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2012-08

おおかみこどもの評判 - 2012.08.12 Sun

細田 守監督作品「おおかみこどもの雨と雪」です。

 現在公開中の劇場アニメなので、これから観に行くのを楽しみにしている方やDVD等で観る予定の方は読まないほうがいいです。 熱烈なアニメファンや細田ファンも・・・
自分はこの作品も観ていません。 前回の「ヘルタースケルター」に続き観てもいない映画の批評です。 今回の日記はなんと予告編だけを観た感想です。 とても横着な日記なので細田ファンからは「ふざけるな」って言われるでしょう。 要するに宣伝における「おおかみこどもの雨と雪」の印象と実際に観た人たちの感想をすり合わせて作品の実像が見えればと思います。
では、実際に観た方々の意見はどうだったのでしょう? 以前の日記“120人のジブリ批評”で「アリエッティ」のレビューの参考にした「映画.COM」のお世話になってみます。 レビューの描き込みが現段階で58人。 ちなみに全体の評価点の平均が4.0点です。 
 

映画.COMのレビューの抜粋


まず肯定的な意見

『母と子の物語としても、ファンタジーとしても、ラブストーリーとしても、一本の映画としても、これ以上ないくらい。この夏というより、今年最も忘れられない映画。絶対見るべき!』

『子供3人と観て来ました。こども向けよりも大人向けですが、美しい映像、愛情あふれるストーリー。すべてが秀逸です。宮崎あおいも素晴らしかったです。ぜひ劇場で鑑賞してほしい作品です。』

最大限の賛辞です。 ここまで映画を堪能してるのならゴチャゴチャ言う必要もありません。 
過去の細田作品の傾向から考えても「満足」という評価の方が過半数なんでしょうね。


次に描写についての意見

『何より絵が可愛らしくて好き。私は絵が気に入らなければ観ないほうなので。』

『心には残らないPVのような作品でしたが、映像がかわいかったので我慢できました。』

キャラ絵や背景絵に引かれて観るファンも多いようです。 キャラ絵の良さや背景の美しさはアニメを観るときの重要なポイントです。 ほかのアニメも背景を美しく描けばいいのに・・・

『絵的にもそんなひきつけられるわけでもなく、むしろ苦手な感じ。』

こちらは逆の意見ですね。 自分は魅力的というよりも普通っぽいというか没個性なキャラ絵だなぁって感想です。 意図的に目が離れてるあたりが個性的なのか違和感なのかは好みの分かれるところです。 ジブリ的背景?も安定感と取るかレトロ(古くさい)と取るかで評価が分かれるし。

『山の生活に入ると、絵はますます美しくなって、日本の原風景を堪能できる。ところが、これにCGの手が加えられたとはっきりわかるコマを見せられた瞬間、「おおかみこども」の世界から現実に引き戻されてしまうのだ。
とくに水がよくない。フルCGのアニメでも、水が妙にリアルで全体の画から浮いてしまうことがよくある。「タンタンの冒険」や「カーズ2」でも、海のシーンだけアニメに見えなくなる。実写映画でCGの水を描き加える時代だ。リアルに見えるのも当然だ。それだけに、せっかくの美しい手描きのセル画にCG処理を加えるときは慎重さが必要だと思う。本作の雨のシーンはたしかに描写が細かい。だが、背景の画との違和感はフルCGアニメの比ではない。せっかくの絵が作りものに見えてしまう。』
 
『画像のキャラとCGの背景は思ったより溶け込んでいたけど、大学とか通行人のバーチャル的な動きがバツ!これ何で使ったんだ?作品感がこれだけ違和感』 

CGに対する不満です。 近年、セルアニメがデジタル化してCGの垣根が無くなりました。 「戦闘メカ(ロボット等)は3Dモデリングなのに主人公の顔が平面」なんていうのもよく見かけます。 上手、下手じゃなくてタッチが変わる瞬間に絵であることを思い出しちゃうのが気になるんだと思います。 


物足りないという意見

『内容はキャラクターの心情変化を中心としたエピソード集の様に感じた。物語として大きな盛り上がりを感じなかったので、映画でなくTVアニメのほうが楽しめたと思う。せっかく映画館で観るのにガッカリ』

『雪と雨の姉弟の絆も希薄な気がした。これなら別に兄弟にしなくても『おおかみこども』をテーマにしたオムニバス作品で事足りた。生き方が別れても家族の絆はあるはずだ。』

『現代の狼男』をテーマに話を作ろうと4.5人で飲み屋で話し合えば10組中6組はたどり着きそうな話で、大きな驚きも高揚も無かった。』

『私がまだ子供じみているのかもしれないけれど、話がまぜごせしていて、本当に微妙でした。』

『綺麗にまとまっているけど、素っ気なく終わった感じで、何か寝る前に小さなお伽噺を聞かされて、途中で寝てしまい、それで最後どうだったっけ?って感じの雰囲気です。』

『要するに、よくある家族のよくある話です。「おおかみ」絡みの設定を活かせていたとは言い難く多少の抑揚はありつつも「でもまぁよくある話だよね」で済むような物語。』

『正直監督さんの言いたいことはわかる。でも予告編やいろんな特番で情報出しすぎて予測の範疇で終わった。』

物足りない人たちの意見は「ドラマとしての盛り上がりが無い」「ありきたりなお話」というこのかな? 子育て物語はありきたりじゃなきゃダメなんだけどね。 育てた息子が鬼退治とか育てた娘が月に帰るなどドラマ性の高いお話もあります。 でもそれはすでに子育てがテーマじゃありません。


かなり否定的な意見

『この作品の主人公である母親・花に嫌悪感を覚えました。いつも笑顔で気持ち悪いと思ったのです。この映画には人生の8割を占めるであろう平凡な生活のちょっとした幸せが描けていないのではないのか。』

『母親の花の性格を好きになれるかどうかで、評価が分かれるかもしれません。』

『まぁーこの花ちゃんがですね、兎に角!性格が菩薩様なんですな。心が透き通るほどに無垢で純真で優しくてひたすら健気。ジャンルとしても逞しく大らかな女性像を描きたかったってのは分かるんだけど、少し美化され過ぎやしませんか?』

『嘘なら嘘でファンタジーうまく騙され楽しみたいので。結局、男の方が考える母子の話なんだよね。』

主人公の花(お母さん)に違和感がある意見が多いです。 主人公に感情移入ができないのならその映画を見続けることは苦痛以外に無いですよね。
テーマがリアルに子育てなので家族連れの方々のほうが細田さんよりも育児に詳しいという問題があり、ツッコミどころ満載な作品になっちゃったようです。
( いつも「とにかく=兎に角」に違和感があります。 ひらがなのほうがよくないですか? 兎は関係ないし )


細田 守ファンとアンチ細田な方の意見

『「時をかける少女」でその面白さに感激し、次回作はこれを超える事が出来るのかと危惧したが、「サマーウォーズ」はこれまた素晴らしく、この監督にはその不安は一切不要だと痛感した。どれが一番面白い?…なんて愚問。全て一番面白いのである。そして待望の最新作。ハードルの高い期待に見事に応えてくれた!』

『サマーウォーズ』よか酷くないので、興味がある人は観てみても良いんじゃないかな。』

『「ジブリと比べると…」とか「ジブリの方が…」とか「ジブリに似てる…」とか。ハッキリ言って馬鹿げている!ジブリが日本のアニメの全てではないし、そもそもジブリとは何の関係もないし、素晴らしい才能の方々に失礼。そういう輩は最初から見なければイイのである!』

細田 守さんは“ポスト宮崎 駿”と言われてるようです。 でも、そんなモンは宮崎吾朗さんか米林宏昌さんが継ぐべきモンでしょう。 どう考えてもジブリと似てるとは思えないし、ガンダムとマクロスをロボットつながりで似てるっていうような感じかな?


もっと超越した意見

『この映画は技巧が主題を裏切っている。 上辺だけ綺麗に繕っていても本当の意味で主題を理解していない。』

もの凄く格好いい「技巧」な批評のフレーズです。 でも作り手が主題を理解していないっていうのは、なんだかヘンですよね。

『感想を書こうとして、思い出していると涙が溢れてくる。』

こーいう方は「北の国から」とかでも号泣してそうです。

『見終わったあとに素直に題名の通りに親孝行しようと思った。』

題名に親孝行なフレーズってあったっけ?

『この作品を観て、心から日本のアニメを誇りに思うことができました!』

これ以上ないくらいの大賛辞です。

『映画の大前提に踏み込むようだけど、まず避妊なしに狼男と事に及ぶなんて考えなさ過ぎ。』

いろんなところでこの意見が大多数です。 いかにも草食系な感じの意見ですが、優生保護法の観点から考えるとややこしい話になりそうです。

おおかみこども

 「おおかみこどもの雨と雪」という作品は観る側の立場によって評価がガラッと変わるようです。 
『この映画を「アニメだから」とか「画がかわいいから」とか「おおかみこどもの話だから」などの理由で小学生以下の男の子には観せないように!ほぼ間違いなく30分で飽きて暴れるでしょう。さらに女性に優しくない中学生以上の男子・男性もだめですね。この映画の良さ、面白さは解らないでしょうから。』
『劇場は小さい子連れが多かったが、途中で飽きてて映画そっちのけで、遊んでいたのをみると小さい子供にはマッチしない内容だったと思う。』
基本的に小さい子や小さい子並みの男性にはムリなようです。 年齢や性別、既婚、未婚によっても印象が変わります。 しかも「女性だから感動した」という方々や「女性だから納得できない」という方々も半々くらいいるようです。 おのおのの立場に肯定派と否定派が両方存在し、一概に子供を育てた経験があるから好評価というわけでもないみたいです。
今回の日記は映画本編じゃなくてCMを観ての感想です。 自分の思っていたイメージは「夏休みマンガまつり」的な、お母さんが子供を連れて観に行けるファミリーアニメでした。 「トイストーリー」とかみたいな・・ だって小さいおおかみこどもたちが“ジブリ作品”のように走り回ってるシーンは、大人よりも子供に観せたいと思うに決まってるだるから。 多くの意見によると実際に小さい子にはムリだと思います。 セックスもあるのでよけいに! でもセックス目当てで観に行くとそれ以降の育児マンガを延々観せられます。 一般向けと思われるようなアニメで残虐シーンや性描写を入れて得意になってる監督がいますが、迷惑なだけなので深夜でやってて下さい。 ゲスな表現じゃなきゃ伝えられないのは「表現の自由」ではなくて「不自由な表現」です。 
  
 物語が面白いかどうかの唯一の部分は、主人公に感情移入(共感)できるかどうかです。 花(母親)に自分の育児体験を重ねられる人で、ファンタジーの部分が気にならない場合は好評価です。 育児体験がなくて(未婚男性など)作品中のファンタジーを育児だと思い込んでいる場合も好評価です。 ファンタジーの部分が非現実的と捉えちゃうと、とたんにみすぼらしい作り話に思えちゃうようです。 育児そのものに関心がない人には苦痛のみの映画でしょう。
親に連れられて観に来た子供たちが飽きちゃうのは、この物語が母親役の花の立ち位置で進められるからです。 雪や雨と同世代の子供に彼らの母親の立場のアニメを観せてもねぇ・・・ 
それ以外で観に行った方々の理由の多くは「細田アニメ」における信頼度の高さでしょう。 この細田ファンの評価も今回は賛否が分かれたようです。 過去の2作品とはあまりに毛色が違うので解釈が難しいみたいですね。 「サマーウォーズ」が好きな人には厳しいタイプの作品なので細田アニメのファンには「踏み絵」のような作品です。 思うに、つまんなかったらムリしないで踏んじゃえばいーんだけど、ファンはいろんな理論で肯定しようとするから。
自分は「サマーウォーズ」を観たとき「80年代に多かったアニメのノリで古くさいアニメだなぁ」って感想で踏み絵を踏んじゃいました。 「時をかける少女」は3人がキャッチボールをするシーンがイヤでイヤで・・・ この監督はキャッチボールしたことが無いのかなぁ?って思いました。 あんまり絵に配慮しない監督だと思っていたら描写の凄さが売りでビックリ。 その頃は細田 守って名前すら知らなかったです。

 自分は「おおかみこどもの雨と雪」を観たいか?といえばあんまり興味がありません。 理由は「おおかみこども」だから。 手塚治虫さんにしろディズニーにしろ動物が喋るアニメって嫌いなんですよね。 「おおかみこどもは現実社会の云々・・・」とかの比喩的表現もあまり評価しません。 現実社会の云々を描きたかったら、現実的なデテールで描いたほうがちゃんと伝わるハズです。 あえて「おおかみ」なんだからおおかみに即した内容のアニメにしなければ意味がないです。 
「コレは現代の子育ての問題を・・・」とかのテーマをおおかみでやるのはちょっと幼稚じゃないかな? 幼稚なのが悪いワケじゃありません。 本来の対象年齢だったハズの小さい子たち向けに作れば幼稚なことが正しい作り方です。 細田ファンはイヤだろうが宮崎駿さんと比較すれば、「ポニョ」はいろんなとこが幼稚にできています。 子供向けに作っちゃうとブランド評価が下がっちゃうだろうけどね。 

 おおかみおとこがコトをいたす時に興奮するとおおかみに変身しちゃうらしいです。 だったらおおかみおんなの雪ちゃんがおとなになってイザっていう時、彼女もおおかみに変身しちゃうハズです。 おおかみとやっちゃう人間のおんなはアリですが(本編)おおかみをやれる人間のおとこは本物のヘンタイです。 そんな結論かよ!

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