」も描いていました。 単行本も2巻目が出るころです。 こっちは東京スカイツリーで脚光をあびた在原業平のプレイボーイっぷりを描いたマンガです。 フランスにしろ平安にしろ「お水の立身出世」には変わらないような気もします。 やっぱお水が得意なのかも。



去年の2月の日記で故 内山まもるさんのことを書きました。 その中で内山さんがいかにイイ女を描いていたかを力説しましたが、紅林さんは内山さんのあとを継ぐ才能だと思っています。 画力ではとっくに内山さんを越えてるんですけど、画力だけじゃ「イイ女」は描けないんですよ。

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