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2012-01

120人のジブリ批評 - 2012.01.21 Sat

今回は年末に日テレ系で放送された「 借りぐらしのアリエッティ 」です。

 自分は「 もののけ姫 」を映画館で観たのを最後に劇場へ映画を観に行っていません。 「 もののけ姫 」も観たいって子に誘われて観に行っただけで、この頃はもう劇場公開アニメを観に行こうとは思わなくなっていました。 ジブリ作品についても「 魔女の宅急便 」がピークで、それ以降の作品は「うーん・・・」って感じです。 とくにジブリ・ファンというわけでもないので、積極的にジブリアニメをみている方々の批評を参考にしてみました。 参考にしたのは「 映画COM 」というサイトです。 ココに劇場公開から先月のTVオンエアまでに鑑賞したであろう120人のアニメファン(ジブリファンや映画ファン)の方々の意見を読みました。 最近話題のステマっぽい書き込みや特有のネット語悪口なども見受けられず、健全な映画レビューサイトって印象でした。 120人の全体の評価点は 3.5点ですが、割り算を信用しない主義なのでこの点数はどーでもいいです。 レビュー投稿者のコメントにこそジブリの現状が垣間見えると思います。

映画COMのレビューの抜粋

『 借りではなく、盗り暮らしです。「人間にばれない程度だから盗ってもいい、礼をする気はない。見つかった、ヤバイ、引っ越しだ!」こういう話です。 つまり、共生ではなく、寄生している小人が存在を知られてヤバイから逃げる話。』
代表的な意見ですね。 「借りたら返せよ」とか「洗濯ばさみも上げるじゃなくて返すだろ」とか。
タイトルと内容の違和感は気になるところです。 


『 やたらとヒステリックな女性が出てくる最近のジブリ作品は非常に辟易します。』
これは樹木希林さんへ向けられた意見です。 べつの方で『家政婦のシーンが面白かった』という意見もありました。 ジブリ作品に限らずアニメのキャラでヒステリック=人間の本性という図式なのか、得意そうに狂気じみたキャラを登場させる演出の昨今のアニメにも辟易しています。


『 本心は少年と仲良く暮らしてほしかった!』
『 少年のご先祖様がアリエッティの種族の為にドールハウスを作ったって伝えてほしかった!』
コレも観た人の大半が希望する当たり前のような大団円ですね。 でも原作がイギリスの児童文学賞を取るような有名な作品だから、ジブリが勝手にエンディングを変更しちゃまずいんでしょうね。 
イギリスのアニメがかぐや姫のラストで「かぐや姫は月に帰らず、地球に残って幸せな結婚をしました」じゃ日本人は納得できないでしょう。


『 綺麗なドールハウスももったいなかったね…。』
ドールハウスはジブリのオリジナル設定っぽいので上手に使えなかったのはたしかに勿体なかったです。


『 ジブリなので観に行かなくっちゃ!と思って行きました。』
『 新人監督らしく思い入れたっぷりに作品の随所から過去のジブリ作品への愛情が滲み出ているから。ジブリファンならいたるところでニンマリしてしまうこと必至だろう。』
多くの方々が「アリエッティ」を観た理由は「ジブリだから」でしょう。 自分はあんまり作中でのオマージュとかニンマリとかは無しにして欲しいタイプです。 そー言うのはジブリのファン誌のなかでニンマリしてればいいのにって思います。


『 観終わった感想は、終わり無き終わり?って感じです。 起承転結の結が無い感じ・・。』
この中途半端な残尿感のような終わり方に批判が集中していました。
川をやかんで下っていくラストシーンは原作の「川を下る小人たち」にかかっているので、監督は会心のラストのつもりだったのかもしれませんね。 そんなことは普通の視聴者がわかるワケもないので、「独りよがりなラスト」の典型的なパターンでした。

『 アリエッティが小さい時の絵も雑でした。』
背景の美しさと動画の安定感がジブリクオリティーなんでしょうけど、最近はそれもどうかなぁ?って思います。 宮崎さんや大塚さんだったらその絵は通したか?ってギモンもあります。


『 心の底から鈴木さんの引退を望みます。』
突き詰めると誰が責任を取るのか?って話になっちゃうんでしょうね。 宮崎さんが老害なのか、鈴木体制が問題なのか、若手の力不足なのか。 全部?


『 妻、4年生の息子、1年生の娘と観ましたが、子供達は退屈そうで娘は途中から寝ちゃってました。』
120人のレビューの中でこのコメントがベストアンサーです。


 それでは121人目の感想を書きたいと思います。 この作品はジブリでは最年少の新米宏昌監督の初作品です。 彼はアニメーターなので脚本や演出の経験がなかったようです。 ジブリとしても大抜擢ですが、ファンはすでに吾朗氏で「大抜擢がどうなるのか」を学習済みです。 物語というものは「見せ場になる派手なシーン」と「なにげないシーン」とで構成されています。 キャラが絶叫するシーンとかは誰が描いても何とかなるモンです。 むしろ、淡々としたシーンのときに正しく物語を進められるかが短編では重要になってきます。 宮崎さんの凄さはパズーの朝食や風の谷の村人の描写の説得力の凄さです。 「アリエッティ」では舞台劇を観ているような唐突さが感じられました。 脚本通りに作画することで手一杯な余裕の無さが画面に出ちゃってました。 

 自分が考えた作品じゃないからなのか、アイデアが出なすぎなのも気になりました。 「借りぐらし」というタイトルなのに、実際に借りたモノは角砂糖とちり紙(未遂)まち針とガムテープくらいです。 ドラえもんじゃないけど「何を借りるんだろう?」とか「どんな工夫をして暮らしてるのかな?」っていう楽しさはアニメがもっとも得意な見せ場なハズです。 マンガ映画の原点だし今回のジブリ作品の題材だからこそ監督の腕の見せ所だったのに。 一番ガッカリ下シーンはアリエッティの靴からルパン3世の装備のようなピッケルがジャキーンと出るところ。 「そーいう工業製品が作れないから借りぐらしなんだろ!」って叫びました。 父親が靴にガムテープを巻き付けて粘着力で登るシーンが無意味になっちゃいます。 父親もその靴履けばいいじゃん。
 
 アニメにおけるヒロインの存在価値とは「その女の子が可愛いこと」です。 そのヒロインを観て幼児から大っきなお兄ちゃんまでが愛着をもつ対象になり得るかがキモになります。 小さい男の子にとって女の人は「ヤバイ存在」です。 興味はあっても「クラスのOOさんが可愛い」などを教室で言ったりしたら、その日のうちに“祭り”になっちゃいます。 歴代のアニメのヒロインはすべてそういう役目をになってきました。 とくに宮崎作品はヒロインが重要です。 母親に「俺、シータが好みなんだ・・・」って告白するわけじゃありません。 女の子と仲良くする術のない男子が「アニメを好きになる」という大義のうらでヒロインに思いを募らすのです。 アリエッティにそういったヒロイン性がまったく感じられないから4年生の男子が寝ちゃうんですよ。 ここまで女性的な魅力に欠くヒロインも珍しいです。 120人の意見の中で「アリエッティ」が可愛く無いことを問題視したコメントが無かったのが意外でした。
 
 このアニメは4年生と1年生の兄妹に観せるのが目的じゃなくて、宮崎さんに観せることだけ考えながら作られたんだという印象です。 宮崎さんが認めても観客の子供たちが寝ちゃったら失敗作でしょう。 ハウル、ゲド、ポニョ、アリエッティ、ココリコ・・・と「 猫の恩返し 」以後10年近くジブリは迷走してるように見えます。自分の見解だと「 もののけ姫 」が興行的に成功しちゃったのが迷走の第一歩だったと思います。 あのときジブリファンは難解になりすぎた宮崎アニメを「傑作」と評価しちゃいました。 しかも民俗学やら社会学やらで武装してまで。 あそこで宮崎 駿監督を否定できたらジブリ改革は10年前倒しできたかもしれません。 10年前に消滅しちゃったかもしれませんけど。 

メモルとマリエル
 
小人のアニメといえば「とんがり帽子のメモル」です。 こっちには「借りぐらし・・・」には無い優しさや善意、暖かさがあります。 猟奇的なアニメや問題作ばっかりを評価する傾向だとこーいう作品が生まれるチャンスを失うことになりますよ。

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