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2012-05

ヤンジャンの性描写規制 - 2012.05.24 Thu

中野純子さんのヤングジャンプコミックス「ヘタコイ」全10巻です。

 中野さんは、かなり昔に女性マンガ誌(ヤングユーかな?)などで描いていた少女マンガ家でした。 それが、いつの間にかヤングジャンプの看板マンガ家になっていました。 女性誌のころは「親子3人の日常を殺風景に描いた風」だったと思います。 あんまり覚えていないけどコマ割りや構図などが少年マンガっぽく、男の作家が描いてるような印象でした。 ヤングジャンプへ移籍したのも作風が青年誌向きだと判断したからだと思います。
「ヘタコイ」はヤングジャンプ移籍ご3作目で、軽快なラブコメとシリアスなドラマをまぜこぜにした中野さんの得意なジャンルのマンガです。 物語は「大学で男の子がサークルの先輩に恋をしたが、両思いなのに恋がヘタなのでじりじりする」って感じです。 中野さんは弓月 光さんのポジションかな? ほかのジャンプ系女性マンガ家は、仙道ますみさん 七瀬あゆむさん 高見まこさん こばやしひよこさんなど。 
講談社などは青年誌に描く女性マンガ家には女性誌での作風のまま描かせてる印象ですが、ジャンプはあくまでもジャンプ読者向きのタッチを要求してます。 中野さんはそーいう要求には見事に応えることができるマンガ家さんです。 「サプリ」のおかざき真理さんがヤングジャンプで連載していた頃、当時の編集者があまりに「おっぱいおっぱい」とうるさくて二度と青年誌では描かないと決めたそうです。 おかざきさんは青年誌の要求に応えたくなかったんでしょう。

ヘタコイ

 マンガに限らず“あとがき”には本編では読み取れない作品の本質が現れたりします。 本編は「型どおりのラブコメ」なので特筆することは何もないです。 むしろ、最近では珍しいくらいの「王道ラブコメ」かな? 
最終巻のあとがきによると「ここ数年でヤンジャンの性描写規制が厳しくなって、前作のようにエロエロなのはかけないので・・・」とのことです。 前作とは「ちさXポン」というエロエロマンガです。 今回の「ヘタコイ」はタイトル通りに処女と童貞が恋愛ベタで引っぱったら、5年間の連載で結局は最後までいかないという「なんじゃそりゃ?」というマンガです。 
読者の意見では「もっとエロくして欲しい」という方もいれば「エロくないほうがいい」という方もいるようです。 どちらの要望に応えるべきか迷い続けた連載だったとのこと。 自分は「無理にエロエロにしてもマンガは面白くならない」という意見です。 マンガにAVのような“機能”を求めていないので、作品としての面白さに関係ない部分がいくらエロでもしょーがないですしね。 いわゆるパンチラマンガもキャラが無駄にサービスしてるのに一部の読者層にしか評価されていません。 普通のマンガファンはパンツが見たくてマンガを読んでるわけじゃありませんから。 読者はそんなにパンツに不自由していません。 それよりも5年も連載して不毛なエンディングだったことのほうがガッカリです。 森で土砂降りの中ヒロインが遭難、助けに来た主人公がずぶぬれで発熱、いつもの山小屋で二人っきりで一夜を・・・だが主人公が昏睡状態なので“ハダカで暖め合う” 今どきアニメでしか見かけないような定石の展開が・・・
中野さんの描く青年マンガは人物の相関図は少女マンガ譲りで凝っているけど、エピソードは既存のマンガによくあるシチュエーションが多いです。 そのぶん、最近のマンガにありがちな「無茶な設定や独りよがりなキャラ」などはあまい出てきません。 この「ヘタコイ」は普通の読者にとって読みやすいマンガだと思います。

 ジャンプの性描写規制の件ですが、中野さんに限っていえば規制したことが正解だったという気がします。 前作の「ヒロインがレイプされてしまうマンガ」よりは今回の「処女と童貞」のほうがよっぽど健全な感じですね。 性の虐待や暴力を安易に作品にするマンガが後を絶たないです。 どんなシーンを描こうと表現は自由ですが、作中で責任を取れてるマンガが少なすぎます。 「ヘタコイ」は無責任なHシーン(妊娠させて責任をとるとかじゃない)がなかったことが成功につながったと思います。 単に主人公がヘタレだったんだけどね。
青年誌は若者を対象にしてるので、お色気のニーズにも応える必要があります。 子供ならおっぱいとうんこを描いとけば喜んでもらえるでしょう。 でも青年誌の読者層は若者であって子供じゃありません。 エロにしても読者をもう少し大人扱いしてあげてもいいのでは? おっぱいも重要なんだけどね。
最近でもないんですけど、エロエロマンガで都出してレベルが高いマンガ家は花見沢Q太郎さんだと思います。 終了した「ももいろさんご」でエロとマンガとしての面白さのバランスを完璧に掴んだようです。 それまでの短編は無理ヤリ感(色んな意味で)があったんですが、さわやかだけど淡泊じゃないエロエロマンガを完成させたんじゃないでしょうか? その後の連載で作中のお色気シーンをドラマに会わせてコントロールしています。 MAX「ももいろ・・・」までエロが描ける作者という読者の期待があるので、エロ一辺倒じゃなくてもマンガが読まれるいい循環です。  


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